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「土日休みとか残業代、甘えだと思う」 現役VCが語る、成功する起業の勘所

2015年01月22日 18時53分 JST

「真剣に起業を考えているんだけど、そもそも起業ってどうやるの?」「何が必要で、どう集めればいいの?」「結局全部がよくわからない」という人のために、NTTドコモベンチャーズの現役ベンチャーキャピタリスト、三好大介氏が基本の知識から、ベンチャー界隈の内情まで、まとめてレクチャー。

起業するには若いほうがいいのか、それとも社会人経験が必要か。事業計画書はどの部分が重視されるのか。初期の資金はどうやって集めるのが一般的か。さらに「日本のベンチャーキャピタルって本当にお金持ってるの?」という生々しいところまで話しています。10月6日に行われた「第3回 Tech Institute オープンセミナー『いまアプリで起業するには?』」での講演をまとめました。

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起業するなら社会人経験後か、学生か

まず起業については学生のときに早く始めた方がいいと言う人たちもいますし、社会人で経験を積んでから始めた方がいいと言う人もいます。ただ実際は、こうやったらいいという基本はないのです。なので、そのときどき、またはその人によってやるべきタイミングがありますし、あとは時代の流れもあります。

たとえばサラリーマンからスタートする、要は社会人経験を持った状態からスタートする。これには当然メリットがあります。で、当然デメリットもあります。私自体はまだ自分で事業を興したことがない人です。興したことがない人と、興したことがある人に大きな差があります。自分の給料を自分が稼がなくちゃいけないという意識の差がたぶんすごく大きい。要は、サラリーマンともなりますと、土日は休みだとか、残業代が出るとか、コンプラのきつい時代、こんなこと言うと怒られますけれども、「甘え」だと思っています。

事業によっては合わせなきゃいけない、守らなきゃいけない、締め切りがありますのでそれに合わせて働く。結果が大事なのであって、時間が大事なわけではないです。結果が出るまで頑張る。経営者というのは基本そういうことだと思っています。そのためにどれだけ働きますか、という覚悟がいる。その代わり、逆に経営者になったとき嫌なことはしないという選択肢も存在します。あとはそうですね、ある程度裁量というのが存在しますよね、自分たちの自由になることもあります。

学生からスタートするときも当然メリットもあります。たとえば若い人が何か質問すると、ある程度の人が優しく答えてくれます。あと先入意識がない。要はこうやったらダメだという意識がないということは、一つの武器です。なので、学生の頃から始めるというのもありです。

ただ、学生のときのデメリットは、社会経験が少ない時、どういうふうに世の中が動いているか、どういうふうに話せば通じるか、わからないというのがありますので、そこをどうやって進んでいくかということがあります。なので、起業を始めるタイミングなどについては、早い方がいいとか遅い方がいいとか一切なく、人それぞれですのでそのときどきによって皆さんの判断と思います。

事業計画書とおりに成長する会社はない

事業計画というものがあります。自分の会社、同じく自分の事業を、こういうふうに伸ばしていくというのを、当年度において基本月単位、次年度以降についてはクォーター単位とかで作ったりするものですが、正直な話、ベンチャーキャピタリストは私も含めてですけれども、3年先、5年先まで出せと言います。ただ、私個人としては、実は来年までしか見ません。要はこの不確定な時代に再来年とか5年後、そのとおり成長する会社はまずないです。

私は2000年からこの仕事をしていますが、累計たぶん千数百社と会っていますが、3年先を当てていた会社、それ以上に伸びた会社はたぶん片手、5社以下です。ほぼそのとおりになりません。なので、皆が「コンサバに作りました」とか言ってきますがそのとおりにすらなりません。なので、ただ自分たちがどうありたいというのを形にしていく。それに対して、説得性を持たせるために事業計画というものは見させていただく。

