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「キラーロボット」はアカウンタビリティを欠く 法的責任追及にさまざまな困難、禁止が当然

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「キラーロボット」が次世代兵器になるかもしれない。人の介入なく、自ら標的を選択、攻撃できる機械だ。しかしロボットが法を犯したとき、誰が責任を取るのだろう。プログラマー、製造者、軍司令官? それともしまいには、ロボットが法廷に立つのだろうか。
(c) 2015 Russell Christian for Human Rights Watch

アカウンタビリティがないのだから、起こりうる犯罪の歯止めも、被害に対する損害賠償も、責任者への社会的批判もない。被害者が出た場合を想定すると、法による正義を追求する上でいくつもの障害がある。完全自律稼動型兵器の禁止が急務であることを示す証拠だ。
ボニー・ドチャティ、武器局上級調査員で報告書の筆頭執筆者

(ジュネーブ)プログラマー、製造者、軍関係者は、完全自律稼動型兵器、通称「キラーロボット(殺傷ロボット)」を原因とする不法な死傷について、その責任をまったく問われない可能性があると、ヒューマン・ライツ・ウォッチは本日発表の報告書で述べた。今回の報告書は、同種の兵器に関する国連ジュネーブにおける多国間会合に先立ち発行された。

責任追及の穴:キラーロボットをめぐるアカウンタビリティの欠如」(全38頁)は、完全自律稼動型兵器の行動について、民事刑事双方で個人の責任を問うにあたり多大な障害があることを詳しく示した。法的責任が追及できないことの帰結についても詳細に論じた。本報告書は、ヒューマン・ライツ・ウォッチとハーバード大学法科大学院の国際人権クリニックが共同で発表した。

「アカウンタビリティがないのだから、起こりうる犯罪の歯止めも、被害に対する損害賠償も、責任者への社会的批判もない」と、ヒューマン・ライツ・ウォッチの武器局上級調査員で報告書の筆頭執筆者ボニー・ドチャティは述べた。「被害者が出た場合を想定すると、法による正義を追求する上でいくつもの障害がある。完全自律稼動型兵器の禁止が急務であることを示す証拠だ。」

完全自律稼動型兵器が実現すれば、既存の遠隔操作型無人機(ドローン)よりも問題は深刻となる。人間の実質的操作なしに標的を選択、攻撃できるようになるからだ。また存在していないとはいえ、実現を目指して技術開発は急速に進んでおり、国際社会は関心と懸念を募らせている。

ヒューマン・ライツ・ウォッチは「ストップ・キラーロボット」キャンペーンの共同創設者でコーディネーター団体の1つだ。50以上のNGOが参加するこの国際連合体は、完全自律稼動型兵器の開発・製造・使用の先制的な禁止を求めている。

本報告書は2015年4月13日~17日にジュネーブの国連で開かれる「致死力を備えた自律型兵器システム」に関する主要な国際会合で配布される。特定通常兵器使用禁止制限条約(CCW)に加盟する120カ国の大半が今回の専門家会合に出席予定だ。会合は2014年5月に開催された、初の非公式専門家会合で始まった議論を引き継いで行われる。

ヒューマン・ライツ・ウォッチは、同条約のスキームで完全自律稼動型兵器について検証、協議を行うとの合意から、最終的には当該兵器を禁ずる新たな国際法が生まれうると考える。特定通常兵器使用禁止制限条約(CCW)は、失明をもたらすレーザー兵器を1995年、先制的に禁止した。

完全自律稼動型兵器に関する主な懸念のひとつは、国際人道法と国際人権法を侵害し、民間人を殺害する恐れだ。この兵器の特徴は、人間による実質的な制御が存在しない点にある。そのため不法な行動をとった人物の刑事責任を問うことが難しくなる。

軍の指揮官または兵器操作者は、犯罪のために意図的に完全自律稼動型兵器を投入した場合には罪に問われうると、ヒューマン・ライツ・ウォッチは述べた。しかし自律型ロボットの不法な攻撃を予見できず、かつ/またはそれを防ぐことはできないというもっと一般的な状況では、法の裁きを免れる可能性が高くなるだろう。

「完全自律稼動型兵器は、人であれば戦争犯罪に匹敵しうる行動をとる可能性がある。だが被害者が直面するのは、その犯罪行為で誰も処罰を受けないという事態だ」と、ハーバード・ロースクール・クリニックの講師も務めるドチャティ上級調査員は指摘した。「そうした行動を『事故』や『不調』と呼べば、この兵器がもたらしうる致死的被害を矮小化することになる。」

民事面でのアカウンタビリティの追及にも同様に大きな障害があると、ヒューマン・ライツ・ウォッチは述べた。民事上の責任を問うことは、少なくともアメリカでは事実上できない。軍と軍の契約業者には法的な免責特権があり、製造物責任訴訟については証拠を示すことが難しいからだ。他国でも、これと似たような主権にかかわる免責特権があることが多い。

仮に訴えることができても、アカウンタビリティの追及手段として考えると、民事訴訟の有効性は限られている。民事制裁金は処罰ではなく、被害者の補償を第一の目的とする。損害賠償は被害者支援になりうるが、抑止、因果応報、倫理的スティグマという点では刑事上のアカウンタビリティの追及に代わることはできない。

法的過失を証明せずに補償を受けることのできる制度があっても、実質的なアカウンタビリティを実現することにはならない。しかも大半の政府は、こうした制度の採用を躊躇するだろうと、ヒューマン・ライツ・ウォッチは述べた。

アカウンタビリティの欠如は、完全自律稼動型兵器にまつわる数多くの懸念のうちの1つに過ぎない。ヒューマン・ライツ・ウォッチは本報告書以外でも、この兵器が国際人道法と国際人権法の遵守をめぐって直面する深刻な問題を明らかにしてきた。また軍拡競争の可能性、武器の拡散、戦場で機械が人の生死を決定することの倫理的問題にも懸念を表明してきた。

「アカウンタビリティの欠如が、完全自律稼動型兵器への法的、倫理的、技術的批判に加わり、先制的禁止を求める声は更に強まっている」と、前出のドチャティ調査員は述べた。

(2015年4月9日「ヒューマン・ライツ・ウォッチ」より転載)

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