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人権ウォッチ:LGBTの権利に関する議論高まる

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先週、神奈川県海老名市の市議会議員がLGBT(レズビアン、ゲイ、バイセクシュアル、トランスジェンダー)に関するマスコミ報道を批判して同性愛者を「異常動物」と呼ぶツイートをした事件で、過去の記憶を思い起こさせられました。石原東京都知事(当時)は5年前、同性愛者を「どこかやっぱり足りない感じ」がすると発言しました。

しかし2010年以降、状況は大きく変わりました。東京都では同性パートナーシップを認める特別区が出てきたほか、複数の日本企業が手当の支給範囲をLGBTの従業員に広げています。大阪市淀川区は2013年に、また沖縄県の県庁所在地である那覇市は2015年7月に、LGBTを支援する自治体を宣言しました。

世界各地で同じような変化の兆しがありますが、一方で道徳に反すると反発する動きも見られます。今回の海老名市議の同性愛嫌悪発言もその一例といえるでしょう。

市議会がただちに反応して辞職を求め、発言者本人が謝罪するに至る一方、こうした発言は人を深く傷つけるとともに、LGBTの人びとに憎悪が向けられているという感覚を引き起こすことを強調しておきたいのです。特に弱い立場にある人たちにとって、憎悪の言葉が引き起こすダメージは大きいのです。

現在ヒューマン・ライツ・ウォッチは、日本の学校でのLGBTの若者へのいじめと嫌がらせに関する調査を行っています。このなかで、公に高い地位のある人や学校の管理職レベルの人たちの同性愛嫌悪発言を聞いて、いじめを受けたけれども被害を訴えるのを思いとどまらざるをえなかったと語る若者たちが何人もいました。

こうした場合に最も重要なのは、政府が不正確な憎悪発言を非難するとともに、性的指向と性自認について知る途上にある子どもたちを含むLGBTの人びとを積極的に守るための施策をとることです。日本政府には、同性愛者を攻撃する有害発言が野放しにされない状況を作る責任があります。こうした対応は、すべての国民の安全、情報、表現の自由の権利を保障する政府の義務の一部なのです。

日本は近年、性的指向および性自認に基づく差別と暴力の廃絶をうたう2011年2014年の国連人権理事会決議の採択にあたり、国連でリーダーシップを発揮しています。今こそ決議がうたう原則を国内でも実施し、日本に住むLGBTの人びとを守る施策を打ち出していくべきです。

(2015年12月7日「Human Rights Watch」より転載)

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