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ネット選挙運動が盛り上がらなかった理由

2013年07月21日 21時01分 JST | 更新 2013年09月20日 18時12分 JST

参議院選挙からネットを利用した選挙運動が解禁されたが、盛り上がりは今一つだった。7月17日付のメンター・ダイヤモンドは、約8割の若者が立候補者のTwitterを見たことがなかったというヒアリング結果を掲載している。関心を持たなかった若者を振り向かせ投票率をアップさせるというのが、ネット選挙運動への期待だった。しかし、投票率は低迷が続いた。どうして、このようになったのだろうか。これから何をすべきなのだろうか。

候補者は組織票と浮動票を争う。従来と同じ取組みで組織票は確保できるのだから、ネット選挙運動で狙うのは浮動票であったはずだ。この浮動層は、単に名前を知っているからと投票するような人々ではない。だから有名なだけの候補者は苦戦した。2009年衆議院選挙で「政権交代。」を掲げた民主党が支持されたのは、閉塞した政治を変えてくれると浮動層が期待したからであった。今回は、自由民主党の「日本を、取り戻す」が、経済を回復軌道に乗せてくれという人々の祈りに応えた。

浮動票を得るには、浮動層の要求を知り、それに応える政策を示す必要があるのだ。しかし、ひたすら「原発反対」を唱え続けた一部の候補者を除けば、候補者の政策をネット、特にSNSから得るのはむずかしかった。SNSにあったのは「今日も元気に頑張っています」といった類のメッセージばかりで、これでは選挙カーが大音量で「××をよろしくお願いします」とがなっているのと同じ。うるさいだけで、読む気にもなれない。

ひどい事例も報じられた。毎日新聞によると、ある候補者は公示直前にFacebookに登録し、その直後から大量の友達申請をしたため、「偽名の疑いがある」とブロックされたという。Facebook側ではなく、SNSをどう利用すべきかを知らなかった候補者側の問題であることは明らかだ。大量の友達に「よろしくお願いします」というメッセージを流せば集票につながると思ったかもしれないが、SNS利用者からすれば、そんなメッセージは選挙カーからの大音量と同じで、ノイズでしかない。

それでは、政治家は何をすべきなのだろうか。それは日常からその主張をネットに流すことだ。どのような日本を作りたいかを語ることだ。安倍総理大臣や橋下維新共同代表がネット上で注目されているのは、まさに、これを続けているからである。時には炎上することもあるが、それも合わせて等身大の安倍氏・橋下氏が見えるから、人々は期待し、あるいは失望したのである。

つまり、政治家がネットで展開すべきは、選挙運動ではなく政治活動である。解禁されたからと突然利用し始めたような候補者ばかりでは、ネット選挙が盛り上がるはずもなかったのである。

国レベル・地方レベルのすべての選挙でネットが利用されるには、幸いにも、まだ四年弱の期間がある。政治家それぞれが、それぞれに直面する選挙の直前に始めるのではなく、今からネットを政治活動に利用するように努力すれば、1年先、2年先には、ネット選挙運動は大きな影響を及ぼすようになるだろう。一方、今回の選挙だけでネットを見くびる政治家は後々ひどい目に会うだろう。

多くの政治家が、日本の未来・地域の未来について、ネットを通じて情報発信することを心から期待する。