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青函トンネル2015-定点避難の課題と提案-

2015年04月11日 16時02分 JST | 更新 2015年06月10日 18時12分 JST

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青函トンネルの竜飛定点(竜飛海底駅時代に撮影)。

■定点とは

JR北海道、警察、消防などは、青函トンネル内で列車の火災事故を想定した訓練が、定期的に行なわれている。おもに車両の床下機器の火災、車内の放火などが発生し、車掌が消火器を使っても火が消えないという設定で、竜飛定点(旧竜飛海底駅)、吉岡定点(旧吉岡海底駅)、津軽今別駅に緊急停車し、JR北海道の消防団と消防署の隊員で消火作業を行なう。

乗客役の参加者は、JR北海道社員の誘導により避難。乗客の負傷者も想定し、担架などによる救出も行なわれる。

さて、青函トンネルの全長が53.85キロなので、火災事故が発生した場合、トンネル内で停止せざるを得ない可能性もある。当時の国鉄は防災設備が必要と判断し、竜飛と吉岡に定点の設置を決めた。

定点には、火災検知器、給水栓、消火栓、スプリンクラー(壁面の上と下、スラブ軌道の下に設置)、幅が狭いプラットホーム、トイレ、更衣室、救護室などを備えている。

青函トンネルが1988年3月13日に開業した際は、各定点を「駅」として開設し、見学客のみ利用できた。しかし、北海道新幹線の工事に伴い、2014年3月15日のダイヤ改正で、「駅」としての役割を終え現在に至る。

今回、青函トンネル内で発生した、特急〈スーパー白鳥34号〉新青森行きの発煙事故は、初めて定点が避難場所として使われた。JR北海道の「適切な対応」という言葉に偽りはないが、私はソフト面が充実していない印象を受けた。

■携帯電話が通じない

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10円硬貨専用の公衆電話。10円だけ入れた場合、通話時間は最大でも約1分。

定点内には公衆電話が備えてあり、今回のような非常事態が発生した場合、身内や勤め先などに連絡ができる。しかし、竜飛定点の公衆電話は10円硬貨しか使えない"昭和タイプ"で、しかも1台のみ。海底駅時代は「珍しい」「なつかしい」「今も現役なのがスゴイ」という、"見学客を驚かせる小道具"のような存在に見えた人がいると思う。

非常事態が発生した以上、公衆電話の更新と増設が急務だ。

同時に携帯電話の電波も届くようにしたい。青函トンネルでは定点に限定し、漏洩同軸ケーブルの敷設、もしくは基地局のアンテナ設置が急務である。避難した乗客が真っ先にしたいのは、「一刻も早く誰かに連絡したい」ことで、地上に出るまで、それすらできないというのは酷だ。本人だけではなく、帰りや来訪などを待っている人にとってもストレスがたまる。

青函トンネル内サービスエリアの拡大については、今後の課題となる。漏洩同軸ケーブルは、列車が運転しない時間帯しか敷設できないからだ。

■竜飛定点側ケーブルカーの盲点

特急〈スーパー白鳥34号〉新青森行きの発煙事故発生から、乗客124人の地上避難が完了するまで、5時間以上もかかった。要因のひとつとしてケーブルカーをあげておきたい。

日テレNEWS24の記事やVTRなどによると、ケーブルカーを9往復運転しており、片道1本あたり8~16人ずつ乗せた。日テレNEWS24では「定員は約15人」と記載している。

私は定員に疑問を持った。2013年9月3日に旧竜飛海底駅を訪れた際、ケーブルカーは見学客32人、案内人1人の計33人全員が乗車しているからだ。調べたところ、竜飛定点側のケーブルカーは、オレンジとイエローの2種類が存在する。

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旅客営業用のケーブルカー、セイカン1。

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作業用のケーブルカー。青函トンネル記念館の開館中は、線路の外で冬を待つ。

オレンジの車両は旅客営業用で、青函トンネル記念館の開館中(冬季休館)に使用されており、40人乗車できる。一方、イエローの車両は作業用で、定員は約15人。同館が本年の営業開始前と終了後にクレーンを使って、車両を入れ替える(注、吉岡定点のケーブルカーは旅客営業を行なっておらず、車両はイエローのみの模様)。事故当日、青函トンネル記念館が休館中なので、イエローの車両を使用しており、仮にオレンジの車両だったら、4往復ですんだ。

このケーブルカーは作業用として作られているので、吉岡定点共々、行き違い設備がない。そのため、時間がかかってしまう。非常事態が発生したとはいえ、車両の入れ替えが容易ではない。

両定点とも、ケーブルカーの隣に階段があり、健常者(任意)のみ約25分かけて歩く選択肢もあった(JR北海道のプレスリリース参照http://t.co/cX8DGjpMOz)。しかし、途中で乗客が体調を崩す可能性があること、地上側に通風門があるので、「安全面に問題あり」と、判断したものと考えられる。

JR北海道の島田修社長は、青函トンネルの避難誘導マニュアル見直しを明らかにした。仮に現行のマニュアルを継続する場合、定員増の新型車両投入を検討していただきたい。

■バス、JR東日本、道南いさりび鉄道との連携強化を

事故当日、最初のケーブルカーに乗った乗客が地上(青函トンネル記念館)に到着したのは、19時55分。JR北海道が手配したバスの第1便が発車したのは2時間09分後の22時04分だ。乗客にとっては長時間も待たされたことに不満があるかもしれないが、バス会社に非はない。

青函トンネル内の避難などの訓練を定期的に実施しているとはいえ、他の交通機関との連携も行なわれていたのだろうか。"かゆいところまで手が届く"ほどやっていたら、青森駅への到着が大幅に早かったと思う。

御存知の通り、北海道新幹線新青森―新函館北斗(現・渡島大野)間が2016年春に開業する予定だ。JR北海道はH5系を使用した、避難などの訓練が行なわれるはず。訓練だけではなく、バス、JR東日本、道南いさりび鉄道(北海道新幹線開業時、JR北海道江差線木古内―五稜郭間を引き継ぐ)との連携強化を図り、"少しでも早く目的地などに到着させる"ことも重要だ。

現行のマニュアルを前提として、私案を述べると、「竜飛定点―バス―JR東日本津軽線三厩駅」、「奥津軽いまべつ駅(現・津軽今別駅)―JR東日本津軽線津軽二股駅」、「吉岡定点―バス―道南いさりび鉄道木古内駅」といったルートの確立。JR北海道がJR東日本、道南いさりび鉄道に臨時列車の運転、定期列車の増結を要請するなど、"スピーディーで、きめ細かい"対応と行動が必要と考える。

Yahoo!ニュース個人より転載)