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7歳の少女バナ・アラベドによるツイート。シリア政府軍攻囲下にあるアレッポ東部の状況。

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アレッポはダマスカスに次ぐシリア第二の都市であり、シリア内戦で最も大きなダメージを受けた場所の一つでもある。

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アレッポは現在東西に分断されており、西側をシリア政府が、そして東側を反政府勢力が支配している。アレッポ東部はシリア政府が支配する領域の中で「陸の孤島」と化している。

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(11/8 BBC News - Why are people still living in east Aleppo?

10月のものだが、この動画を見ると、アレッポ西部が美しい風景を保っているのとは対照的にアレッポ東部がひどく荒廃している様子がわかる(西アレッポの動画はアサド政権の観光局によるもの)。

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(10/5 The Guardian - Drone footage of west and east Aleppo - video

現在もアレッポ東部に暮らす20万人強の人々は、食料の欠乏や医療機関の不足の中を暮らしている。深刻な人道危機と言える。そして、現在も、そのアレッポ東部を奪還するために、シリア政府軍が日々激しい空爆を繰り返し、ついには地上攻撃も開始している。

最新のニュースではアレッポ東部の反政府勢力が支配していた地域の3分の1がすでに政府軍によって占領されているようだ。以下の図のうち、ピンクが反政府勢力の支配するエリアであり、その中で濃いブルーの地域が政府軍によって奪還されたとされる部分である。

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(11/28 BBC News - Aleppo siege: The third of rebel-held Syria city taken by forces

こうした空爆の結果、多数の市民が犠牲になる事態が発生し、反政府勢力の支配地域からシリア政府の支配地域への大規模な脱出が起こっている。

こうしたアレッポ東部の状況を現地から伝える一つのツイッターアカウントがある。バナ・アラベド(Bana Alabed)という7歳の少女のアカウントがそれだ。

2016年9月に開始されたこちらのアカウントはすでに10万以上のアカウントからフォローされている。

バナと母親のファティマによるツイートが投稿されているが、アカウントは母親が管理している(Account managed by mom)という記載がプロフィール上になされている。

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現地時間11/27日曜日の夕方から11/28月曜日の夕方にかけての、このアカウントによる5つのツイートを紹介する。

①シリア時間 11/27 15:22(日本時間 11/27 22:22)

軍が入ってきました。これが私たちにとって最後の日々になるかもしれません。インターネットはありません。私たちのために祈ってください。ファティマ。#アレッポ

②11/27 15:44(日本時間 11/27 22:44)

最後のメッセージ。大量の爆撃を受けています。もうこれ以上生きられません。もし私たちが死んだら、まだこの中にいる20万人に対して話しかけ続けてください。さようなら。ファティマ。

③11/27 22:15(日本時間 11/28 5:15)

今夜は家がありません。家は爆撃され、がれきの下敷きになりました。人々が死ぬのを見て、私も死にかけました。バナ。#アレッポ

④11/28 10:09(日本時間 11/28 17:09)

いま激しい爆撃を受けています。いま、死と生の間にいます。私たちのために祈ってください。#アレッポ

⑤11/28 15:13 (日本時間 11/28 22:13)

メッセージ。多くの人々が激しい爆撃で今も殺されています。私たちは逃げています。私たちは私たちの命のために戦っています。いまもあなたたちと共に。ファティマ。

バナ・アラベドのツイッターアカウントに対しては、7歳の彼女が英語を話せること、またアサド政権やプーチン大統領に爆撃を止めるようにという写真を載せた投稿をしていることなどから、偽のアカウントなのではないかという非難も寄せられているという。

母親のファティマはBBCのインタビューに以下のように答えている。

嘘をついていると非難されるのは心外です。「すべての言葉は心からのものです」とファティマは言う。「すべては真実です」。
Being accused of lies is disappointing, she said. "All the words come from the heart," Fatemah said. "All are the truth".

同じインタビュー記事によると、ファティマは大学時代にジャーナリズムや政治のコースを履修していた。しかし、現在はシリアのメディアからの支援を受けているわけではなく、何らかの慈善団体に参加しているわけでもないという。

アレッポはシリア内戦において反政府勢力が最初に支配下に置いた地域であり、シリア政府軍がアレッポを完全に奪還することの戦略的かつ象徴的な意味は大きい。言うまでもなく、昨年からのロシアによるシリア政府軍への加勢が力になっているのは間違いない。

国連のデミストゥラ特使は「クリスマスまでにアレッポ東部は崩壊してしまうだろう」と述べた。深刻な人道危機がいま起きている。

(2016年11月28日「HIROKIM BLOG / 望月優大の日記」より転載)