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楽観主義が招いたマネジメントの崩壊

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昨日は、マネジメントの崩壊をまざまざと見せつけられるふたつの出来事がありました。ひとつは阪神タイガースが、対中日戦の3連敗につづいて、伝統の巨人戦3連敗を喫してしまったことです。昨シーズン同様に秋風が吹くとともにチームが失速してきました。もうひとつは、朝日新聞の木村社長の謝罪会見です。第三者委員会による検証もいいのですが、起こしてしまった結果に、朝日新聞として実際にどのように社会的責任を取るのかが示されないままに会見が終わりました。
そのふたつの出来事に共通して感じるのはマネジメントの底流に流れている楽観主義です。

まず阪神タイガースです。地元にいると、阪神ファンに囲まれている状態で、阪神タイガースの不振で、聞こえてくるのは悲鳴、失望、また怒りであり、関西の雰囲気を悪くするので困ったものです。

スポーツ紙にははや次期監督候補が大々的に報じられ、和田監督の継続は白紙に戻ったようです。
和田監督続投白紙、岡田氏、金本氏ら候補 - プロ野球ニュース : nikkansports.com

和田監督の楽観主義は、振り返ると就任時の記者会見にも見られます。

「今の戦力に少しのスパイスを加えれば優勝争いできる」

就任会見でキッパリ!和田新監督「少しのスパイスで優勝争いできる」 ― スポニチ Sponichi Annex 野球

しかし結果としてはスパイスだけでは駄目だったということでしょう。料理で言えば素材を選び生かす目、調理のスキル、それらを磨き維持するマネジメント能力そのものに問題があると感じます。

素人から見ても、シーズン終盤になって負けが増えてくるのは、おそらく情報収集力や情報分析力でライバルのチームに劣っているからではないでしょうか。気を引き締め、勝利に執着し、頑張れば勝てる、プロの世界は、それほど甘いとは思えません。つまりチームを支えるスタッフ力に問題があるということでしょう。同時期に投手陣が崩壊し、打線がつながらなくなるというのは偶然とは思えません。

フロントやGMの責任も大きいように感じます。それを象徴するように、大リーグ出身者をスカウトしてことごとく失敗しています。城島、福留、建山と誰一人活躍していません。現役で通用したのは西岡選手ぐらいでしょうか。しかしその西岡選手も福留との激突による怪我で休場を余儀なくされ、ようやく1軍に復帰したにとどまっています。こちらは、スカウト力の問題です。

チームを支える基礎をつくり変え、強化し、他チームを凌駕するべきところを、「スパイス」で強くできるというのはあまりに楽観的すぎたと感じさせます。

朝日新聞の経営陣も、まだ現状を甘く見すぎていると感じさせます。あまりにも否を認めるのが遅すぎたことも、喉元すぎればなんとかなるという発想があったのではないでしょうか。
みなさまに深くおわびします 朝日新聞社社長:朝日新聞デジタル

福島第一原発事故に関する吉田調書の誤報と慰安婦報道の誤報を同時に謝罪するということもマネジメントのセンスの悪さを感じさせます。

昨今のように情報が瞬時に世界に拡散していく時代にあって、日本を代表するメディアとしての朝日新聞の情報捏造の影響の大きさははかりしれません。

報道部門の最高責任者の職を解いたり、関係者の処分、また木村社長の進退はあくまで内部としてのけじめに過ぎず、起こしてしまった問題にどう対処するのかが示されるべきです。
普通の会社なら、例えば自動車や家電などでは問題発生を防ぐためにリコールを行います。食品偽装があれば、なんらかの代償を利用客に戻します。それが社会や顧客への責任を示すというものだと思います。小さな会社なら、たとえ小さな問題でも、経営の屋台骨をゆるがします。だから変化に耳を傾け、目を凝らし、ピーンと張り詰める緊張感も出てくるのです。
ジャーナリズムだけが、自らが起こした社会的責任をとらなくともよいとは考えられません。

謝罪するだけでなく、どうすれば、自らが招いた波紋をすこしでも緩和できるのかの知恵を示すべきなのです。そうでなければ、失った信頼を取り戻すことなどできるわけがありません。つまり、もはや朝日新聞は、企業批判も、政権批判を行う資格も失ってしまったということです。

そうできないのは、危機への対処能力も、マネジメントのセンスや倫理もないことになってきます。昨日の会見は、それを多くの人に感じさせてしまったのです。
日本や韓国、また米国の代表的メディアで大々的に謝罪広告を展開することぐらいはやってもいいのではないかと感じます。

時が過ぎれば解決するという「楽観主義」を捨て、自らが問題解決にチャレンジする行動を示してもらいたいものです。

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