「記憶のコミュニティ」を作る

2012年秋に開催されたGoogle、Twitter主催の「東日本大震災ビッグデータワークショップ」においては、アーカイブズ・シリーズで用いた手法を応用し、震災後に収集された大規模データをもとにした、災害状況の可視化に取り組みました。

ハフィントン・ポストをご覧のみなさま、はじめまして。渡邉英徳と申します。この度こちらでブログを執筆することになりました。どうぞよろしくお願いいたします。

私はデジタル技術を活用して社会に貢献する「情報アーキテクト」として活動しています。現在、株式会社フォトン代表、首都大学東京システムデザイン学部の准教授、京都大学・地域研究統合情報センターの客員准教授などを務めています。

私たちのチームは、時代の経過とともに散逸していく歴史資料をネットワークを通じて収集し、デジタル・アースの仮想空間に集積して公開する「多元的デジタルアーカイブズ」を構築してきました。これまでに、南太平洋の島国ツバル、長崎・広島原爆、東日本大震災、そして沖縄戦をテーマとしたアーカイブズ・シリーズを公開しています。これまでに全世界から、累計70万PV以上のアクセスがあり、アルスエレクトロニカ等のコンペティションで受賞するなど、一定の成果を挙げています。

また、2012年秋に開催されたGoogle、Twitter主催の「東日本大震災ビッグデータワークショップ」においては、アーカイブズ・シリーズで用いた手法を応用し、震災後に収集された大規模データをもとにした、災害状況の可視化に取り組みました。このワークショップでは、東京大学の早野龍五教授、NHK、ウェザーニュース社ほかとコラボレーションし、成果をWeb公開しています。これらは実用的なコンテンツであるとともに、同時代の災害記録を未来に残していくための、あらたなアーカイブズ構築の試みでもあります。

こうした一連のアーカイブズ・シリーズの目的は、公開されていなかった資料をオープンデータ化し、データ同士の時空間的な関連性を提示することによって、事象についての多面的な理解を促すことです。さらにアーカイブズ構築活動のバックボーンとして、地元の人々とコラボレーションし、オンライン・オフラインで人々を繋ぐ「記憶のコミュニティ」を形成することを企図しています。このあたりの詳細については、今後の記事で書いていこうと思います。

私たちは現在、インドネシア大津波のデジタルアーカイブ、越谷市の歴史アーカイブなどを、研究者や地元の方々、そして学生たちと協力しながら制作中です。今年度中に公開予定のプロジェクトも幾つかあります。このブログで、プロジェクト進捗状況の報告も行なっていく予定です。ご愛顧の程よろしくお願いいたします。

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