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鉄道とベビーカー

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車椅子スペースのベビーカー兼用が徐々に広まっている。

国土交通省は2014年3月26日にベビーカーマークを発表し、使用可(案内図記号)と使用不可(禁止図記号)の2種類を用意した。前者はベビーカーを折りたたまなくても、公共交通機関などの利用ができる。


■関東地方の私鉄や地下鉄の多くは、1999年1月1日から駅構内や車内でベビーカーの利用を可能にしていた

関東地方の私鉄や地下鉄13事業者では、1999年1月1日から駅構内や車内でベビーカーの使用を認めた。これまで駅構内および車内では、ベビーカーを折りたたんで利用するのが原則だったが、多数の要望により「ほかの乗客に迷惑を掛けない」、「ベビーカーの安全は乗客自身の責任」という"条件つき"で認めた。

しかし、駅構内及び車内のベビーカー使用に、迷惑を感じる人々が多い。日本民営鉄道協会が毎年実施している「駅と電車内の迷惑行為ランキング」では、「混雑時にベビーカーを折りたたまない乗客」が上位に入っている。

国土交通省では、2013年6月25日から「公共交通機関等におけるベビーカー利用に関する協議会」を行ない、3回にわたる協議の末、「ベビーカー利用にあたってのお願い」(ルール)とベビーカーマーク(案内図記号、禁止図記号の2種類)を2014年3月26日に発表し、公共交通機関などにおけるベビーカーの使用について、国民に理解を求めた

鉄道事業者の一部では、ベビーカーの案内図記号を車椅子スペースの下に貼付し、混雑時でも利用できる態勢を整えた。しかし、国土交通省が"鶴の一声"を出した現在でも、「混雑時にベビーカーを折りたたまない乗客」の苦情が絶えない。例えば、車椅子利用客の場合、"それがないと生活できない"ので、ほとんどの乗客から理解を得られているのに対し、ベビーカーの場合は、抱っこひもが存在するので、「生活必需品」とは言い切れない。


■ベビーカーを使用する乗客は、車椅子スペースの利用に消極的?

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車椅子スペースの多くは車両の端にあり、優等以外の車両では「標準仕様」と言える。

この1年間、ベビーカーを使用する乗客に幾度も遭遇し、車椅子スペースを利用した光景は1回しか見ていない。案内図記号の未貼付などもあるが、車椅子スペースの多くが車両の端に設置されているので、保護者が坐れないのだ。特に母親はおなかの中に次の命が宿っていると、利用しづらい。ロングシート車両の場合、乗降用ドア付近の席に陣取るのがセオリーと化している。

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乗務員室の背後に設けた車椅子スペース。隣に座席があるので、同行者が坐れる。

一方、小田急電鉄や京浜急行電鉄などでは、乗務員室の背後に車椅子スペースを設け、その隣にロングシートがある。保護者にとっては理想的なベビーカースペースで、疲労感が軽減されると思う。

車椅子スペースの課題は、鉄道事業者によって設置箇所がまちまちで、明確な決まりがないこと。例えば、大阪市交通局では地下鉄電車の各車両に車椅子スペースを1か所設置され、利用しやすい環境を整えているのに対し、関東地方では1編成つきに1、2か所なのが多く、物足りない。今後は各車両最低1か所設け、"より使いやすい鉄道"を目指してほしい。


■車椅子との差が縮まらない

"鶴の一声"により、ベビーカーが鉄道の駅構内や車内で遠慮なく使用できるとはいえ、「優遇」という面においては、車椅子との差が縮まらない。

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階段昇降機は、エレベーター、エスカレーターが設置できない駅にある。

ベビーカー使用の場合、階段昇降機や渡り板(駅員がホームと列車のあいだに敷く)が使えない。駅員に申告すれば対応していただけると思うが、「使えない」認識を持つ保護者が多いのではないか。特にエレベーターやスロープのない駅、ホームと列車との段差がある駅などでは、駅員やほかの乗客などの助けが必要で、明文化の次はソフト面の充実が求められる。

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優等車両の車椅子スペースは、1人掛け座席、もしくは座席1列分を省いている。

現在、車椅子兼ベビーカースペースは、通勤・近郊用の車両に限定されている。将来は優等列車の車両でも、ベビーカーの案内図記号を貼付させるのだろうか。今後の動向に注目したい。


Yahoo!ニュース個人より転載)
 

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