ITを受け入れない愚かな国会

民間でIT機器を持ち込んで会議を進めるのは、それを利用して最新の情報を入手しながら議論しないと、間違った判断をする恐れがあるからだ。事情は国会も同じはずだ。小松長官に謝罪させるよりも、古色蒼然としたルールを改正し、審議にITを利用するように、国会は動くべきである。

3月25日の参院外交防衛委員会で、小松内閣法制局長官が携帯電話を見ながら答弁し、質疑が一時中断したそうだ。時事通信によれば、法制次長に関する質問があったので、「今、質疑の中継を見ていた次長から連絡があった」と長官が携帯画面を読み上げたという。この行為は携帯電話を議場に持ち込んではならないという国会のルールに反し、長官は「大変重大な誤りだった」と陳謝させられたそうだ。

「馬鹿か」というのが僕の感想である。委員会の場にいなかった次長に関する質問に、短時間で答えようと努力した長官が、なぜ謝罪させられるのだろうか。参議院のネット中継アーカイブでは該当部分は音声が消されており、確認することができなかった。これも理解できない。くだらないことでもめていたと、国民に知らせたくなかったからなのか。

民間では、パソコンや携帯を会議に持ち込むのは当たり前だ。国会ではパネルを掲げて質問するのが通例のようだが、なぜ、プロジェクタを用いてプレゼンテーションしないのか。動画も音声も再生できるから、より説得力を持って質疑ができるというのに。この件について国会議員に直接質問したところ、1枚2万円でパネルの作成を請け負う業者がおり、切り捨てるのがむずかしいからだと返事があったが、とても信じられない。国会では、こんな当たり前のIT利用もできないというのは、どうしてだろう。

IT利用は国会の権威を損なうという反対論があるというが、僕には愚かな意見としか思えない。「今、米国政府がこのような発表をした。大臣の意見を聞きたい。」「提出されたデータを解析すると、財務省の説明に矛盾があるのがわかる。画面で点滅しているところが矛盾点だが、大臣の意見を聞きたい。」などといった形で議論を進めるのは、権威を損なうことなのだろうか。

民間でIT機器を持ち込んで会議を進めるのは、それを利用して最新の情報を入手しながら議論しないと、間違った判断をする恐れがあるからだ。事情は国会も同じはずだ。

小松長官に謝罪させるよりも、古色蒼然としたルールを改正し、審議にITを利用するように、国会は動くべきである。国会アーカイブで意図的に音声を消去するといった行為も慎むべきである。

頑張れ、小松長官。

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