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東京オリンピック・パラリンピックの情報受発信

2013年09月24日 22時47分 JST | 更新 2013年11月24日 19時12分 JST

2020年オリンピック・パラリンピックの東京開催が決定し、メディアも含め、世界の人々は組織委員会のウェブサイトをこれから頻繁に閲覧するようになるだろう。そのために、組織委員会サイトにはどのような備えが求められるのだろうか。

第一は使い勝手。東京都国際交流委員会サイトは、東京で暮らす外国人のために生活ガイドを提供している。「日本に住むときの手続き」「税金」「暮らしの情報」......と並んでいるが、なぜ「税金」が上位に来るのだろうか。一方で、教育・仕事・文化がスクロールしないと見えないのはどうしてだろう。情報は、提供者の論理ではなく利用者の欲する順に並べるべきで、そうしないと、スクロールする前に他のサイトに逃げてしまう閲覧者も出る。これから作られる組織委員会サイトも、利用者視点で設計することが必須である。

ロンドンオリンピックでもチケットはネット販売されたのだから、2020年にネット販売は確実に実施される。販売手続きは、間違いは防ぎつつも、最短の手順で完了するように設計されている必要がある。ここでも使い勝手は絶対的な条件である。

第二は多言語への配慮。今の招致委員会サイトのように、オリンピックの公用語であるフランス語と英語、それに加えて日本語だけでは十分とはいえない。また、今の招致委員会サイトでは、理事長挨拶の内容が日本語英語で少々異なっているが、このように、発信する内容を言語(つまり閲覧者)に合わせて変えることなど不可能になっていく。多言語に対応し多様な情報を大量に発信するのが困難なら、一部は閲覧者のブラウザがサポートする自動翻訳に頼らざるを得ない。そのためには、元となる情報は簡潔でわかりやすく、また機械読み取り可能な形式で書かれている必要がある。

第三はアクセシビリティ。パラリンピックが公式に併催されるようになった2000年のシドニーオリンピックでは、組織委員会サイトがアクセシビリティを満たしていないと訴訟が起きた。裁判の結果、原告の視覚障害者が勝訴し、被告(組織委員会)は2万オーストラリアドルの賠償金を支払うことになった。各国で公的機関のウェブアクセシビリティが義務化されつつある今、障害者が情報を入手できないとなったら、世界的に問題となる恐れがある。

今の招致委員会サイトは、ウェブアクセシビリティ診断ツールHARELで評価すると、日本語では55点、英語とフランス語では60点と採点され、いずれも「もうすこし」努力が必要である。HARELが指摘する問題点の中には、最低限満たすべきとされる項目も散見される。代替テキスト、識別可能、ナビゲーション可能、読みやすさの基準を満たしていないのだ。今のままでは懸念が現実化する恐れは高い。

2020年東京オリンピック・パラリンピックの成功には、ネットを利用しての情報受発信が不可欠である。しかし、単に受発信すればよいというわけではなく、使い勝手・多言語対応・アクセシビリティなどに配慮が求められる。