テロの目的は一度の攻撃でひとつの国やシステムを機能停止に陥れることではない。狙いは恐怖を植え付けること、パニック、絶望を引き起こすこと、そして何より怒りや憎しみを引き起こすことにある。
テロは恐怖を食い物にするが、本当に満足するのは被害者の怒りを食い物にした時だ。
次に何が起こるかを恐怖や怒りに決めさせることを許した時だけ、テロは有効に機能する。
私はハト派でもタカ派でもない。必要なのは正しい対応だ。ISに彼らが求めるものを与えない、賢明な対応だ。彼らは我々に「他者」を憎んで欲しく、「他者」を迫害して欲しい。そうすれば我々の中から彼らの支持者が現れるからだ。それに乗ってはいけない。
私たちの中にも憎悪をかきたてる煽動者がいる。彼らも機会をうかがっている。彼らは戦術においてISよりも洗練されているが、狙いは同じだ。ISと同じで、恐怖と憎しみを通じて私たちを操ろうとしている。彼らは多元主義に基づく文化的多様性を持った社会を憎み、法の下の平等にも反対する。
私たちの中の憎悪をかきたてる煽動者と戦うのと同様に、ISと戦わなければならない。「誰がISを生み出したか」といった罪のなすりつけあいをするべきではない。西洋による産物で、抑圧がなかったらISは存在しなかったというような。そのようなアプローチは過度に単純化され、多くの面において人種主義的だ。
「我々」がいて「彼ら」がいるが、誰が誰なのかは国境、人種、宗教あるいはその他の表面的な違いでは定義されない。
全ての肌の色の価値が等しく、全ての文化と宗教が尊重され、全ての性的志向が等しく認められる世界に住むことを望む「我々」がいる。すべての命の価値が等しく、人々がなりたいようになれる世界に。
一方「彼ら」がいて、私たちがお互いを憎みあうように全力で仕向けている。そのような機会を彼らに与えなければ、国内や外国のテロリストたちは打倒されるだろう。
私の胸はパリの悲劇で張り裂けんばかりだ。だがその気持ちは、レバノン、シリア、パレスチナ、イラク、アフガニスタン、そしてその他の、憎しみの煽動者が我々から人間の尊厳を奪い、互いに争わせようとする場所に対しても同じだ。
この記事はハフポストUS版に掲載されたものを翻訳しました。
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