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後藤寛勝 Headshot

22歳NPO代表の僕が、ポートランドで学んだ新型都市政策。

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【※サムネイル用画像】

NPO法人僕らの一歩が日本を変える。代表理事の後藤寛勝と申します。中央大学4年生で、18歳から22歳の今も若い人と政治がつながる場と機会作りをする活動をNPOの代表として行っています。(詳しくは、こちら!

今年の夏、僕はアメリカのポートランドに訪問しました。現地の大学と行政関係者の方からツアーを組んでもらい、都市政策や政治参加の仕組みづくりについての研修を受けました。ポートランドは、アメリカオレゴン州にある人口60万人ほどの港町。都市政策や自然環境の質の高さから、「全米で1番住みたい街」に選ばれています。その中でも僕が注目したのは、公共交通政策と政治参加の仕組みづくりです。

今回から2回にわたって、現地で学んできたことについて記事を書きます。今回は主に公共交通政策について、僕がい今1番感心のある分野、"都市政策"の特徴から書きたいと思います。


◼︎コンセプトに基づく行政スタイル

まず、港町であるポートランドが「住みやすいまち」として呼び声が高い理由の一つに、「都市成長境界線」が設けられているという特徴が挙げられます。これは、都市部(内側)と農村部森林部(外側)の成長をそれぞれコントロールするための境界線です。例えば、境界線の外側では新しい商業や工業を興す事は法律で禁止されています。農家には助成や土地が保証されており、都市開発により自然や農家の方々の生活が脅かされることはありません。これにより、都市部(内側)は交通機関の整備や都市開発などを集中して行うことができるようになっています。

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※ポートランドでは地元の農作物や食材が大切にされているため、都市部でもいたる所にファーマーズマーケットが存在する。

僕がここで言いたいことは、ポートランドでは行政が都市開発を進める上で、「何のためのどういうエリアかというルール作り」がはっきりしているということです。それぞれのエリアで、それぞれのコンセプト設計がなされた上で行政運営がなされています。通常の日本の都市開発の場合、農村部や森林部に商業施設を建設するという計画が立てられ、土地の退きの攻防や周辺の商店の衰退や環境破壊など様々な問題が浮き彫りになっている状況をよく目にします。だからこそ、今後日本においても地方創生や地域活性を進める上で、このようなコンセプトに基づいた行政スタイルは非常に大切な考え方だと感じました。

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※都市部(内側)でも環境を破壊してはいけないというルールがあるため、まちにも緑があふれている。

◼︎ポートランドの交通システム

都市成長境界線は、「メトロ政府」という広域行政体が定めており、境界線内外の計画に加え、"市の交通システム"を管理しています。1960年代、ポートランドでは高速道路建設が市民の反対運動により中止になりました。道路建設に割り当てられていた予算は、ライトレールや路面電車などの主要交通の整備にあてられました。これを背景に、都市部ではここ数年で公共交通機関の発達が著しく進んでいます。公共交通機関の発達により、車いらずの移動しやすいコンパクトシティが出来上がっているのもポートランドの特徴です。

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また、メトロ政府が定めた計画を実装するのがポートランドの交通局「TRIMET(トライメット)」です。TRIMETは、1969年市議会の議決のよってつくられたバスや電車の事業会社の統一体です。TEIMETが運用する交通機関の運賃は共通で、乗車券の有効時間内であれば、乗り換えも自由です。乗車券は車内やオンラインでも可能。年間40万人(人口の約半分以上)がTRIMETを利用しています。

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※本社に訪問しました。中は撮影禁止でしたが、都市全体の交通機関の運行状況を把握するコントロールセンターでの徹底したシステム管理には、感動・・・!

僕も滞在中は、これらの交通機関を利用して移動しました。車内はバリアフリーも進んでおり、子供・若者からお年寄りまでもが非常に簡単に利用できるようになっていました。特に日本の地方では、車がないと移動がままならない「車社会」が目立ちます。このような形で丁寧な都市開発が実行される中で、多様な世代の「車いらずの移動しやすい社会」が実現していることも今後日本に必要な都市政策の特徴ではないでしょうか。

◼︎NIKE×ポートランドの挑戦「BIKE TOWN」

公共交通機関はライトレールや電車やバスだけではありません。
実は、ポートランドは自転車通勤率が全米でトップであり、自転車の街ということでも有名です。

背景には、会員5000名を超える「自転車交通同盟」というNPOや、自転車利用を促進する多くの組織が存在し、専用のレーン設置や駐輪場の設置を促すロビー活動を行っています。
地下には、自転車整備の施設もあり、これらは駐輪場と併設されており、自転車を利用しやすい環境が整っています。日本でもシェアサイクルが進みつつありますが、レーンや駐輪場など「自転車利用者のケア」にももっと力を入れると良いなと思いました。

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※都市部の地下に設置されている駐輪場

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※自転車洗浄の機械や空気入れが駐輪場と同時に併設されている

そして街に、ひときわ目立つ自転車がありました。NIKE BIKEです。NIKE(本社:オレゴン州)はポートランド市と提携し、今年7月から、"BIKE TOWN"を掲げ、シェアサイクルの運用を開始しました。なんと、1000万ドルの投資です。市には約1000台の自転車が設置されており、1日12ドルで乗り放題、ポートとポートの利用では2.5ドルと、比較的安く利用ができます。自転車の数と並行して、至るところにポートがあるので、非常に便利です。実際に乗り心地もよく、自転車もポートもまちの景観に溶け込んでいます。

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※街に溶け込み、デザインもクール。

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※ちなみに乗り心地、最高です。

◼︎それでも、"歩く人"が最優先。

こんなに公共交通機関が発展していても、この市の基本は「歩行者最優先」です。
この背景には、"徒歩20分の街"という考え方があります。徒歩で20分の所要時間で勤務先、ショッピングを行うことが可能であるまちづくりを行おうという考え方です。ポートランドは、1ブロックの長さが米国の一般的な長さの約半分で、道路幅も短く設定されています。

そのため、通常より歩くたびに景色が変わりやすかったり、街のいろいろなところに目が行きやすくなったり、「思わず歩きたくなる仕掛け作り」がなされています。そのため、メトロ政府やTRIMETが交通システムを構築する中でも、景観を守る意味でも、人が歩くことを交通が妨げてはいけないという意識が根本に存在します。歩行者視点(歩くことを阻害しない)で、ストリートカーやライトレールのデザイン、歩道の幅の整備まで行われます。実際に、気持ち良く街を歩くことができました。

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◼日本の持続可能なまちづくりの鍵はどこにあるのだろう。

僕たちがNPOの事業で展開している「票育」は主に、地方自治体との連携で進めているため、僕たちは地方に足を運ぶ機会がたくさんあります。その地域ごとの特色や魅力に触れることで、故郷が増えていく感覚を持っています。

同時に、

この特色や魅力を生かしながらの持続可能な都市開発や、補助金や助成金だけに頼ることのない地域が自走するまちづくりはどうやったら実現するのだろうか

という感覚も持っています。ポートランドの特徴として挙げさせていただいた、コンセプトに基づく行政運営や車いらずの交通システム、行政と民間の大きな連携、思わず歩きたくなる仕掛け作りなど、今後の日本の地域政策にも活かせる特徴ではないでしょうか。

そして、ポートランドのこのような都市政策の充実は「住民参加の仕組みづくり」が根底にありました。人や環境が優先され、都市が発達し、移住者が増え、子供が増え続ける背景には、わくわくしながら建設的に住民が政治に参加できる仕組みが隠れています。次回はその仕組みづくりについて書きます。