ビルマ:和平交渉への女性参加、保障を

ビルマでは1948年の独立以来、民間人が紛争下で人権を侵害されてきた。政府軍と民族武装勢力との戦闘が近年断続的に起き、停戦協定は崩壊の危機にさらされている。

(ニューヨーク)― ビルマ政府と民族武装勢力は、国内で長年続く武力紛争の停止に取り組むにあたり、女性の実質的参加を保障すべきだと、ヒューマン・ライツ・ウォッチは本日発表の報告書で述べた。ビルマ政府はまた、政治的移行過程において女性の人権を優先事項とすべきだ。

2016年8月下旬、2015年11月の総選挙で成立した国民民主連盟(NLD)率いる現政権と複数の武装勢力が、和平会議「21世紀のパンロン会議」で協議を開始する。

Residents of Ngot Ngar village, Kutkai township, Shan State, in front of their homes, which have come under attack from the Burmese military.

© 2016 Fiona MacGregor/Myanmar Times

今回の報告書「紳士協定:ビルマの和平交渉と政治的移行における女性参加」(全18頁)では、ビルマでの和平交渉への女性参加と、内戦が女性にもたらした甚大な影響が検討されている。

ビルマでの内戦終結を目指した過去4年あまりの交渉に女性の姿はほぼなかった。

確かにアウンサンスーチー氏は与党NLDを率いており、和平交渉に参加する組織に女性指導者が数名存在するとはいえ、2012年以降の主要な8回の和平協議に関わった幹部195人のうち女性はわずか10人だった。

「ビルマの女性は自国の将来を決定するうえで、重要かつ包括的な役割を果たす権利がある」と、ヒューマン・ライツ・ウォッチの女性の権利アドボカシー担当サラ・テイラーは述べた。

「ビルマの女性は長年人権侵害を被りながらも、人権状況を改善すべく懸命に努力してきた。今こそ彼女たちの意見が正面から全面的に取り上げられるべきだ。」

2016年5月、ヒューマン・ライツ・ウォッチはビルマ国内の女性の権利活動家、武装組織幹部、停戦監視団体、外交官ら25人以上と会談した。

女性団体からは、政府関係者と非政府武装組織指導部が長年女性を軽蔑的に扱ったり、議題に女性の権利を含めるよう求めると「邪魔者」扱いしてきたとの指摘があった。

女性の権利を訴える有名な活動家は、協議の合間の休憩での「ティーブレイク・アドボカシー」が、進行中の協議で女性が交渉団に影響を及ぼす唯一の機会であることが多いと述べた。

ビルマの女性が和平交渉で大きな役割を果たすべきなのは、女性たちが内戦の被害をさまざまな形で被っているからだけではなく、女性の参加は、あらゆる和平交渉で人権に関する懸念事項が、完全なかたちで扱われるのを促すことにつながるからだと、ヒューマン・ライツ・ウォッチは述べた。これは長期的かつ永続的な和平が実現するうえで、きわめて重要な点である。

ビルマでは1948年の独立以来、民間人が紛争下で人権を侵害されてきた。政府軍と民族武装勢力との戦闘が近年断続的に起き、停戦協定は崩壊の危機にさらされている。

女性を和平交渉の正式なパビルマでは1948年の独立以来、民間人が紛争下で人権を侵害されてきた。政府軍と民族武装勢力との戦闘が近年断続的に起き、停戦協定は崩壊の危機にさらされている。ートナーに含めることに加え、現政権は前政権が制定した女性の権利を制限する法律、および女性保護が不十分な刑法の条項を改廃すべきだと、ヒューマン・ライツ・ウォッチは述べた。

家庭での女性に対する暴力や、職場でのセクシャルハラスメントを犯罪化する特定の法律がないだけでなく、現行法では、暴力を振るった男性への接近禁止命令などのかたちで、女性は国家からの保護を受けることもできない。

国際人権法、および国連安全保障理事会決議第1325号女性、平和、安全保障に関する一連の決議は政府に対し、公的生活での女性差別の撤廃と、公的な事柄に女性が参加する権利の尊重を義務づけている。

こうした行動が、ビルマの女性が和平交渉、平和構築、平和維持、人道対応、紛争後の復興など、武力紛争の防止と終結に関して果たすべき基本的な役割の基準とされるべきだ。

「ビルマ政府と国軍、民族武装勢力は、こぞって女性の権利の尊重の促進に真摯に取り組むべきだ」と、前出のテイラー・アドボカシー担当は述べた。「3者は今回のパンロン会議を開催するにあたり、まずは交渉の場で女性に中心的な位置づけを与えるべきである。」

(2016年8月25日「Human Rights Watch」より転載)

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