Huffpost Japan
ブログ

ハフポストの言論空間を作るブロガーより、新しい視点とリアルタイムの分析をお届けします

岸田法眼 Headshot

地下鉄博物館に01系カットモデル車両が登場!!

投稿日: 更新:
印刷

2016-08-15-1471266782-8060275-20160815_Kishida_1.jpg

地下鉄博物館のモニュメントに加えられた01系カットモデル車両。

東京メトロでは、銀座線車両の1000系更新が進められており、日本の鉄道車両に新風を吹かせた01系が2016年度限りで引退する。その功績をたたえるかの如く、カットモデル車両が地下鉄博物館に搬入され、2016年7月12日から展示を始めた。

■01系の軌跡

2016-08-15-1471266824-2826365-20160815_Kishida_2.jpg

現役の銀座線01系は残り5編成30両となった(2016年2月撮影)。

01系は銀座線の新世代車両として、営団地下鉄時代の1983年5月に登場し、1984年元日にデビュー。乗降用ドアの開閉時に鳴動するドアチャイム、車内駅名表示器を採用したほか、車体側面の側窓ピラーを黒色アルマイト仕上げにして、大きな1連窓に見せるようにするなど、同業他社に影響を与えた。

当初、冷房、暖房とも未搭載だったが、平成に入ってから搭載され、快適性が向上(昭和に新製された車両は冷房改造を受け、1995年に完了。暖房は未搭載のまま)。1993年8月2日のダイヤ改正をもって、旧型車の置き換えが完了した。1997年には溜池山王駅の開業でさらに1編成増備され、計38編成228両で製造を終え、末永く活躍するものと思われた。

しかし、車両が小さく(長さ16m、幅2.6m、高さ3.485m)、改修工事の際、新しい機器の搭載が困難という問題もあり、東京メトロはリニューアルを断念。東洋初の地下鉄車両、東京地下鉄道(銀座線浅草―新橋間の前身)1000形をモチーフに、最新技術を採り入れた1000系が2011年9月に登場し、2012年4月11日にデビューした。

これに伴い、01系は2013年4月から廃車が始まり、現時点、試作車3両、熊本電気鉄道へ移籍した4両以外は解体。1両は先頭車の前面部分を残したカットモデル車両として、地下鉄博物館に"活躍"の場を移した。

■開館30周年記念の一環として、01系の展示が実現

同館を運営する公益財団法人メトロ文化財団によると、01系の引退が近づいていることや、開館30周年記念の一環として、01系の展示を計画。東京メトロ車両部と数回にわたる協議により、カットモデル車両という形で展示が実現したという。

今回の展示に際し、既存展示物の一部を移設することで、場所を確保。2016年6月13日に01-129号車(2016年廃車)の前面部分が搬入された。かなりの手間を要したそうで、車両の屋根から天井までのあいだは、銀座線のトンネルと同様に「ギリギリ」という言葉が当てはまるほど短い。東西線の高架下に設けられているので、高さに余裕がないのだ。

2016-08-15-1471267514-8437591-20160815_Kishida_3.jpg

01系の乗務員室。

2016-08-15-1471267546-6137087-20160815_Kishida_4.jpg

頭上に並ぶ様々なスイッチと扇風機。

01系カットモデル車両は、乗務員室に入れることもあり、好評を博している。小さな子供にとっては、運転台のハンドルを操作するのが面白いらしい。一方、東京メトロなどのOBにとっては、懐かしく、自身がハンドルを握った思い出の車両に心が弾む。

2016-08-15-1471267582-3759223-20160815_Kishida_5.jpg

模型の銀座線と丸ノ内線は、新旧車両が赤坂見附駅に集い、発車を待つ。

運転席に坐り、前方を眺めてみると、「メトロパノラマ」というジオラマで、東京の街を再現。各路線の模型電車が集結し、1日4回ショータイムが行なわれている。模型の銀座線は01系が健在で、他線の車両も含め、"小さな同僚たち"を見守ってゆく。

2016-08-15-1471267617-146751-20160815_Kishida_6.jpg

東京高速鉄道100形。

さて、同館に展示されている東京高速鉄道(銀座線新橋―渋谷間の前身)100形の車両番号も129号車だ。偶然にも銀座線で活躍した先輩と後輩の「129号車」がカットモデル車両として館内に同居し、1000形や300形とともに、後世に歴史を伝える役割が与えられている。

2016-08-15-1471267653-3632470-20160815_Kishida_7.jpg

01系を紹介する大きなイラストは、引退後も展示が続けられる。

その中に01系が入ったのは"偉大な車両"という表れで、「銀座線は古い」というイメージを払拭し、先述の同業他社に影響を与えたほか、先頭車前面のフロントガラスを黒色で囲い、ラインカラーとアクセントカラーを組み合わせた車体識別帯は、1988年以降の新型車両にも受け継がれた。01系は1980年代以降の営団地下鉄及び、東京メトロ電車の"礎を築いた車両"と言っても過言ではない。

■今後、展示車両の追加は?

東京メトロでは、ホームドア設置を推進するべく、車両の世代交代を進めており、2015年度は千代田線用の06系が静かに幕を引き、全10両が解体された。2016年度は先述した01系、2017年度は千代田線用の6000系、2019年度は日比谷線用の03系が引退する。

メトロ文化財団によると、今のところ、追加展示の予定はないという。しかし、展示場所の確保と東京メトロ車両部などの理解をいただければ、今後も「資料的な要素があるもの」を増やしたい意欲がある。

地下鉄博物館
1986年7月12日、東西線葛西駅高架下に開館。地下鉄の歴史や車両の仕組み、国内外の地下鉄などを紹介するほか、シミュレーションコーナーもある。入館料は大人210円、子供100円。20人以上は団体料金(事前予約制)が適用される。現在、1日の入場者数は、平日が140~150人(夏休み期間中は600~700人)、土曜日が700~800人、日曜日が1000人前後だという。

2016-08-15-1471267696-6444967-20160815_Kishida_8.jpg

6000系シミュレーション車両は、地下鉄博物館のオリジナル。

地下鉄博物館の1番人気は6000系のシミュレーションで、動揺装置の搭載により、実際の電車に乗った(運転した)気分を味わえる。

2009年2月、経済産業省は同館に展示及び所蔵されている、東京地下鉄道1000形、東京高速鉄道100形、テストピース(当時のトンネル壁断面)、ターンスタイル自動改札機(再現品)、『東京地下鉄道株式会社社史』の5つを「近代化産業遺産」に認定した。

【取材協力:公益財団法人メトロ文化財団、東京地下鉄】