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改善が求められる総務省の情報通信関連事業

2013年11月13日 21時10分 JST | 更新 2014年01月13日 19時12分 JST

行政改革推進会議が秋の行政事業レビューを実施することになったが、11月13日水曜日の総務省案件と14日木曜日の総務省・文部科学省案件に外部有識者として参加する。13日分について、僕らが何を指摘し、どんな結論となったか報告しよう。

対象としたのは、研究開発事業と情報通信の利活用事業で、前者で問題となったのは「情報通信分野の研究開発に関する調査研究」である。1992年から継続する、予算規模わずか2~3千万円の事業で、「今後緊急かつ重点的に推進すべき新規研究テーマにおける課題の抽出及びその研究テーマの推進方策についての調査・検討」が中心となっている。しかし、調査で研究テーマが特定されると予算が要求され、それぞれに百億円単位の研究プロジェクトが実施されてきた。つまり、レビュー対象の規模は小さいが、財務省から研究開発予算を引き出す打ち出の小槌だったのである。

僕の質問は、「この事業で特定され、推進された研究プロジェクトのうち、社会に大きな影響を与えたものは何個ありますか。」という単純なもの。20年前から続く研究開発投資が何も生んでいないとしたら、税金の無駄遣いだからだ。レビューの結論は、政府が研究開発プロジェクトを実施する理由・判断基準を明確にすべきであり、政府が実施するのであればキチンと費用対効果を説明すべきという厳しいものであった。

利活用事業では、地域情報化に関連して、すでに550もの実証実験プロジェクトが実施されてきたことが問題となった。膨大な成果が社会で利用されていないのであれば、事業の進め方そのものを根本的に見直す必要があるからだ。推進側もリスクを負って半分経費を負担する補助金型への、委託事業からの転換といった、実務上の改善策が議論された。

そもそも総務省が実証する必要があったのか、それとも遠隔医療なら厚生労働省というように、主務とする府省が推進すべきなのかも議論となった。主務官庁が実施すれば、実証の結果を基に制度改革に乗り出せ、普及が図られるからだ。たとえば、厚生労働省が主導して遠隔医療の有効性が実証されたら、診療報酬の点数を遠隔医療のほうが有利になるように改定すればよい。

評価者は、普及の見込みが立たない事業は実証実験すべきでなく、今は実証のための実証になっているという厳しい指摘をした。結論は、総務省はICT利活用に関するアドバイス役に徹するなどの形で、他府省との連携を強化すべきなどであった。

行政事業レビューの目的は、目的の明確性、有効性・実効性、より低コストな手法への改善可能性の観点で行政事業を見直すことだ。総務省案件のレビューは「見直し」という点では目的に沿ったものだったが、この先には、レビューの結果を現実にする政治的な指導力が求められる。