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【ルポ・ネット通販詐欺】「パタゴニア激安店」にご用心! 大学教授も信じた"ダマし"のテクニック(2)

2014年02月24日 22時29分 JST | 更新 2014年04月26日 18時12分 JST

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いい年をしたおじさんが、ネット通販で失敗してしまったという恥ずかしい体験談をさらに披露する。

自分のような馬鹿な被害者を少しでも減らしてほしいという思いからだ。

買い物というのは恐ろしいもので、安いとなると「じゃあ、ついでに買っておこうか」と余計なものまで注文してしまう。

前回の記事でインターネット通販の「パタゴニア激安店」なるサイトで、詐欺の被害に遭ったことをお伝えしたが、実は後日談がある。

お恥ずかしいことに別のサイトでも被害に遭ってしまったのだ。

■~ルポ・ネット通販詐欺の被害に遭うということ~(その2)

私が引っかかったもう一つのホームページは、http://patagonia.aeelite.com というサイトだ。冒頭の写真はそのサイトに登録した時に届いたメールだ。ちなみにこのサイトは、私が送金した旨のメールの返信がないことで問い合わせのメールを送った直後に閉鎖され、現在も閉じられたままだ。

店舗名として表示しているのは「★★パタゴニア★★」という名称。「送料無料+激安値段+最高品質!【超人気新品】通販店舗」と書かれていた。先の「パタゴニア激安店」と同じように商品の写真と正価および通販価格が書かれていた。外国からの並行輸入品であるために格安に購入できるという説明が書かれている。

ここでは、正価5万円以上のダウンコートが通販価格で18,720円と表示されていた。

ちょうど2月に長期の北海道出張を予定していたので「これはグッドタイミング」と注文した。

今回の「★★パタゴニア★★」も前回の記事の「パタゴニア激安店」と同様に、ホームページにまず名前、住所、電話番号、メールアドレスを登録してから発注ができる仕組みだ。ほぼ1、2日間で相次いで注文したために私はどちらのサイトについても疑ってはいなかった。

ホームページに登録してから発注すると、すぐに「注文確認書」というメールが送られてきた。

「ご注文番号」「商品名」「料金」「お届け先」が書かれ、「銀行振り込み先」の口座が記されていた。

その口座は熊本銀行のある支店の口座だった。

■名義人は、「シヨウ テイテイ」。

おそらく「シヨウ」の「ヨ」は、小さい「ヨ」だろう。

「ショウ テイテイ」。中国人の名前か。

マズいかも...?と一瞬は疑念がよぎったものの、「並行輸入」というのだから、そんなものだろう。

万一、詐欺だったとしても、メールアドレスやURL、口座番号などの「証拠」は残るわけだから、犯罪としてもそんなリスクを冒すだろうか。また、サイトそのものは検索エンジンで上位に出てきたものだったが、今どき検索エンジンの各社も詐欺サイトが上位に出てこないようにそれなりの工夫をしているに違いない、と根拠はなかったがそんなに簡単に詐欺などできないに違いないと考えてみた。

結果的にはまったくの見当はずれだったわけで、甘いとしか言いようがない。

「注文確認書」のメールが届くと、私は銀行から指定の口座に金額を振り込んだ。

その後ですぐに振り込んだ旨のメールを注文確認書メールに返信する形で送った。

早めに連絡すれば、それだけ早く商品が届くと書かれてあったからだ。

ところが3日4日たっても先方から入金確認のメールが届かない。問い合わせのメールを送っても返信が返ってこない。

心配になった私は、「★★パタゴニア★★」というネット店舗の指示で振り込んだ「ショウ テイテイ」の口座がある熊本銀行の支店に電話してみた。

対応するのは支店ではなく、本店のサービス監査室だという。そちらの電話番号を聞いて改めて電話すると、振り込み先の口座番号と口座名義人名を尋ねられた。

「ショウテイテイという名義人になっています」と言うと、電話の向こうで職員同士の会話で担当者を呼ぶ声が聞こえてきた。

「またショウテイテイさんですよ」

(また? ...ということは他にも同様の訴えが??)

