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谷口博文 Headshot

トランプ大統領-ショービジネスの世界

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衝撃の米大統領選から2週間。

いったい何が起こったのか、テレビではいろいろ解説してくれるけれども、いっこうに腑に落ちない。ところがあるテレビ局の映像を見て、あっそうか、と納得してしまった。

放映されたのは2007年のレッスルマニア。世界最大のプロレス興行である。WWE会長を尻目に美女二人を連れてさっそうと登場したのはドナルド・トランプ氏。マイクをもってマクマホン会長への口撃を始め、レスラー対決に負けたほうが坊主頭だと挑発。数万人の観衆を熱狂させる。自分のレスラーが負けそうになるとネクタイ姿のまま相手会長と場外戦。大逆転で勝ったトランプ氏はリング内で会長を押さえつけ、丸刈りにしてしまう。

興奮のるつぼと化したスタジアムは絶叫に包まれて幕を閉じる。今日はいい出来だった、と楽屋に引っ込んで、ギャラもらって家路につけばみなハッピーだ。トランプ氏の得意技は観衆を熱狂させ扇動する言葉、しぐさ。自身が演出兼役者のショービジネスである。彼は今回このビジネスに成功したのだ。

しかしプロレスと違って今度のショーは、終わっても家路につくわけにいかない。楽屋に引っ込もうとしたら、敵意むき出しの大観衆が待ち受ける別の舞台でスポットライトを浴びてしまった。

こちらはリアルな権力闘争の世界。古今東西、政治闘争に敗けたら命が危ない。ここでは彼の得意技が通用しない。やったことのない技を一から勉強するのは、70歳の老人にとってはつらいことだ。自分にできないことは誰かにやってもらうしかない。

レーガン大統領も似たようなところがあった。しかしいくらか経験はあり、自分の役割を知り、人を見る目をもっていた。さあてどうするか・・・というのが今ではないか。2007レッスルマニアにはオチがある。勝利に酔うトランプ氏は最後にレフェリーに投げ飛ばされてマットに沈むのだ。彼は何を考えてこのシナリオを書いたのか。