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ルワンダ:汚職に反対する活動家が殺された事件の捜査再開を

2014年02月06日 01時33分 JST | 更新 2014年04月07日 18時12分 JST

ほかの多くの国と同様に、ルワンダでも汚職は繊細な問題だ。マコネネ氏殺害事件は警鐘を鳴らすはずだったが、現実には、憂慮すべき静けさが広がるばかりだ。

ダニエル・ベケレ、アフリカ局局長

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Gustave Makonene, coordinator of Transparency International Rwanda's Advocacy and Legal Advice Center in Rubavu. © 2012 Private

■ 捜査は行き詰まり、事件も語られないまま

(ナイロビ)-汚職に反対するルワンダ人活動家の殺害事件をめぐる当局の捜査が、事件発生から6カ月を経た現在、行き詰まってしまったようにみえる。当該事件に対する人びとの関心は驚くほど低く、犠牲者の家族は法の裁きの実現をいまだ待ちわびている。ヒューマン・ライツ・ウォッチは、遺体が発見されたルバブ郡の町を訪れ、目撃者と警察に聞き取り調査を行った。

ルワンダ西部県ルバブ郡のトランスペアレンシー・インターナショナル・ルワンダ支部、政策提言・法律相談センターのコーディネーター、ギュスターブ・マコネネ(Gustave Makonene)氏は、2013年7月17日夜にルバブ郡の事務所を出た後に消息を絶った。翌18日朝、ニーラルホンガ(Nyiraruhonga)の住民がキブ湖畔沿いの道路脇で遺体を発見。警察の検死報告によると、死因は絞殺だという。

同氏はトランスペアレンシー・インターナショナルの仕事の一環として汚職疑惑を担当しており、一部の警察官が当該案件にかかわっていたとされている。

ヒューマン・ライツ・ウォッチのアフリカ局局長ダニエル・ベケレは、「ほかの多くの国と同様に、ルワンダでも汚職は繊細な問題だ」と述べる。「マコネネ氏殺害事件は警鐘を鳴らすはずだったが、現実には、憂慮すべき静けさが広がるばかりだ。」

遺体発見から数日内に地元警察は4人を逮捕したが、8月中に証拠不十分で釈放した。以来警察と検察の捜査は行き詰まってしまったようにみえる。

事件から独立した目撃者や警察を通じて、国営公益事業会社の従業員と名乗りつつもその後警察官であることが分かった平服姿の男が、トランスペアレンシー・インターナショナル・ルワンダ支部を事件前に3回訪れていたことが分かった。そのうち1回は事件2日前のことだった。

その警察官は訪問のつど、マコネネ氏の容姿や動きを確認しようとした。同氏個人の電話番号もたずねたが、実際に電話をかけることはなかったようだ。1回の訪問時には同氏が事務所にいたにもかかわらず、直接話すことさえなかったという。事件のあった日に警察官は氏と親しい人物に電話し、所在の確認を試みている。

警察はその警察官を訊問し、供述書を検察に送った。警察はヒューマン・ライツ・ウォッチに、警察官は個人的な事情からマコネネ氏の周辺をさぐっていたと述べた。

前出のベケレアフリカ局局長は、「マコネネ氏は警察の汚職を調べていた可能性がある。警察官がひとりで、殺害事件の直前に、少なくとも同氏の身元を確認しようとしていた、ということが疑惑を招いている」と指摘する。「警察は遺体が発見された現場周辺の人びとへの聞取り捜査を含め、あらゆる手掛かりの可能性を探るべきだ。」

ヒューマン・ライツ・ウォッチは、遺体を発見した人びとをはじめ、ニーラルホンガ住民の多数に話を聞いた。うち1人は、マコネネ氏が首にロープを巻き付けたまま、ぐったりと木にもたれかかっていたと証言。ロープをはずした時、のどの部分に濃いあさがあったという。

遺体は、ルバブから伸びた道路上にあるブラリルワ(BRALIRWA)ビール醸造所先で発見された。通常その道を行くには醸造所の門を通り抜けるしかない。醸造所は夜間、門への接近を警察や軍の車両によるもの以外は監視している。多くの目撃者がヒューマン・ライツ・ウォッチに、マコネネ氏は7月17日午後8時過ぎに事務所を出たと証言していた。

「なぜそこで発見され、誰が運んできたのか」を警察が断定する可能性を高めるカギは、遺体の発見現場そのものにあるといえる。

ヒューマン・ライツ・ウォッチは、遺体が車から投げ捨てられたのを見たという目撃者2人を特定した。が、彼らはたとえ匿名でも証言を拒否。事件の背景が著しく繊細であることが浮き彫りになった。

警察が殺害事件をめぐって4人を逮捕した後、検察局はうち2人の釈放を命じ、残りの2人については予防拘禁を主張した。しかしルバブ上級審裁判所は8月5日、検察側の証拠は不十分であるとして釈放を命令。北部県ムサンゼ郡高等裁判所が同月29日にその決定を支持した。

西部県ルワンダ国家警察広報官のビタ・ハマ少佐は12月7日、当該事件に関して目立った進展はなく、検察局も警察に更なる捜査を指示していないことを明らかにした。国家警察のダマス・ガタレ中央広報官は同月16日、事件は検察局に送検されたため、詳細については同局に照会するようヒューマン・ライツ・ウォッチに伝えた。

ルバブ郡の検察官を通じて、国家検察院アラン・ムクラリンダ(Alain Mukuralinda) 広報官に接触したところ、12月18日に事件の進展がないことを認めた。しかしジョンストン・ブジンギエ(Johnston Busingye)法務部長官は同月24日、捜査はまだ終了していないと回答している。

マコネネ氏殺害事件は、ほとんど人びとの関心を呼ばなかった。その静けさは、ルワンダにおける独立系団体やメディアの存在の弱さを示している。政府による長年の嫌がらせや脅迫、潜入活動の結果、政治的に繊細な問題や政府関係者による人権侵害に関して詳細な調査を実施したり、報告書を発表するNGOはほとんど存在しない。汚職問題の詳しい調査についてはなおさらだ。ルワンダ人ジャーナリストの大半も、繊細な事件をめぐる調査や報道を避けている。

ルワンダ関係当局はマコネネ氏殺害事件の捜査を再開すべきだ。それは法の裁きを実現し、警察や検察当局がこうした事件と真剣に向き合うことを、汚職に反対する活動家や人権活動家に再び確約するためである。トランスペアレンシー・インターナショナルは、警察の捜査結果を求めて法執行当局に働きかけ続ける旨を表明している。

前出のベケレ局長は、「大半の国では、汚職に反対する活動家の殺害事件が未解決ともなればメディアで大見出し扱いとなり、独立系団体が法の裁き実現を声高に要求するものだ」と述べる。「ところがルワンダでは、この問題がただ消えうせるのを誰もが望んでいるようにみえる。それはアカウンタビリティ(責任追及・真相究明)を求めて同国で運動する人びとに、身の毛もよだつメッセージを送っている。」

(2014年1月22日ヒューマン・ライツ・ウォッチより転載)