米国:大統領選候補者の人権に関する立場は?

「各候補者がこれらの問題をどう理解し、どのように向き合っていくのかを知ることは米国の有権者にとって有益だ」。

(ワシントン) - 米大統領選の候補者は、国内外における人権保護について、その立場を詳しく明らかにすべきだ、とヒューマン・ライツ・ウォッチは本日述べた。そのためにヒューマン・ライツ・ウォッチは、各候補者に12の質問リストを送付。次政権が主要な人権問題の数々にどう対処するのかについて聞いた。

Composite showing US Democratic presidential candidate Hillary Clinton (L) speaking on the campus of Temple University in Philadelphia, Pennsylvania, July 29, 2016, and US Republican presidential candidate Donald Trump (R) speaking at a campaign rally in Abingdon, Virginia, U.S. August 10, 2016.© 2016 Reuters

ヒューマン・ライツ・ウォッチ代表のケネス・ロスは、「米国の次期大統領は様々な人権上の課題に直面することになる」と指摘する。「各候補者がこれらの問題をどう理解し、どのように向き合っていくのかを知ることは米国の有権者にとって有益だ。」

当該アンケートは、世界各地で強まる言論の自由や活動家への弾圧、難民の取扱い、グローバルな監視体制、警察による人権侵害に対する責任の取り方などの懸念を提起するもの。米国の次期大統領は、国内外で広範におよぶ人権問題に取り組まなければならない。ヒューマン・ライツ・ウォッチのアンケートでは、こうした人権問題の中でもっとも緊急かつ複雑な問題のいくつかに焦点を当てている。

ヒューマン・ライツ・ウォッチはウェブサイト上で各候補者の回答を掲載する予定だ。返答締め切りは9月6日で、質問の内容は以下の通り。

  1. 1.ロシア、中国、エチオピアなどの、独立した組織やメディアを法律を使ってあるいは使わずに抑圧する政府に対し、あなたの政権はどのような対応をとりますか?
  2. 2.女性の政治参加を妨げる差別に関してあなたの政権はどのように対処しますか? ジェンダーを理由とした暴力など、世界各地の女性および少女の権利をどのように守りますか?
  3. 3.中東、中南米ほか世界各地から逃れてきた難民の保護や支援における国際的な危機への対応に関し、米国は何をすべきだと考えますか?
  4. 4.特に抑圧的または独裁的な国々におけるISIS、アルカイダ、または関連組織との戦いで、グッドガバナンス(よい統治)、法の支配、人権の堅持の促進はどんな役割を果たすべきだと考えますか?
  5. 5.ますます多くの国で外国人排斥、イスラム嫌悪、および人種差別の声が高まっている状況に、あなたの政権はどのように応えますか?
  6. 6.キューバの人権および基本的自由のさらなる保障を推奨するために、あなたの政権はこの度の国交回復をどのように活用しますか?
  7. 7.ヨルダン川西岸地区におけるイスラエルの入植が今後拡大した場合、あなたの政権はどのように対応しますか?
  8. 8.米政府が米国内外で人権を全面的に尊重することを保障するために、令状なきデータ収集および監視体制に関し、どのような新しい規制を設けるべきだと考えますか? 新たな規制は必要ないと考える場合もその理由を述べてください。
  9. 9.CIAおよび米軍に拘禁・尋問されていた個人に対する拷問および虐待行為の責任を、米国はどのように果たすべきだと考えますか?
  10. 10.実際の戦闘地域外における、特にドローン(無人攻撃機)の使用などの米国の標的殺害作戦にどのような変更を加えますか?
  11. 11.犯罪被疑者の違法な死に関し、警察がよりしっかり責任を取るようにするために、連邦政府が措置を講じるべきだと考えますか? 特別な措置は必要ないと考える場合もその理由を述べてください。
  12. 12.すべての労働者のための、国による有給の家族休暇制度を支持しますか?支持するか否かと、その理由を述べてください。

(2016年8月11日「ヒューマン・ライツ・ウォッチ」より転載)

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