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経営難のシティホテルを救う、ホテルインターコンチネンタル東京ベイを生まれ変わらせたブライダル企業の挑戦

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高級ホテルの代名詞だったシティホテルの凋落が叫ばれて久しい。

外資系ラグジュアリーホテルの進出と、全国にチェーン展開する宿泊主体型といわれるビジネスホテルの旺盛により、旧態依然としたコンセプトが不明確なシティホテルの立ち位置は曖昧だ。

そのような中、デフレの流れ、世界主要都市の中で東京の地位下落が危惧される中で、新たな挑戦をするシティホテルが現れてきた。巨額の資金を投入して既存のシティホテルを再生させ、利用者の需要を喚起することで好調な業績を重ねている、シティホテルの新たな潮流である。

ブライダル企業の参入-ホテルインターコンチネンタル東京ベイの新たな挑戦

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ホテルインターコンチネンタル東京ベイの運営会社である、株式会社ホスピタリティ・ネットワークの全株式を、ハウスウェディングのトップ企業である、株式会社ベストブライダルが取得したのは2011年1月のこと。

国際的なホテルチェーンでもある「インターコンチネンタル」を冠するホテルを、ブライダル企業が経営・運営していくということは当時大きなニュースとなった。少子化による婚礼需要減少が見込まれる中で、シティホテルを取得し「ブライダルホテル」に変え、ブライダル業界で競争力を付ける目論みなのだろうともいわれた。

あれから3年、ホテルインターコンチネンタル東京ベイの"今"を追った。

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2011年当初は、実際に「ブライダルホテル特化」へ舵を切ったのだろうか。当初は、婚礼施設とロビーの改装を施した。

ロビーは、これまでの暖炉を撤去し、正面には洛中・洛外図、家紋タイルを配置。ブライダル特化の現れだと思われた。

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ところが、2012年には料飲施設を全面的にリニューアルに着手する。

ロビーの洛中・洛外図左手にはニューヨークスタイルのラウンジ、その名も「ニューヨークラウンジ」が誕生した。これは日本的なブライダルのイメージとは違う。というより、洛中・洛外図とのギャップが新鮮ですらある。また、その奥にはスタイリッシュな「イタリアンダイニング ジリオン」が誕生した。

そして、2013年には客室の改装にも着手。

多くのシティホテルが客室単価を下げる中で、高単価フロアを増床するとともに、備品のクォリティも向上させ、更には「眠りのおもてなし」というテーマでベッドやリネン類も特筆すべきクオリティへグレードアップした。

大きな勝負に出たといえるが、実際の客室稼働率をみると、2013年4月時点で前年比20%増の93.3%と高水準。高単価フロアであるエグゼクティブフロアでは客室単価が5~6000円増、クラブインターコンチネンタルフロアについても8千円~1万円増と好調だ。

ホテル業の素人だから再生できた

外資系ファンドの短期投資対象というイメージもあったシティホテルという業態で、このような長期ビジョンに立った巨額の投資を行い、見事に再生を果たしたベストブライダルとホスピタリティ・ネットワーク。

その秘密について、代表取締役の塚田正由記氏へインタビューを試みた。同氏はマスメディアへの露出が極めて少ないことでも知られていたが、快く迎えていただいた。

ホテルのプロではないブライダル会社の手法が、シティホテルへ注入されたという今までにない試みが、ホテルインターコンチネンタル東京ベイの再生にどのような影響を与えたかという点を中心に伺った。

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塚田氏は、「ホテル経営・運営には素人である、ブライダル企業が手がけたことが再生の鍵」と語る。

同ホテルの運営会社の親会社であるベストブライダルは、ハウスウェディングを手がけるが、ハウスウェディングというスタイルゆえ、そのホスピタリティはホテルにも増してゲスト密着型であり、常に高い品質が求められ、新たな顧客目線のサービス提案を続けなければ生き残れない業態であると語る。それは常に新たな「価値・創造」だともいう。

そのようなベストブライダルという企業の持つ手法と高いポテンシャルは、旧態依然としていたホテルに新たな息吹を生み、それまでホテルで働いていたホテルマンにも新たな希望を与えたのだ。

塚田氏に、ホテル経営に大切なものは何かと質問した。「ハード・ソフト・そしてヒューマン」といった辺りが一般的な"正解"だろうか。

しかし、同氏は臆することもなく「喜び・幸せ・夢」と熱く語る。「喜び・幸せ・夢」と何度も繰り返す。そして少し考え「社員のやりがい、収益」と答えた。

ほとんどのホテルで上層部のみしか把握していないホテルの損益を、全社員が見られるシステムを導入しているという。「喜び・幸せ・夢」は、もちろんそれらがゲストにもたらされることを意味するが、全社員の損益把握も、社員のやりがいと、「喜び・幸せ・夢」に繋がるのだろうか。このような話は、他のシティホテルでは聞いたことがない。

ブライダル企業の手法が、ホテルインターコンチネンタル東京ベイを再生させた要因であることだけは間違いなさそうである。

客室のクオリティの高さを肌で感じるこのホテルは「ブライダルホテル」ではない。ディスティネーションホテルの条件さえも備わったといえる。

一方で、ブライダルの業績も堅調である。

塚田氏は「ブライダル特化型ホテルといわれることも全く構わない」ともいう。塚田氏のリーダーシップは、イメージを保つことが先行しがちなシティホテルにはない柔軟な発想をも併せ持つ。

現在、同社では、ストリングスホテル東京の再生も手がけているという。苦境のシティホテル経営者にとって、新たに注目すべきホテルの登場だ。塚田氏の手腕には今後も目が離せそうにない。

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(取材・執筆:ホテル評論家・Hotelers編集長 瀧澤信秋)

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