北陸新幹線金沢―長野間は、2015年3月14日に開業

北陸新幹線高崎―長野間が1997年10月1日に開業して早17年。懸案だった金沢―長野間の開業が2015年3月14日に決まった。同日、JRグループ全体のダイヤ改正も行なわれる予定だ。

JR東日本北陸新幹線用E7系。2014年3月15日のダイヤ改正でデビューした。

北陸新幹線高崎―長野間が1997年10月1日に開業して早17年。懸案だった金沢―長野間の開業が2015年3月14日に決まった。同日、JRグループ全体のダイヤ改正も行なわれる予定だ。

北陸新幹線は、1997年10月1日に高崎―長野間が開業し、翌1998年2月の長野オリンピック開催に間に合わせた。管轄するJR東日本では、北陸地方への延伸が先になるので、「長野行新幹線」という名称で案内していた。しかし、マスコミは一斉に「長野新幹線開業」と報じたことが影響したのか、JR東日本はその後、「長野新幹線」に"修正"している。

東京―長野間は、〈あさま〉が全列車2時間以内に結ばれたことで、首都圏への通勤・通学圏内となった。JR東日本では、新幹線用定期券も設定し、同区間1か月用の料金は、FREX(通勤用)176,110円、FREXパル(通学用)125,250円で発売している(料金は2014年4月1日現在)。

さて、今回の北陸新幹線金沢延伸により、高崎―上越妙高(現・脇野田)間はJR東日本、上越妙高―金沢間はJR西日本の管轄となり、乗務員の交代は、〈あさま〉と〈つるぎ〉を除き、長野で行なわれる。

なお、1つの新幹線路線で、管轄する鉄道事業者が2つにまたがるのは史上初である。

JR東日本とJR西日本は、2013年10月10日に北陸新幹線金沢延伸時の列車愛称を発表し、速達タイプは〈かがやき〉、停車タイプは〈はくたか〉、シャトルタイプは〈つるぎ〉、現行の長野新幹線タイプは〈あさま〉にそれぞれ決まった。

翌2014年8月27日、定期列車の運転本数や停車駅も決まったので、改めて御紹介しよう。

※停車駅の太字は通過する列車あり。

1日10往復運転。停車駅は上野、大宮、長野、富山で、群馬・新潟両県の駅はすべて通過する。

東京―金沢間を最速2時間28分で結ぶ列車なので、現行の上越新幹線〈とき〉〈Maxとき〉と特急〈はくたか〉の乗継(最速3時間47分)に比べ、1時間19分以上の短縮となる。2015年3月14日以降、同区間を東海道新幹線〈ひかり〉とエル特急〈しらさぎ〉の乗継利用する人が大幅に減るだろう。

さて、通過する軽井沢には可動式ホーム柵もなく、安全性の向上が求められる。金沢延伸時までぜひ設置してほしい。

1日14往復運転。停車駅は上野、大宮、高崎安中榛名軽井沢佐久平上田、長野、飯山、上越妙高から各駅である。〈はくたか〉の多くは、上下列車とも長野で〈あさま〉に接続すると考えられる。

列車によっては、高崎―金沢間各駅停車もありそうだ。JR東日本は、上越新幹線用E4系(オール2階建て新幹線2代目Max)の廃車を進めるはずなので、ラッシュ時の東京―高崎間は、若干の増発で対応するつもりかもしれない。

1日1往復運転し、各駅に停まる。

1日18往復運転し、新高岡に停まる。富山―金沢間の途中駅は、新高岡のみなので、通過駅はない。

北陸本線金沢―富山間(北陸本線の下りは、金沢から富山へ向かうのに対し、北陸新幹線はその逆となる)は、2015年3月14日に第3セクター鉄道2事業者の経営移管が決まっているため、特急〈サンダーバード〉〈しらさぎ〉に接続する"シャトル列車"として設定された。

1日16往復運転。停車駅は上野、大宮、熊谷本庄早稲田、高崎、安中榛名、軽井沢から各駅である。

現行の〈あさま〉は、速達タイプ、停車タイプ、各駅停車タイプの3種類としており、煩雑な運行体制となっている。2015年3月14日以降は停車タイプと各駅停車タイプの2種類となる。

北陸新幹線初代車両E2系。長野新幹線用は赤い帯が目印。

なお、〈かがやき〉〈はくたか〉〈つるぎ〉は、全列車E7系(JR東日本保有)とW7系(JR西日本保有)のいずれか12両編成で運転される。〈あさま〉の一部列車については、引き続きE2系8両編成で運転され、北陸新幹線初代車両は、もうしばらく活躍する。

関西発着唯一の夜行列車、臨時寝台特急〈トワイライトエクスプレス〉。

大阪―札幌間を結ぶ夜行列車。ただし、臨時列車扱い及び、北陸本線金沢―直江津間の第3セクター鉄道3事業者転換のため、最終列車の札幌行きは2015年3月11・12日運転、大阪行きは同年3月12・13日運転の可能性もある。

