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ネット選挙解禁で投票率は上がるのか?

2013年07月07日 22時59分 JST | 更新 2013年09月06日 18時12分 JST

足掛け15年の歳月を経て、長年の懸案事項だった「ネット選挙(インターネットを使った選挙運動)」が、いよいよスタートした。

候補者による「有料バナー広告」や一般の有権者を含む第三者(企業・団体・組合等)による選挙期間中の「(選挙運動に関わる)電子メールの使用」は解禁の対象から外されたものの、今回の法改正によって、公示日を境に更新が止まっていた候補者のホームページやブログ、ツイッター、フェイスブックなども自由に使えるようになり、"世界の選挙の非常識"とも言われた「ネット選挙規制」がなくなったことで、わが国もようやく世界の選挙先進国の仲間入りを果たしたといえよう。

しかし、わが国の公職選挙法は昭和25年に施行されたもので、「戸別訪問」は依然として規制の対象となっている。同時にインターネットについても、この法律が施行された当時はもちろん全く想定されていなかったために、公選法で頒布が制限されている「文書図画(ぶんしょとが)」に該当するとして規制していたことは拡大解釈以外の何ものでもないといえよう。

改正公職選挙法が可決・成立した4月頃から、主に懸念されていた誹謗中傷やなりすまし対策、SEO対策として様々なIT企業が新たなビジネスチャンスとばかりに、政党や候補者にセールス攻勢をかけたり、多くのマスコミもそうした問題に関する話題ばかりを取り上げてきたが、今のところ投票率の向上に結びつくような動きは残念ながらあまり見られない。

参院選の前哨戦となった東京都議会議員選挙は大きな争点も話題もなく、盛り上がりに欠けたまま投票日を迎え、前回を11ポイントも下回る、過去2番目の低投票率(43.50%)となった。また、昨年末に行われた衆院選も前回を9.96ポイント下回り、戦後最低(59.32%)を記録するなど、このところ投票率は下落傾向にある。一方、昨年末に大統領選挙が行われた韓国では、昨年4月の総選挙以来、韓流スターがSNSを通じて、自分が投票したことを知らせる「投票認証ショット」が流行し、投票率の押し上げに一役買うなど選挙を大きく盛り上げた。わが国でもこうした動きが拡がることで政治に関心を持ち、参加する若者が一人でも多く増えてほしいものだ。

また、「ネット選挙」により「デジタルデバイド」の問題が懸念されている。確かにネットを使いこなすのが苦手という高齢者は多く、高齢化が進む過疎地と都市部との格差を大きくしかねないとも言われている。しかし、これをネガティブに捉えるのではなく、子や孫が、祖父母にネットの世界の楽しさ、便利さを教えてあげることで新たなコミュニケーションが生まれ、絆が深まるような一つの機会となってほしいものだ。

ネットの世界には本当の情報や全く嘘の情報など、実に様々な情報が氾濫しており、"ネット美人"や"ネット不美人"な候補者もいる。したがって「ネット選挙」はあくまでも一つのツールと捉え、候補者の情報を集め、比較するものの、最後の判断は自分の目、耳で生の候補者を確かめることこそが、古今東西、いつの時代になっても一番大切なことと考える。

「ネット選挙解禁」により投票率は上がるのか? 一時は「若年層の投票率が大きく向上するのでは」といった見方があったものの、有権者の関心を呼ぶような争点や、注目される候補者が出てこない限り、都議選に続き低投票率が懸念される。「ネット選挙」への関心が低いというより、有権者は意外に政治をクールに見ているのかもしれない。