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中国:労働教養制度を全面廃止し、抜け穴も設けてはならない

2013年11月19日 23時38分 JST | 更新 2014年01月19日 19時12分 JST

一人っ子政策の見直しは不十分で、今も人権を侵害しかねない

中国政府はついに、長年にわたる内外からの批判に応えて、労働教養制度を廃止すると発表した。これは重要な一歩だが、裁判なしで拘禁できる制度を新設しないとの政府の確約がなければ意味がない。

ブラッド・アダムズ、アジア局長

(ニューヨーク)-中国政府は、「労働教養」(労働を通じた再教育) 制度を廃止すると発表した。中国政府は、人権侵害の原因となっているこの制度の廃止を発表するだけでなく、そのかわりに裁判なしに拘禁する別の制度も導入しないこともあわせて発表すべきである。

中国共産党は11月15日、第18期中央委員会第3回総会(3中総会)で採択された文書(60頁)の全文を公表し、経済、金融、司法などの改革の方針を明らかにしたが、その中で労働教養制度を廃止するとした。

3中総会ではこのほか、一人っ子政策の緩和(夫婦のいずれかが一人っ子であれば、2人目の出産を許可)、死刑適用犯罪の範囲縮小、自白の強要と誤審の削減努力、裁判所の地方政府への追従を減らす改革などが発表された。

ヒューマン・ライツ・ウォッチのアジア局長ブラッド・アダムズは「中国政府はついに、長年にわたる内外からの批判に応えて、労働教養制度を廃止すると発表した」と指摘。「これは重要な一歩だが、裁判なしで拘禁できる制度を新設しないとの政府の確約がなければ意味がない」と述べる。

労働教養制度(中国語で通称「労教」)は原則として、刑事罰には及ばない軽犯罪を対象とする。しかし警察は、反体制活動を弾圧し、政府に批判的な人びとや請願者、人権活動家、非公認のキリスト教宗派や禁止された宗教団体の信者、そのほか公安が「脅威」と見なされる人々を拘禁するために、この制度を長年用いてきた。

共産党の今回の決定では、政府が「犯罪行為の処罰矯正に関する法律を改革し、地域社会における矯正制度を改善させる」との発表がなされた。司法部によれば、地域矯正制度が2009年から全国で試験導入される一方で、地域矯正実施措置(Community Correction Regulations)が2012年2月に発表された。地域矯正法(Community Correction Law)の法案は、すでに国務院に提出され、検討に付されている。内容は現時点で公表されておらず、拘禁を可能にする条項があるかどうかは不明。また拘禁条項が存在する場合でも、裁判などの適正手続(弁護士との接見交通権など)を経ずに拘禁できる条項となっているのかも不明である。

国営メディアの報道によれば、一部の労働矯正施設(労働改造所)は、薬物常用者リハビリセンターに転用されている。このリハビリセンターも強制労働をさせることが可能な行政拘禁であり、多数の省に存在する。

一人っ子政策はどのように変わるのか

今回の決定では、大方の予想通り、夫婦のうち1人が一人っ子であれば2人目の出産を許可する、との発表も行われた。現在は、夫婦共に一人っ子である場合に限り、2人目の出産が認められている。

この措置により、2人目をもうけることのできる夫婦の数は増える。しかし、中国の強制的な産児調整政策の根本は変わらない。中国では出産を制限するために、法的強制措置を含む強制的な手段が用いられている。

政府当局は、女性に出産数を守らせるため、定期的な婦人科検診の受診、出産前の許可申請を義務づけているほか、規定数の子どもを産んだ後はIUDの挿入か、不妊手術に同意するよう定め、妊娠した場合には中絶を義務づけている。

これらの義務を守らないと、処罰の対象となる。中絶や不妊手術が強制的に行われるケースが頻繁に報告されている。

前出のアダムズ局長は「中国が産児調整制度全体を廃止して強制を違法としていれば、たいへん大きな前進だったろう」と指摘。「今回の発表は前進とはいえども、見直し後の政策も、依然としてリプロダクティブ・ライツを不当に制限しており、人権侵害を引き起こす」と述べる。

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ヒューマン・ライツ・ウォッチ 代表 ケネス・ロス (PBS):

(この記事は、「ヒューマン・ライツ・ウォッチ」のサイトで11月16日に公開された記事の転載です)