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ネット選挙運動と政治でのネット利用

2015年06月04日 23時04分 JST | 更新 2016年06月03日 18時12分 JST

情報通信政策フォーラム(ICPF)では、6月2日に、草間剛横浜市議会議員、音喜多駿都議会議員、田代光輝慶應義塾大学特任准教授を招いて、ネット選挙運動について考えるセミナーを開催した。音喜多都議はすでにその様子をブログで公開しているが、僕も主催者として議論の中身を報告する。

今までの選挙運動は「連呼」に象徴されるように音を中心としたものだったが、それが障害者の参政権に悪影響を与えていたという点で、意見は一致した。聴覚障害の斉藤りえ候補が当選して東京都北区議会は変わったが、一般的には議会へのパソコン持ち込みが許されないなど、障害者は活動しにくい状況にある。公職選挙法と各議会運営規則を共に改善する必要がある。

ネットを通じての動画配信には大きな効果は期待できないという点で、意見がそろった。90分の討論を動画配信しても、視聴者数は数十名でミニ集会と同然だそうだ。単に名前を売るだけなら数十秒で充分であるし、スマートフォンユーザが閲覧の中心であることを考えると、動画は1分半が限界だという。スマートフォンユーザは通勤時に閲覧するという可能性もあり、字幕の付与は絶対に必要である、という結論になった。

今でも怪文書が飛び交っているように、政治家に対する悪口がネットに流れるのは当たり前である。投票日当日に候補者名の検索数が増える傾向があるという調査結果があったが、投票所に行く前に、候補者のことを最後にもう一度調べようとする有権者がいるからだそうだ。検索バーに候補者名を入れ悪口がサジェスチョンされると、有権者の多くは棄権を選び、その結果、落選した例もあるという。悪口に負けないだけの正しい情報をネットに流しておくというのが、最も有効な対策である。

動画配信も含め、ネット上での多様な政治活動には、正しい情報を積み上げるという点で価値がある。オープンデータサイトのような場合には、選挙期間に閲覧数が伸びなくても、関心を持った有権者は日常的に訪問してくるため政治活動としては有益である、という結論になった。当落の大半は後援会の強さで決まるが、Facebook友達には拡散の効果があり新しい層を取り組むことができる、といった意見も交わされた。

狂信的な社会運動がサイバーカスケードとして表に現れ、それが議員に影響するという事態が一部で起きている。ネットによる情報の偏りと、それが原因となった社会の分断には注意が必要である。あるイシューについて世論が偏っても、正しくないと考えた時には説得しようとするのが政治家の仕事であるし、社会もそんな役割に期待している。日本は100%間接民主制だが、今ではネットを経由しての意見集約も容易になっている。一部に直接民主制を取り入れ、政治家がファシリテータとして活動するといった形態にも可能性が生まれている。もちろん、世論の反対を超えて、政治家は苦渋の決断をしなければならない場合があるという指摘も出た。サイバーカスケードに左右されない姿勢を政治家は持つべきであるという点で、意見はそろった。