現行の特急〈はくたか〉は、北越急行ほくほく線内で160km/h運転を行なう。

現行の特急〈はくたか〉(おもに越後湯沢―金沢間を運転)は、新幹線列車に"昇格"するため、在来線列車としては、2度目の廃止となる(1度目の廃止は上越新幹線開業時だった)。

●特急〈北越〉

特急〈北越〉は、2015年3月13日をもって、45年の歴史に幕を閉じる。

金沢―新潟間で1日5往復運転。現行の特急〈はくたか〉とともに、上越新幹線接続列車でもある。

福井始発富山行きと、泊始発富山行きの通勤特急で、平日のみ各1本運転。北陸新幹線金沢延伸後、後者については廃止。前者については後述する。

●快速〈くびき野〉

快速〈くびき野〉は、特急〈みのり〉の"格下げ列車"として登場。

新井―新潟間を1日3往復運転。485系特急形電車を使用した"乗りドク列車"で、グリーン車や指定席も連結されている。

長野―直江津間で、快速として上り1本、普通列車として下り3本、上り2本設定。いずれも189系特急形電車を使用している。

同区間は、しなの鉄道と越後トキめき鉄道の2事業者転換が決まっているため、廃止が決まった。なお、JR東日本、JR西日本のプレスリリースでは、「快速〈妙高〉」のみ記載されているのが気になる。普通列車〈妙高〉も廃止になるはずだ。

【路線廃止】

全国新幹線鉄道整備法により、北陸新幹線に並行するJRの在来線は、第3セクター鉄道が引き継ぐ。

なお、北陸本線から分岐する七尾線、城端線、氷見線、高山本線(猪谷―富山間)、大糸線(南小谷―糸魚川間)は、JR西日本が引き続き運営する。

●JR東日本信越本線長野―直江津間

長野―妙高高原間は、しなの鉄道北しなの線、妙高高原―直江津間は越後トキめき鉄道妙高はねうまラインにそれぞれ引き継がれる。

なお、信越本線篠ノ井―長野間は、引き続きJR東日本の路線となるので、しなの鉄道の先行開業区間(旧信越本線軽井沢―篠ノ井間)とは離ればなれとなる。

例えば、しなの鉄道屋代高校前から信越本線北長野まで利用する場合、大人運賃は390円(割引運賃適用)である。しかし、2015年3月14日以降は、「しなの鉄道(屋代高校前―篠ノ井間)+信越本線(篠ノ井―長野間)+しなの鉄道(長野―北長野間)」となるので、運賃の値上げは避けられない。

●JR西日本北陸本線金沢―直江津間

金沢―倶利伽羅間はIRいしかわ鉄道、倶利伽羅―市振間は、あいの風とやま鉄道、市振―直江津間は越後トキめき鉄道日本海ひすいラインにそれぞれ引き継がれる。

●特急〈サンダーバード〉

2015年3月13日をもって、「富山」の行先表示も見納め。

大阪―富山・和倉温泉間などを結ぶ昼行列車。北陸新幹線金沢延伸後、金沢以遠の運転は、七尾線直通列車を除き消滅。富山方面へは〈つるぎ〉に乗り換える。

なお、七尾線直通列車は、現行の4往復から1往復に減る。

名古屋・米原―富山間などを結ぶ昼行列車。北陸新幹線金沢延伸後は、金沢以遠の運転がなくなる。

平日のみ運転。北陸新幹線金沢延伸後、「金沢行き」に変更される。

●特急〈しらゆき〉

E653系4両車(車体腰部がオレンジ)は、上越・北陸新幹線接続特急に転用される。

新潟―新井・上越妙高間で1日5往復運転し、すべて越後トキめき鉄道妙高はねうまラインに直通する。車両は特急〈フレッシュひたち〉で活躍していたE653系4両車を特急〈しらゆき〉用に改造した、「E653系1100番代」を投入する。

〈しらゆき〉という列車愛称は、1963年4月20日から1982年11月14日まで、国鉄の急行として運行された実績があり、33年ぶりの復活となる。

金沢―和倉温泉間で1日5往復、福井―金沢間で1日3往復をそれぞれ新設する。

新潟―新井間で2往復、新潟―糸魚川間で1往復をそれぞれ新設し、いずれも越後トキめき鉄道に直通する。列車愛称を付与するかは未定。

北陸新幹線金沢延伸は、観光やビジネスの両面において、移動時間の短縮、滞在時間の拡大など、経済効果が顕著に表れると思う。

しかし、並行在来線を引き継ぐ第3セクター鉄道4事業者にとって、華々しいのは開業初日だけ。苦しい経営状況になるのが目に見えている。"孤立在来線"となってしまう、七尾線、城端線、氷見線、高山本線(猪谷―富山間)、大糸線(南小谷―糸魚川間)も同じで、該当する沿線の人たちにとって、「JR線+第3セクター鉄道」の割高運賃は、家計などを逼迫する恐れもあり、私は"鉄道離れによる自動車の移行(マイカー通勤やスクールバスの運行など)"を危惧する。

全国新幹線鉄道整備法は、本当に必要な法案なのか。新幹線は"夢の超特急"から、"並行在来線などを苦しめるのりもの"に変わりつつある。

Yahoo!ニュース個人より転載)

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