BLOG

日本:移住労働者政策の改善と難民の受け入れ 必要

2017年01月13日 16時46分 JST

(東京) - 日本に住むマイノリティの人びとは、人権の完全な享受に向けて困難に直面しており、難民認定は非常に残念な状況だった、とヒューマン・ライツ・ウォッチは本日発表の2017年世界人権年鑑で述べた。

ヒューマン・ライツ・ウォッチの日本代表の土井香苗は、「日本はアジアにおける重要な民主主義国家であるが、それにみあうグローバルな倫理的指導力を示しているとはいえない」と指摘する。「シリア人を含む多数の庇護希望者に門戸を閉ざしている他、日本に入国できた難民申請者もほとんど難民認定されなかった。」

発行27年目を迎える「世界人権年鑑2017」(全687ページ)で、ヒューマン・ライツ・ウォッチは90を超える国々の人権状況を評価。その序文でケネス・ロス代表は、新世代の権威主義的な大衆主義者が、人権を多数派の障がいとみなし、人権保護の概念を覆そうとしていると指摘。

世界経済の発展から取り残されたと感じ、暴力的な犯罪への恐怖を募らせる人びとのために、市民社会団体、メディア、人びとは、これまで人権尊重型民主主義社会が基礎を置いてきた価値を再確認するという重要な役割を負っている。2009年4月に東京オフィスが開設されて以降初めて、世界人権年鑑に日本の章が加わった。

日本は、難民申請者や移住労働者にとって未だに厳しい国となっている。

近年、難民認定申請者数は大きく増加しているが、2016年上半期に難民として認定されたのは4名に過ぎなかった。外国人技能実習生(主に中国やベトナム出身で、工場労働や、農業、漁業、建設業などに従事することが多い)に対しても、2010年以降労働法が完全適用されるようになったものの、法的保護はいまだ脆弱であり、違法な残業や賃金未払い、強制帰国などの人権侵害が2016年も続いた。

日本で同性婚は認められていない。しかし2016年、性的少数者への注目は増し、同性パートナーシップを認定する自治体も増加した。

ヒューマン・ライツ・ウォッチは2016年報告書でLGBTの子ども・生徒に対するいじめ問題を調査・検証したが、学校を含む日本社会における性的指向・性自認に基づく差別に対応するための超党派議員連盟が立法議論を続けたものの、十分な進展はみられなかった。

4月には、障がい者権利条約批准のための国内法整備の一環として日本政府が制定した「障がい者差別解消法」が施行された。

7月に障がい者施設「津久井やまゆり園」(相模原市)で、26歳の男性により男女19人が刺殺され、27人が負傷した。しかしながら、地域社会での自立生活を実現する権利の保障など、障がい者に対する偏見を解消するための抜本的な改革は打ち出されていない。

日本の刑事法も人権の観点からは十分とはいえない。刑事訴訟法は、起訴前の被疑者を保釈の可能性なしで、最長23日間拘禁することを認めている。また2016年中、3人の死刑囚に絞首刑が執行された。

前向きな動きとして5月、児童福祉法の一部改正案が可決・成立。子どもが権利の主体として初めて明記された。本改正法はまた、施設から家庭へと社会的養護制度の大転換を謳う。

ヒューマン・ライツ・ウォッチが2014年報告書で強調したとおり、社会的養護下の子どもの約85%が施設入所下にある現実がある。

安倍首相は2013年に「自由、民主主義、基本的人権、法の支配の基本的価値に立脚」した外交を展開すると宣言した。しかし特にアジアにおいて、静かな外交が目立つことに変わりがなかった。2016年の安倍首相演説では、こうした価値を共有する国々との連携を深めると約束するにとどまった。主たる例外は北朝鮮であり、北朝鮮政府による日本人拉致問題などに起因する。

日本は、フィリピン、タイ、カンボジア、ベトナム、ビルマといった深刻な人権問題を抱えるアジア諸国に対し、多くの場合沈黙を貫いている。安倍首相は最近、訪日したフィリピンのロドリゴ・ドゥテルテ大統領を歓迎したものの、麻薬撲滅戦争における6千人超の超法規的殺害を非難しなかった。

米大統領選挙後、米国が多くの人権問題で指導力を発揮することに対する期待が低くなったことを受け、土井代表は「アジア最大の民主主義国であり、世界第3位の経済大国である日本がその指導力を示すために、安倍政権は特に重要な時期を迎えている」と指摘する。

「2017年の門出にふさわしいのは、難民と移住労働者の保護に向けた大胆な改革の実現だろう。」

(2017年1月12日「Human Rights Watch」より転載)