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特定秘密法案が「不都合な真実」を隠せる法案になってしまうとお先真っ暗

2013年11月22日 22時59分 JST | 更新 2014年01月22日 19時12分 JST

「防衛」「外交」「安全脅威(スパイ)活動の防止」「テロ活動防止」の4分野での情報流出を防ぐという点では必要性を感じる人が多く、産経・FNN世論調査でも、特定秘密法案は、ほぼ6割の人が必要だとしています。かねてからスパイ天国と言われる状況があったり、また国防をになっている自衛隊員の800人が外国人の配偶者だといったことなどを考えても機密保持強化は欠かせません。

「自衛隊員妻に中国人600人」を読んで「国家と情報」を考える :

しかし、一方では同じ調査で政府にとって都合の悪い情報が「隠蔽されると思う」との回答が8割を超えており、そのことがこの法案の難しさをよく物語っています。

特定秘密保護法案、6割「必要」も「今国会成立見送るべき」82% 産経・FNN世論調査 - MSN産経ニュース :

言論の自由が損なわれることを懸念しての反対もありますが、それよりも懸念されるのは、法案の性格上、時の政府と官僚が好き勝手に都合の悪い真実を闇に葬ってしまう国になってしまいかねない危うさがあることです。

残念なことですが、日本の政府は信頼されているというにはほど遠いのです。信頼されていない政府がなにを秘密にするかを決めること、それを無条件で信用しろというのは無理があります。

政府が信頼されているのか、信頼されていないかですが、政府や企業、メディア、またNGOといった組織への信頼度を世界各国で毎年調査している「エデルマン・トラストバロメーター」というのがあります。その調査によると日本では組織への不信感が定着してきており、とくに政府を信頼できるとしている人は少ないのです。

2013 エデルマン・トラストバロメーター :

ちなみに2013年の調査結果では、日本で政府が大いに信頼できるという人は7%に過ぎず、信頼できるという人を合わせても32%に過ぎません。残念ながら、これは国際的に見ても低いレベルです。

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なぜ信頼されていないかですが、その理由は、日本の政府の「実行力のなさ/無能さ」が突出しています。なんと64%にも達しているのです。この項目での世界平均は31%にすぎません。

「汚職/不正行為」は4%と、世界平均の33%よりもはるかに低いのですが、「政治家の再選を優遇した不純な動機による政策の推進」については、24%と国際平均の17%を上回っていることが目立ちます。

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つまりこの調査によると、「選挙目当てで政策を進める政治家と実行力のない無能な官僚がつるんでいるのが日本の政府だ」と感じている人が多く、結果、政府は信頼出来ないと感じている人が7割近くもいるということです。

「透明性の欠如」については、政府を信頼しない理由としては7%と低いのですが、ただ福島第一原発事故後に、自民党の河野太郎議員が書いておられたブログがいまでも記憶に残っています。

原子力をめぐる不透明さ|河野太郎公式ブログ ごまめの歯ぎしり :

原子力関係のあらゆる場面でこのような疑わしいことが起きる。

例えば、原子力のコスト。原子力発電で得られた電力のコストについて、経産省が発表したコストが正しいかどうか検証しようとしてバックデータを要求すると、出された資料の大半は黒塗りだ。

なぜ、バックデータが出ないのかと尋ねると、それは電力会社の企業秘密だからだと経産省は答える。しかし、その第三者には検証できないコストに基づいて、様々な負担が決められる。

つまり、政府や官僚が、自らにとって不都合な真実を隠すという体質があることを匂わせています。政府は、現時点で秘匿している「特別管理秘密」41万件あまりを、機密保護の対象となる「特定秘密」に移行させる方針だそうですが、ほんとうにそれらの中身が、「防衛」「外交」「安全脅威(スパイ)活動の防止」「テロ活動防止」の4分野に限られたものかどうか、また国民の知る権利と照らしあわせてみて秘密にしておく必要があるものかどうかは国民にはわかりません。

この法案とセットで進められなければならないのは、情報の透明性を高め、政府、官僚組織が自らの不都合も隠すことへの抑止を強化することだと思います。ほんとうに秘密にしなければならない事案に紛れこませることをどう防ぐかの知恵を与野党ともに考えていただかないと、日本は官僚の恣意的な裁量行政をさらに広げてしまうことになりかねません。それは時代の逆行です。

秘密はなくし、あらゆる情報を透明化し、オープンにするという大原則を前提に、それでも秘密保持が必要なものはなにかをより厳密に定義すること、また後世に当時の政府を歴史的に評価できることは最低限担保しておかないと、いつまでたっても「懲りない国」になりかねません。

下手をすると官僚の不透明な支配がさらに強化され、それが日本の足を引っ張ってお先真っ暗の国になりかねません。この法案については、もっと国民の合意を取る努力、国民監視の強化を可能にすることが求められているのではないでしょうか。

マスメディアは、自らの主張や国会での与野党の攻防を伝えるだけでなく、公開討論を頻繁に開催して、国民にこの法案への理解や、いい法案にするための方策を考えてもらう機会づくりをもっとやってみてはどうでしょうか。

(この記事は2013年11月22日の「大西 宏のマーケティング・エッセンス」からの転載です)