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国連:新たな開発アジェンダの中心に人権を

2013年09月25日 23時51分 JST | 更新 2013年11月25日 19時12分 JST

(ニューヨーク)-9月25日に開かれる国連総会の特別イベントにて、ポスト2015年開発アジェンダに人権を全面的に盛り込むよう、各国首脳は全力を傾けるべきである。

国連ミレミアム開発目標(MDGs)をはじめとする開発に向けたあらゆる努力における人権の欠如が、近年の進展にもかかわらず、開発の全体的な効果を縮小させている。人権が中心に据えられていない開発は、排除・差別・不平等をもたらしていると、ヒューマン・ライツ・ウォッチによる新たな報告書は明らかにしている。

「人権をしっかりとした軸としなければ、世界で最貧困層の、周縁化された人びとのもとに開発の効果は届かない」とヒューマン・ライツ・ウォッチのプログラム局長代理イアン・レビンは述べる。「ポスト2015年開発アジェンダでは、排除・差別・不平等に取組むべきである。そして、貧困克服に向けた開発プログラムに、貧しい人びと自身が参加することを保障すべきだ。」

多くの人びとが、ジェンダー・年齢・民族・障がい・宗教・カーストその他の社会的地位に関連した差別を受けた結果、経済発展の利益や経済的機会・資源・サービスを享受できないでいる。例えばヒューマン・ライツ・ウォッチは、ネパール中国において、障がいを抱えた子どもに対する重大な制度的障壁がある実態を取りまとめている。

ミレミアム開発目標には、障がい者などの周縁化された人びとに関する目標やターゲットが含まれておらず、人権のフレームワークが欠如していた。その結果、不平等や差別といった問題に、各国政府、二国間援助国あるいは国際金融機関が対処するインセンティブも、説明責任(アカウンタビリティ)も存在していなかった。

ヒューマン・ライツ・ウォッチによる長年の調査は、開発が人権に根差していない場合、虐待や社会からの排除といった問題が発生する危険性を明らかにしてきた。多くの場合、女性、子ども、宗教的あるいは民族的少数派、先住民、障がい者を含む、最貧困層そして最も周縁化されたコミュニティが置き去りにされてきた。

ポスト2015年開発アジェンダが人権を中心に据えるのであれば、差別や不平等の問題に関心を集め、これらに対処する行動を促すだろう。また人権を基本とした開発アプローチは、各国の政策が最貧困層に与える影響に関する、政策決定者の説明責任を強化することとなろう。

人権は、ポスト2015年開発アジェンダ設定に向けた国連主導のプロセスと議論から、重要テーマとして浮かび上がった。9月25日に予定される国連総会特別イベントおよび今後1年の間、既に存在する人権へのコミットメントを改めて促進するとともに、持続可能な開発アジェンダ全体における諸権利へのコミットメントをさらに強化することが重要だ。各国政府は以下に掲げる具体的な分野での行動を約束すべきである。

  • 差別問題に取り組み、格差を縮小し、異なるグループ間の機会均等化を促進するための目標やターゲットを設定すると共に、少数民族、先住民、障がい者を含む、最貧困層で最も周縁化された人びとの環境改善に向けた具体的な目標を設定すること。
  • ジェンダー平等と女性の権利を支援すること。女性への暴力を防止・処罰し、被害者に対する十分なサービスを確保するため、各国の法律・政策・慣習・行動に於いてジェンダー差別をなくし、平等を推進するための行動を各国政府に要求すること。
  • 各国政府と国際援助国・機関に対し、全ての人の人権の着実な実現に向けた明確なコミットメントと、参加・透明性・説明責任を確保する強固なシステムを備えた、経済的・社会的開発アプローチをとる要求を、ポスト2015年開発アジェンダに盛り込むこと。人権へのコミットメントには、医療・保健、教育、栄養、水、衛生、土地、住居を改善する計画を含まなければならない。
  • 言論・結社・集会の自由の権利、自由な選挙に参加できる権利、司法へのアクセスを含む、市民的及び政治的権利をポスト2015年開発アジェンダで不可欠のものとして位置付けること。
  • 企業に対し、自らの業務における人権デュー・デリジェンス(適正評価)を行い、企業活動の人権的・社会的・環境的影響、さらに自国政府や外国政府への企業支出についての公表を義務化すること。
  • 国際金融機関の全ての開発政策や事業に、人権尊重を義務付けること。
  • 途上国・先進国双方に対しコミットメントを求めることにより、ポスト2015年開発アジェンダを普遍的なものにし、包括的で持続可能かつ人権を尊重する開発への責任を果たすための、説明責任追及を強化すること。

「今週の国連での議論は、開発アジェンダにとって極めて重要である」と前出のレビンは述べる。「世界各国の政府は、限定的あるいは過度に厳密的な開発へのアプローチではなく、どこに暮らす人でも自らの普遍的権利を実現でき、貧困と恐怖に苦しむことなく生きられるよう、広範なアプローチを選ぶべきだ。」

(この記事は、「ヒューマン・ライツ・ウォッチ」のサイトで9月23日に公開された記事の転載です)