やはり中韓の「日本好き」が増えていた

中国のブログや中国のツイッター微博などで、日本に対してどんなことが書き込まれているかを紹介する日本語メディアを見ていると、日本に対して好意的なものが多いことが目につきます。

中国のブログや中国のツイッター微博などで、日本に対してどんなことが書き込まれているかを紹介する日本語メディアを見ていると、日本に対して好意的なものが多いことが目につきます。特に訪日した中国人は日本の社会、また日本の人びとを絶賛する書き込みが目立ちます。ただ日本語訳なので、意図的に日本に好意的な内容をピックアップしたものなのかもしれないという疑いもありました。

ところが、ビジネス・メディア誠がアウンコンサルティングが行なった2014年の「アジア10カ国の親日度調査」を2012年と比較して紹介した記事を見ると、興味深い結果となっています。中国や韓国で日本に対する好意度が変化しており、とくに韓国での変化が際立っているのです。

中国では「日本という国」に関しては、2012年の結果と比べると「大好き」が14%から10%に減ったものの、「好き」が41%から43%に増加し、あまり変化していません。それより気になるのは「大嫌い」が17%から25%に増加していることです。

しかし、「日本人」に対しては、「大好き」が13%から3%に減ったのですが、「好き」は37%から56%に大きく増えています。中国でも日本人に対しての好意度はあがっています。これは中国でのブログなどの傾向と一致しています。

韓国の結果を見ると、「日本という国」については、2012年には「大好き」が8%で、「好き」が28%で合わせて32%でした。それが2014年には「大好き」は8%と変わらないものの、「好き」は48%に急増し、合わせて56%の人が好意的だという結果になっています。しかも「大嫌い」は41%から16%に激減しています。

8月に行われた調査なので、セウォル号の悲劇など相次いだ事故を契機に、日韓の政府の比較がよく韓国メディアでもなされていまし、日本語で紹介されている韓国のネットでの書き込みも目立っていましたが、それが影響したのかもしれません。

韓国が中国に接近するという外交が行われ、韓国を取り込みたい習近平主席が韓国を「戦友」とまで言ってのけたのですが、韓国の人はしらけなかったのでしょうか。韓国と中国は「戦友」どころか、朝鮮戦争で韓国は中国に侵略された国だという事実は消えないのですから。しかも、中国のネットでは、むしろ「嫌韓」感情は日本より根深いようで、なにか取り繕っているという印象を受けます。

政治の世界では対立が続き、また経済交流も停滞してきており、まさに中韓とは「政令経冷」状態になってきていますが、中韓の人びとの日本に対する意識を見れば、決して悲観的な流れだけではありません。

またこの調査結果では、中韓を除く国々では日本へ旅行に行きたいという人が極めて高く、日本は旅行地として注目されていることも伺わせます。東京オリンピックが開催される2020年までに、訪日外国人2000万人を目標に掲げるビジット・ジャパンにとっては明るい材料です。

政治は相手国の状況によっても大きく左右されますが、実際に日本に訪れ、日本を体験する人が増えることは、自然、文化、国民性、また社会の成熟度などの日本の強みや良さが財産として生かせ、日本への好意度を高めることになります。

中国や韓国、またアジアの国々で、日本への好意度を上げていくことは、日本の安全・安心をも底支えするのですから、やはりビジット・ジャパンは国家戦略として重要ですね。

(2014年9月1日「大西宏のマーケティング・エッセンス」より転載)

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