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ネットと政治とマスメディアの無理解

2014年03月31日 23時16分 JST | 更新 2014年05月30日 18時12分 JST

情報通信政策フォーラム電子行政研究会では、3月26日に「東京都知事選挙におけるインターネット選挙運動の検証」と題するセミナーを開催した。当日の講演・討論は都知事選挙の外にも及び、いくつかの共通理解が得られた。

第一は、有権者の声を知る手段としてネットは役立つということである。松田馨氏が紹介した家入一真候補の「僕らの政策」がその典型だが、有権者が何に関心を持ち、政治に何を期待しているかを知る手段として利用可能である。有権者の声を集めるだけでは衆愚政治に繋がるのではないかという意見もあるが、有権者と対話を重ね「苦渋の決断」に理解を醸成するのにもネットは利用できるというという結論になった。この「双方向性」こそが、ネットの大きな特徴である。ただし、ネットではしばしば「祭り」が発生し偏りやすいということも、政治家は理解し、対応する必要がある。そこで、匿名ではなく実名で有権者と政治家がコミュニケーションをとる必要性も議論された。

第二に、支持者(ボランティア)を集めるのにネットは役立つということである。ポスターの掲示から始まり、選挙活動にはボランティアの力を必要とする局面が多い。ネットで協力を呼びかけることによって、選挙区外からもボランティアが集まる。ITに強いボランティアは、外回りではなく、どこにポスターを掲示済みでどこが漏れているかを表示するアプリを作成するといった形で貢献できる。音喜多駿都議会議員は、都議会議員選挙でボランティアを集めた実績を報告した。

電子行政研究会では、昨年、明治大学海野素央教授に「オバマ陣営のメディア戦略と戸別訪問」と題して講演いただいた。海野教授が指摘した「ネットは有権者の声を聴くために利用するべき」という話に第一点は通じるし、第二点が進化していけば、米国のように政治活動の意義を理解して、ボランティアとして参加する若者が増えていくかもしれない。

一方で、公職選挙法や政治資金規正法の課題も指摘された。

クラウドファンディングを利用した選挙資金集めには政治資金規正法の壁がある。そこで、規制が厳しい寄附ではなく、事務所で開票速報を一緒に見る権利や選挙カーで候補者とドライブする権利を売買する契約であるという形で、今は運用されているという。しかし、このような形態は法律的にはグレーであって、摘発が恣意的になる恐れも考慮すると、もっとすっきり実施できるように政治資金規正法を改正するほうが適切である、という結論になった。

問題は、どのようにして公職選挙法や政治資金規正法を改正するかである。今のルールで当選してきた現職の政治家には改正へのインセンティブはないので、世論の盛り上げが必要になる。しかし、世論に大きな影響力を持つマスメディアには、ネットの利活用への理解が欠けている。西田亮介准教授は、だからこそ毎日新聞と共同研究を行い、少しでもマスメディアの理解を得ようとしていると語った。

ネットを中心に選挙運動した数十名の当選者が、来年の統一地方選挙で生まれれば、マスメディアが関心を寄せるのではないか、と僕は期待している。それまでは、世論喚起に少しでも役立つようにセミナー等を続けていきたい。