資金繰りは最も大事な部分です。会社は赤字でも潰れませんが、キャッシュがなくなると潰れます。現預金が最も大事なものなので、それを事業で確保する。ファイナンスで、外部資金で確保する。自分たちで考えて、これがまわる、うまく運営できる形で常に持っておかないといけません。

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資本政策に正解はないです。ただ覚えていて欲しいのは、資本政策は後戻りできません。一度外部からお金をもらうなどした場合、借入金は返せますが、資本金は基本返せません。なので、ここはよく考える。もし資本政策という文字を見たときは、よく考えた方がいいというのだけを覚えておいていただければ。

バリュエーションとか優先株と書いていますが、もしこれが必要な段階になったら言ってください。今日このあとでもいいですし、どこかでメールをいただければ相談には応じます。

日本では年間9万社が新たに生まれている

日本において年間にどのくらいの会社が生まれているのか、政府の平成23年のちょっと前のデータでは年間だいたい9万件の会社が生まれます。これは別にITとかベンチャーとかそういうものではなく、飲食とか含めてそういうのをぜんぶ含んだ状況の会社です。ただ、会社設立登記がされている会社なので、いちおう会社形態はとっているというのがあります。

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ベンチャーと中小企業の差を説明するのは難しいのですが、日本における会社のうち99.7%は中小企業です。雇用は3分の2は中小企業が支えています。日本における倒産件数は東京商工リサーチさんが出していますが、だいたい1万1000くらい。なのでこの式がそのまま使えるわけではないですけれども、年間だいたい8万弱くらい会社がいちおう増えているという形になります。

ベンチャーキャピタル協会が出しているデータを見ると、2000年にインターネットバブルがありまして、当時はものすごい金額がたぶん出資されていたはずです。その次のヤマがたぶん2003年から2004年にバブルがあったので、高いヤマがあります。次に2007年。まだ景気が良かった。リーマンショックの前ですね。で、今その次のヤマが来ています。なので、投資額がどんどん増えている形になっています。

実際は毎年一定額が投資されるわけではなく、年によってすごく多く投資される年もあれば、あまり投資されない年もある。要は景気によって変動を受けます。2014年上期、今はどっちかというと高いヤマの方に向かっている時期ですけども、上期で850億強ですかね。ただそのうち国内が300億弱なので、日本の会社が海外に投資した額の方が多いです。

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米国の投資額は日本の10倍、日本のVCは「お金を持っていない」

ただ社数に関していいますと、おそらく日本企業に投資している方が多いです。何を言っているかというと、一社あたりに対して投資している金額、日本の場合、おそらく平均1億切ります。アメリカの場合、おそらくもっとでかい金額を投資しており、一社あたりの調達額は、日本と海外で現状においてはだいぶ差があります。

2014年でいうと、ITがだいたい投資先のうち50%で、IT系がやっぱりそれなりに今の時点においてはベンチャーキャピタルがよく投資しているエリアにあります。ステージで、アーリーとかシードとかありますけれども、基本的にこれ、絶対基準があるわけではなく、皆が「これがだいたいアーリーだな」と思えばアーリーですし、「これはシードかな」と思えばシードなんで、正しい統計にはたぶんなりませんが、日本で多いのは、アーリーステージ、またはミドルステージへの投資だと思います。

アメリカのベンチャーキャピタルの世界は、2兆とか3兆円投資するのです。日本はその10分の1程度、1000〜2000億弱くらいしかお金は動いていません。なので、アメリカのベンチャーキャピタルで動いているお金の絶対額は日本の10倍、経済的格差より圧倒的な差がついていますね。

これについてはいろいろなことが言われますが、日本のベンチャーキャピタルはそんなにお金を持っていません。または、それだけのお金を投資すべきベンチャーがないのです。

日本はベンチャーに厳しいとか言っている人もいるのですけれども、実はベンチャーにとっても優しい社会です。マザーズの上場基準、たぶん世界的にいうとかなり低いと思っています。日本では売上げ数十億で上場しますが、アメリカは数百億になってから上場したりします。そういう時に必要な資金を、日本は早い段階から株式市場から得て、アメリカはベンチャーキャピタルが入れている。そのために需要と供給が調整されているのかもしれません。

