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新聞に軽減税率を適用する必要はない

2015年10月16日 23時12分 JST | 更新 2016年10月15日 18時12分 JST

日本新聞協会が新聞への軽減税率の適用を求める特別決議を採択したと、各紙が報じている。特別決議では、「新聞は民主主義社会の維持・発展や文化水準の向上に大きく寄与」しており、欧米諸国も、「『知識に課税せず』との理念に基づき、新聞の税率には特別措置をとっている。」としている。

協会は、公正取引委員会が新聞販売店による定価割引の禁止を定めた特殊指定を廃止しようとした際にも、同様の主張を展開した。2006年3月の特別決議には「新聞は、憲法21条によって保障された報道の自由を担い、国民の『知る権利』に寄与するものである。こうした使命は、自由で多様な新聞がつくられるだけでなく、公正な競争を通じ、住む場所を問わず、また災害など困難な状況下でも、同一紙同一価格で戸別配達により提供されることによって実現される。」と書かれている。

内閣府消費者委員会が訪問販売等の不招請勧誘の禁止に動き出した際にも、協会は声明を出した。「新聞は、国内外で発生するニュースや、国民が必要とする情報を毎日伝え、多様な意見・論評を広く提供することで民主主義社会の維持と発展に寄与してきました。新聞はいつの時代も消費者の立場に立って、詐欺や食の安全性をめぐる事件など、消費者問題を積極的に報道し、国民に警鐘を鳴らしてきました。」

日本新聞協会がいうように、新聞が国民の知る権利に寄与し、消費者の立場に立ち、民主主義社会の維持・発展や文化水準の向上に寄与してきたとしたら、近年発行部数が著しく減少しているのはなぜだろう。

2000年の新聞発行部数5371万部は、2014年には4536万部と、800万部以上減少している。電通の調べによれば、2014年の新聞広告収入は総額6057億円だが、2000年には1兆2474億円だったので、半減したことになる。

他のメディアとの競争に敗れたから、このように減少したことは明らかだ。NHK放送文化研究所が実施した『2010年国民生活時間調査』は、「新聞の主な読者層は60歳以上であるが,2005年に比べて若年層や中年層で行為者率は減少傾向にあり,これらの年代では"新聞離れ"がみられる。」と指摘した。東日本大震災直後の野村総合研究所の調査によれば、震災に関する情報提供で新聞を重視していた割合は36.3%に過ぎず、NHKテレビの80.5%を大きく下回った。また、新聞が提供した情報について、「信頼度が上昇した」と回答よりも、「低下した」という割合のほうが多かった。

新聞が考えるべきは、どうすれば国民からの信頼を回復できるかである。消費税がわずかに軽減されたところで、信頼が無ければ業績は伸びないからだ。新聞は、こんな当たり前のことがどうして理解できないのだろう。