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女性のがん、検診義務付けを 超党派議連厚労相に要望書

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塩崎恭久厚労相に要望書を手渡す「乳がん・子宮頸がん検診促進議員連盟」野田聖子会長ら©︎乳がん・子宮頸がん検診促進議員連盟

女性特有のがん、子宮頸がんや乳がん。年間約16,000人の女性がこれらのがんで亡くなっている事実をあなたはご存知だろうか?

特に働く世代(20~40代)の女性がこの2つのがんに罹患する率は男性のがん罹患率の約2,3倍高いと推計されている。それにもかかわらず、日本における検診受診率は他の先進諸国が7割を超えるのに、いまだに4割程度に止まっている。

11月30日、超党派の「乳がん・子宮頸がん検診促進議員連盟」(会長:野田聖子衆議院議員)は、塩崎恭久厚生労働大臣に対し、次期がん対策基本計画に検診受診率向上の施策を充実させることなどを骨子とした要望書を提出した。

具体的には、職場における乳がんや子宮頸がんなど女性特有のがん検診の受診率が低い状況を改善するため、雇用側に従業員のがん検診の受診を義務付けるなど、制度改革や法整備の必要性を要望した。その他、女性に寄り添った視点のがん検診の普及と検診技術の向上や、受診に行く人を増やすための受診勧奨事業の公費負担、次期がん対策基本計画策定に向け、がん経験者を含む女性によるワーキンググループの設置なども要望した。

会長の野田聖子議員は、要望書提出前に開かれた議連勉強会の挨拶で、「20歳ぐらいだと命の心配などしないもの。(からだや性の話など)隠したい思春期の女性たちの気持ちを忘れてはいけない。対象者の想いに近づいてあげないと。」と述べ、女性視点に立ってがん検診の制度設計がなされることが重要との考えを強調した。

若い世代に乳がんや子宮頸がんが増えているにもかかわらず、未受診者が多い理由として、公益財団法人日本対がん協会がん検診研究グループ小西宏マネージャーは、心理的要因と時間的要因を挙げる。子宮頸がん検診を受けない理由を調査してみると、1位は「検診で何をされるかわからず不安」が40%超でトップだった。(日本対がん協会調べ)その後、「受け方がわからない」「仕事・家事が忙しい」「女性医師のいる婦人科がわからない」と続く。

職場における検診の義務化も一つの手段だろうが、一部の大企業を除き、コスト負担増を嫌ってほとんどの企業は義務化には積極的になれないだろう。また個人事業主などは国民健康保険に加入している人が多いが、そもそも時間的制約で健康診断すら受けていない人も多い。

他の先進国のように思春期になったら娘を婦人科に連れていき、その後ホームドクターとして折々に自分のからだについて相談できるようにしておけば検診も自然と受けることが出来る。 

更に、子宮頸がんではワクチンの問題がある。

現在厚労省はワクチンの予防接種対象者への積極的な接種勧奨を2013年6月より差し控えており、その結果、ワクチン接種率は以前70%ほどあったものが現在ではほぼゼロに近いレベルとなっている。その背景にはワクチンを接種した一部の人に長引く痛みや運動障害などの症状が報告されたことがある。こうした方々の診療体制の整備などは言うまでもない。

一方で、ワクチンは接種しない、検診もしない、というのでは日本は子宮頸がん大国になってしまう。そうならないために、ワクチンの問題も検診の問題もフラットに議論し、国民個々人が適切に判断できるよう情報提供を国や自治体が行うことが望ましい。同時に、私たち自身が自分と家族の健康に向き合い、何をすべきか日常的に考え、話し合うことが必要だろう。

少子化の原因の一つに、多くの若い女性の命ががんで奪われていることがあることを私たちは忘れてはならない。