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水に落ちた犬を打つようで申し訳ないが

2014年02月10日 17時22分 JST | 更新 2014年04月11日 18時12分 JST

東京都知事選挙は、予想通り、舛添要一候補の圧勝で終わった。脱原発を掲げて乗り込んできた元首相コンビは第3位と、次点さえも確保できなかった。昨年春に公職選挙法が改正され、選挙期間中のネット言論はメールを除いて自由になったが、僕は特定候補を批判する意見を公表するのを控えてきた。選挙も終わったので、細川護熙候補について、水に落ちた犬を打つようで申し訳ないが、いくつか批判したい。

僕にとって最大の驚きは、細川護熙公式サイトのサイト名であった。他の候補が自分の名前を元にしていたのに対して、細川護熙候補が用いたのはtokyo-tonosama.comと、何とも気色が悪かった。細川氏は江戸時代の殿様の末裔かもしれないが、今は殿様ではないし、都知事選挙は東京の殿様を選択する選挙でもない。そもそも、民主政治は殿様のような特権階級を否定するものだ。このようなサイト名が有権者に受け入れられると考えたとしたら、広報責任者は無能に違いない。

また、公式サイトにはトップページしかなく、「政策」や「応援メッセージ」にはページ内リンクでジャンプするという、ありえない構造になっていた。印刷して読もうと思っても、白紙が何枚もプリントアウトされた。

このようにネット広報が貧弱だったのは、細川護熙候補がネットの価値を知らなかったからだ。出馬の当初には「インターネットは分からない」と話していたそうだから、ネット広報も付け焼刃だった。強力な応援団だったはずの小泉純一郎氏も、選挙直前にツイッターアカウントを取得し、選挙が終わるとすぐに利用をやめた。本人ではなくスタッフがツイートしていると公言していたのも問題だ。せっかくの直接対話の可能性を断つと有権者に宣言したに等しいからだ。参議院選挙の直後に「直面する選挙の直前に始めるのではなく、今からネットを政治活動に利用するように努力すべき」とぼくは主張したが、もう一度、この言葉を繰り返したい。

これからの都市問題に対して、情報通信の果たす役割は大きい。細川護熙候補が主張していた脱原発は東京でのエネルギー消費を抑制しなければ実現しないが、そのカギとなる技術の一つがスマートシティである。深刻化する高齢者の医療・介護問題解決にも、舛添要一候補が政策の中で言及していたように、医療と介護データの連携が役に立つ。雇用の創出にもつながるし、教育も改革する。その点では家入一真候補の主張のほうが魅力的で、いずれにしろ、東京都の行政を情報通信音痴が司るのは、時代遅れも甚だしい。朝日新聞は記事『ワンイシュー選挙、空転 小泉氏の「悔しさ」』で、細川護熙候補と小泉純一郎氏が掲げた脱原発のワンイシューが通じなかったことを分析している。それはその通り。東京の将来を切り拓く政策を掲げなくては、当選はむずかしいのだ。

泡沫候補だったはずの家入一真氏は88936票を集めた。有権者と候補者をつなぐチャネルとして、ネットには利用価値があることを示す明るい兆しとして、評価したい。次に来る大きな選挙は来年の統一地方選挙である。今からネットで政治活動を展開し、ネットの力で当選する候補が出ることを期待したい。

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