そんなことを考えながら受話器を握っていたら、この問題の担当者らしい男性が電話口に出てきて「この口座は他の方からも被害に遭ったという訴えが相次ぎ、現在、凍結しています」と説明してくれた。

振り込み詐欺の救済として、口座に残金があればそれを被害者が分け合う形で救済手続きに入るという。

ただし、多くの場合、残金が残っていることはほとんど期待できないという。

手続きには警察への被害届がいるので最寄りの警察に被害届を出しておくように指示され、半年後ぐらいに銀行側からまた連絡してくれるということで電話は終わった。

前回の記事の「パタゴニア激安店」の方も銀行に問い合わせた方が早いかもしれないと考えて、振り込み口座のあるジャパンネット銀行に電話してみると案の定、こちらも被害の訴えが届いていて口座は凍結されていた。

専用の「振り込め詐欺資金返還ご相談窓口」の担当者に電話が回り、以下のホームページから「被害回復分配金支払申請書」をダウンロードして必要事項を記入して送付するように指示された。

振り込め詐欺資金返還ご相談窓口 「振り込め詐欺資金返還ご相談窓口」では、振り込め詐欺被害救済法(2008年6月21日施行)の手続きにより、資金返還のご相談をお受けいたします。 振り込め詐欺などの被害資金返還に関するご相談 万一、振り込め詐欺被害に遭い、ジャパンネット銀行の口座に被害資金を振り込んでしまった場合には、当社へのご連絡をお願いいたします。


なお、警察への被害届けをお早めにご提出いただくことも、重ねてお願いいたします。 ご相談専用窓口 0120-663-632(通話料無料) 携帯電話・PHSから03-6739-5023(通話料有料) このお電話は、振り込め詐欺のご相談窓口専用ダイヤルです。 商品やサービス、お手続きに関するお問い合わせは、カスタマーセンターへお電話ください。 IP電話をご利用の場合、お客さまがご契約のIP電話事業者によりフリーダイヤルに繋がらないことがあります。

お客さまとの通話は、内容確認のため録音させていただいております。あらかじめご了承ください。 受付時間 平日 9時~17時 休業日 土曜日・日曜日・祝日、12月31日~1月3日 振り込め詐欺などの被害に遭われたお客さま すみやかに振込先の金融機関へご連絡ください。 預金保険機構のホームページをご確認ください。 被害回復分配金の支払手続開始の対象口座が公告されています。

対象口座は、振込時期や受取人名義など断片的な情報でも検索が可能です。 被害回復分配金の支払手続が開始されていた場合、所定の様式により当該金融機関への申請が必要となります。 当社へ申請される場合、下記より「被害回復分配金支払申請書」をダウンロードし、必要事項をご記入のうえ、ご郵送ください。個人のお客さまは、本人確認資料を同封してください。

郵送の場合 〒163-0440 東京都新宿区・・・(中略)・・・ ジャパンネット銀行 モニタリングセンター ※封筒もダウンロードしてご利用いただけます(切手不要)。 ※お手持ちの封筒をご利用の場合には、切手を貼ってお送りください。 ※宅配便やメール便では受け取りできません。 被害回復分配金支払申請書(178KB)送付用封筒(355KB)
出典:ジャパンネット銀行のホームページ

さっそくこの申請書を書いて郵送した。

電話での印象では、どちらの銀行の担当者もこの種の被害への対応に関しては手慣れた感じだった。

こういうネット通販の被害は多いのかと銀行側に尋ねると、

「最近増えていますよ。全国各地からお客様のような被害を訴える方からの連絡が毎日のように来ています」

とのこと。

どちらの銀行でも、警察への被害届を出しておくように、と指示されたので、事前に電話して必要な書類などをそろえて近くの警察署の刑事課に出向いた。事前の電話では、相手の業者の事務所所在地に「配達証明郵便」で催促や返金申し込みの手紙を送っておく必要があると言われ、1通800円かけて郵送。およそ1週間後に「宛先不明」のスタンプが押されて戻ってきた封書やこれまで業者とのメールのコピー、ホームーページのコピー、銀行振り込みの明細のコピーを持参した。

自分の地元警察署でも口座番号や口座名義人をたどれば、すぐに状況が分かる。

「香川県や岐阜県、京都、沖縄でも被害が出ていますね」

など犯罪の広がりを教えてもらえた。

全国的にこの種のネット通販の被害が相次いでいると説明する。

ただし、詐欺グループを捕まえようとしても「いたちごっこ」なのだという。

私が引っかかった偽の「パタゴニア」ネット通販サイトは、多少の専門知識があれば簡単に立ち上げられるそうだ。

わずかな期間にサイトを公開して、客が次々にダマされて苦情が銀行や警察に届き始める前に、振り込み先の口座から金を引き出し、通販サイトも閉鎖して、またの別の立ち上げる。その「いたちごっこ」。