事業に一貫性は必要か? ミクシィを例に

会社というのは創業者が1人なのでしょうか、複数なのでしょうか。たぶん1人起業の方が多いです。創業という定義をどうするかというのは悩むところですが、皆がわかるように言うと、まずAmazonは1人で創業していると思いますし、Google、Yahoo!は複数人で起業したと思います。

そしてFacebookはおそらく1人、みたいな形で分類できますが、日本はたぶん圧倒的に1人で起業している方が多いと思います。だからといって1人で起業してくださいと言う気は全然ないです。ただ、現実を見ると、代表者が複数いるというケースは珍しいですよね。

事業には一貫性があった方がいいのか?と聞かれますが、本当に答えがない。大事か、大事じゃないかで言えば大事なのですけれども。基本、強い想いを持って事業をしていただきたいので、一貫性がある方がいいです。ただし、柔軟に対応することが必要な時もあります。

たとえば今、ネット系でいうとミクシィ。創業以来たぶん、事業は今3つ目です。もともとはFind Job!でスタートして、SNSで成長して、今はゲーム。あれがあのまま人材広報の会社だったら今はなかったかもしれません。なので、その時々に応じて柔軟に事業を変えていく、変化していくということは、会社を運営していくにあたって必要なことかもしれません。でも柔軟だったらいいというわけでもないです。

日本最古の電子書籍事業はいつ生まれたか?

その反対に一つの事業をずっと続けるケースもある。日本において、本当に最古かは自信がないのですが、電子書籍業をずっと現在に至るまでずっと続けておられる会社の中で、いちばん最初に創業した会社は何年にできたでしょうか?

私の知っているいちばん古い会社は95年にできています。当時、ブロードバンドはなかったです。モバイルインターネットはまるでないです、というか携帯電話すら普及してたっけ?みたいな時代に創業し、今なお成長している会社があります。

その会社はパピレスといいます。天谷さんという社長がおられますけれども、今は何歳かわからないのですが、信念で「いつか時代は来る」と堪え忍ぶこと10数年。2010年くらいにたぶん上場されていますが、十何年間も我慢し続けた。それは強い意志で一つの事業を信じ続けたから生まれたこと。なので、一つの事業に固執するのは悪いとは言いません。そういうこともあります。

起業に適した年齢とは

起業の年齢について触れますと、古いデータですけれども2007年に新しく起業した人では60歳以上の方が20%台後半います。なので年齢は関係ないと思います。日本だとたとえばブックオフの坂本さんも、ブックオフを創業されて、今だとレストランチェーンで有名な「俺の」をやられている。「俺の」を作った時たぶん70歳くらいです。ブックオフは50歳くらいで作られた。あとはそうですね、アンパンマンのやなせたかしさんは60歳でアンパンマンを作られました。

年をとったら不利になることもありますが、年齢をとったことによって花開く、有利なこともあります。起業にもし資金が必要なら年をとっている方がお金あるかもしれませんし、人脈や経験が必要なら年齢をとることによって得るものもあります。なので年齢は関係ないです。若い方がいいこともありますし、年をとったから遅いということはないです。男性・女性でいうとまだ男性の方が多い。女性はあまり伸びることがなく、だいたい30%くらいですね。ぜひ頑張ってほしい。または正しく伸ばしてあげたいなと思います。

起業の資金集めに必要な4つの「F」

起業にあたって資金というのはとっても大事なものです。「4F」という表現がすごい好きなので紹介します。アメリカで言われるのですが、自己資金を意味する「Founder」、家族から借りる「Family」、知人から借りる「Friends」。さて、もう一個プラスすべきなのは何でしょう。わかりますか?

答えは「Fool」です。「そんなことに金を出すやつはバカだ」と言っているのかもしれま?