三菱UFJの休眠口座情報紛失事件から思うこと

昨日、以下のような報道がありました。「休眠口座情報、2万件紛失...三菱東京UFJ銀行」三菱東京UFJ銀行が、10年以上にわたって出し入れのない「休眠預金」の口座情報2万1500件分を紛失したことが23日、わかった。

24日、以下のような報道がありました。

休眠口座情報、2万件紛失...三菱東京UFJ銀

三菱東京UFJ銀行が、10年以上にわたって出し入れのない「休眠預金」の口座情報2万1500件分を紛失したことが23日、わかった。

休眠預金は、自民・公明両党が福祉や教育分野への民間支援に活用する方針を固めており、預金者の問い合わせが今後増えるのは確実で、銀行側は管理を徹底する必要がある。

三菱東京UFJ銀は、休眠預金の氏名や口座番号、残高などの口座情報を、データベースから書類に移して保管している。ところが、約90支店で一部の書類がなくなっていることが行内調査で判明した。例えば100枚単位で保管している書類の数枚が足りないなどの事例があった。これまで書類を悪用されたとの情報はなく、外部に流出した可能性は低いとみている。

2014年2月24日07時24分 読売新聞

とあります。

この事件は、「休眠口座の公的管理の必要性」を世に知らしめる出来事だったのではないでしょうか。

現在、報道によると、政府及び与党は休眠口座を公的に管理し、制度の谷間にあって苦しむ人々のために、社会的に活用していこうと検討しています。スキームは様々なものが報道されていますが、個人的に最も良いと思うものは以下の通りです。

・各銀行から、休眠預金を公的な管理機関(例えば預金保険機構)に移行

・預金保険機構から新設の資金配分団体に資金移行

・資金配分団体から、各種NPOバンクや中間支援団体等に融資や助成の形で配分を行い、彼らが現場で課題を抱えている人々(ひとり親、貧困状態にある子ども達等々)に対し、融資や奨学金等を提供

※ただし新設の資金配分団体は、天下り先とならないよう、十分注意する必要がある

こうした取組によって、毎年発生する休眠預金800億のうち、300〜400億円ほどが国民の手に教育や福祉等のサービスによって戻ってくる、という形です。

こう書くと、「政府に預金が取り上げられてしまう」と勘違いされる方が多いのですが、さにあらず。

新スキームにおいても、休眠化した預金を取り戻したければ、いつでも返金に応じる、という今の仕組みと何ら変わらない方法を前提にしています。

つまり、預金者の権利は永久に保護されるのです。

とはいえ、休眠口座の6〜8割は、「宛先人不明」のもの。会計上銀行の利益になり、永久に滞留してしまうものが大部分。

これを、既存の社会保障制度や教育では助けられない人々のために活用していこうというのが、現在進められている案なのです。

そして、いったん預金保険機構という行政機関に集約されることから、銀行は常に休眠口座をきちんと管理し、行政へとバトンタッチしていくことが義務づけられます。

そうなれば、今回のような不祥事は格段に減っていくでしょう。今は、銀行内部だけで扱っているものなので、どうしても管理が甘くなってしまいます。一方で、毎年必ず行政に移管、報告していくような種類のお金であれば、否が応でもきちんとせざるを得なくなります。

西村内閣府副大臣は2月19日の予算委員会において、みんなの党の山内議員の質問に答える形で、「今後、党と協議しながら進めて行きたい」と意欲を見せています。

我々国民としては、ここでがつんと政府・与党の背中を押し、休眠預金を活用した「(貧困の連鎖を断ち切り、老若男女誰もが活躍できる)新しい時代のセーフティネット」を創っていくことを、加速させていく必要があるでしょう。

銀行の地下に眠っていたお金が、困った人々の役に立つために、世の中に飛び立っていく。そして地域や経済が活性化し、国全体に活力が広がっていく。とっても素敵な話だと思いませんか?

これを夢で終わらせず、我々がポジティブな声をあげていくことで、実現させていこうじゃありませんか。

追記:

休眠口座に関しては、このサイトで一元的に情報がまとまっていますので、ご参考下さい!

(2014年2月25日の「駒崎弘樹公式ブログ」より転載)

注目記事