しかも振り込み先の口座の名義人が、必ずしも「犯人グループ」と一緒というケースばかりでないことも捜査の困難になっている理由だという。

口座を買った、とか、何らかの形で利用された、という場合も少なくなく、名義人から犯人グループにたどり着くことは容易ではない。

「最近、ネットでの通販でモノを買う人が急増するのに伴って、こうした被害、増えているんです。被害に遭ったという人の中にはインターネットを使いこなせていると自信を持っている人も少なくありません」

警察官にそう言われ、まるで自分のことを言い当てられた感じで、思わず赤面してしまった。

私のように「パタゴニア」「ネット通販」などの言葉で検索して、その詐欺の通販店にたどり着く場合もあれば、大手のインターネットショッッピングモールに登録している業者が実は詐欺業者だった、というケースもあるという。

「そういう大手のショッピングモールも、いざ詐欺被害が起きても責任は取りませんから」

警察官がつぶやいた言葉が耳に残った。

そうなれば、我々、消費者は何を信じてネットで商品を購入すれば良いのだろうか。

もちろんショッピングモールにはそこで店舗を開く各業者の「評判」も公開しているのでそうしたものを見る必要もあるのだろう。

今回の私の教訓で言えば、実際にお金を振り込む前に「ちょっと待てよ」と立ち止まるチャンスはいくつかあった。

確かに業者の「会社概要」などのホームページには、住所地や責任者名は載っていた。(それが実在しないものだったことは後で分かったのだが。)メールアドレスもあったが、電話番号は最初から掲載されていなかった。

電話という、すぐに相手に連絡できる手段が明記されていないことをまず怪しむべきだった。

さらに、金額の振り込み先が「個人名」であることも怪しむべきポイントだった。

これは警察でも指摘された。

「コガワタケシ」や「シヨウテイテイ」。

詐欺業者は振り込み先を個人名にするケースが多く、「振り込み先口座の名義が個人名ならば、まず疑うべきだ」と。

ましてや、名義人が中国人名だったり、メールやホームページの日本語が怪しいとなれば、最初から疑ってやめるべきだったのだ。

「商品を発送してから、君様と連絡します」「お支払いが成功した場合は、タイムリーに、この電子メールに返信してください。我々は速やかにあなたのことをあなたのために確認し、商品をご用意しております」(「パタゴニア格安店」からのメール文)

何かを翻訳したような怪しい日本語だ。それも疑うべきだった。

ダマされた今となってはそういう注意すべきサインがところどころに見え隠れする。

残念ながら、「普通よりも相当安くモノが買える」という物欲に目がくらんだ人間は、そうしたサインを過小評価してしまう。

いいトシをして、分別がそれなりにあるはずの大人がこの有り様だ。

欲をかいてしまった自分が情けないし、自業自得ともいえる。

しかし、その負い目のために世間で大きな問題になっていないのではないか、とも感じている。

「ネット通販詐欺」の問題がこれほど広がっているのなら、もっと社会全体で対策に乗り出すべきではないだろうか。

「オレオレ詐欺」同様に、高齢者や若い世代などでも被害が深刻になっているケースがあるのではないだろうか。

ちなみに偽物ではなく「パタゴニア」の公式オンラインショップのホームページには次のような警告が出ている。

偽オンラインショップに関する告知文 パタゴニアのオンラインカタログを無断使用したウェブサイトについて 弊社の許諾を受けずに「パタゴニア」や「patagonia」との表示を掲げ、パタゴニアのオンラインカタログの画像および商品説明を使用した複数のウェブサイトの存在が確認されております。


このようなウェブサイトにつきましては、購入された商品が実際にお手元に届くか、販売されている商品が真正なものであるか、販売されている商品の品質が満足のいくものであるか等を弊社は把握致しておりません。実際、一部のウェブサイトを通じて購入手続をとられて代金のお支払をなされたのにもかかわらず商品がお手元に届かないといった例のご報告も弊社にいただいております。

弊社では、お客様に安心して弊社製品をご購入いただけるよう、直営店、正規取扱店、および公式ウェブサイトからのご購入を推奨しております。 平成25年12月12日 パタゴニア・インターナショナル・インク 日本支社
出典:パタゴニア公式サイト

昨年12月の告知だ。私が詐欺にひっかかったのが翌月の1月だから、パタゴニアとしても昨年末からネット通販詐欺を問題視していたことが分かる。

警察や銀行関係者によると、こうしたネット通販詐欺は「パタゴニア」の製品に限らず、他のブランド商品でも広がっているという。

うまい話には裏がある。

みなさん、くれぐれもご用心を!

消費者センターや、警察、マスコミなどがこの問題での周知を広め、社会全体に注意喚起することも望みたい。

私のようなトホホな被害者を作らないためにも。

おわり

(2014年2月24日「Yahoo!個人」より転載)