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中国:許志永氏への見せしめ裁判での判決を撤回せよ

2014年02月15日 17時02分 JST | 更新 2014年04月16日 18時12分 JST

市民のあいだには汚職への懸念が広まっている。その声を反映し、穏健な手段で批判を行う人に厳罰が科されている。これは現在の中国が、批判的意見にいかに不寛容であるかを明らかにするものだ。習近平国家主席は、汚職との戦いを政権のかなめだとしている。だが普通の市民が汚職問題を取り上げると、刑務所送りになるのだ。こうした欺瞞的な措置は、習氏が国家主席として行う反汚職キャンペーンを台無しにするものだ。


ブラッド・アダムス、アジア局長

(ニューヨーク)-中国の著名な人権活動家、許志永氏が「群衆を集め公共秩序を乱した」として、公共秩序騒乱罪容疑で裁判にかけられ、懲役4年の判決を言い渡された。これは、汚職に反対する市民の抗議を委縮させるための見せしめだ。

裁判報道は検閲された。「中国幹部指導者の親族が、海外の口座に説明のつかない財産を保有している」という外国メディアの報道が検閲されるのと同様だ。

許氏(40)は「新公民運動」を提唱し、汚職や教育差別に反対する非暴力の抗議運動の組織化に中心的な役割を果たしている。中国の裁判所は先週、「新公民運動」の活動家である趙常青氏と侯欣氏らの裁判を行った。丁家喜、李蔚、袁冬、張宝成の4氏の裁判は1月27日に予定されている。

このほか3人について昨年12月に裁判が行われたが、まだ判決は言い渡されていない。

ヒューマン・ライツ・ウォッチのアジア局長ブラッド・アダムスは「市民のあいだには汚職への懸念が広まっている。その声を反映し、穏健な手段で批判を行う人に厳罰が科されている。これは現在の中国が、批判的意見にいかに不寛容であるかを明らかにするものだ」と指摘した。「習近平国家主席は、汚職との戦いを政権のかなめだとしている。だが普通の市民が汚職問題を取り上げると、刑務所送りになるのだ。こうした欺瞞的な措置は、習氏が国家主席として行う反汚職キャンペーンを台無しにするものだ。」

中国は2013年4月に許氏を自宅軟禁した。警察は7月10日に氏を拘禁し、8月2日には正式に逮捕した。12月4日に許氏の身柄は人民検察院に引き渡された。

北京第1中級人民法院での裁判は、2014年1月22日に始まった。容疑は、氏が中国教育部前などで混乱を「計画」「扇動」したというもの。起訴状によれば、抗議を行った人びとは、職務を執行しようとする公安職員の「指示に従わず、妨害を行った」とされている。また「横断幕を広げ、騒ぎを起こして」「重大な混乱」を招いた、ともされた。「状況の重大さ」と、許氏が「首謀者」だったことにより、氏には懲役4年の判決が下された(最高刑は懲役5年)。

公判は非常に狭い法廷で行われ、傍聴を許されたのは家族2人のみ。ジャーナリストは入廷できなかった。外交団は裁判所の建物内に入るのを認められたが、傍聴は許可されなかった。

不公正な裁判手続きに抗議するため、許氏と弁護士は裁判の間ずっと沈黙を通した。許氏は最後に文書を読み上げたが、10分で中止させられた。法廷外では、許氏の支援者が連行され一時拘束された。外国のジャーナリストに対する警察の扱いも手荒なものだった。

最高人民法院は2013年11月に発行した文書で、各裁判所に対し、誤審削減に取り組むよう求めた。裁判所には、「公安維持の圧力」を理由に判決を下さないこと、裁判の公開を保障すること、証人に反対尋問する弁護側の権利を保障することが求められた。許氏の訴訟指揮は、一連の指示が無視されたことを示す。

前出のアダムス アジア局長は「裁判所が、公開審理や証人申請といった被告人の最も基本的な権利を否定している。これでは、中国の国民が裁判所を信頼することなどできない」と述べた。

「新公民運動」のメンバーなどの、非暴力的な手段で政府を批判する人びとに対する裁判は、近年の大規模な活動家弾圧の一環だ。中国政府は昨年、「インターネット上の噂」を取り締まるキャンペーンを展開した。率直に意見を述べ、汚職を暴いた市民やジャーナリストを処罰するだけでなく、国家安全保障への脅威と見なすものの範囲を、インターネットや定義のない「文化上の脅威」にまで拡大した。

「習近平氏は最近、権力を『規則の籠』に入れると約束した。ところが新指導部の関心は、権力を強化することにあるようだ」と、前出のアダムス局長は指摘。「政府を批判する人びとに見せしめ裁判を行うことは、習氏自らが宣言した改革政策とは完全に正反対だ。」

(2014年1月26日の「ヒューマン・ライツ・ウォッチ」より転載)