働きすぎているあなたへ伝えたい3つのこと

僕はこれまで2回、人生で『働き過ぎる』状態を経験した。1回目は百貨店の催企画担当課長だった頃。もう1回は、起業してやっととっかかりをみつけてからの2年間ぐらいだ。

僕はこれまで2回、人生で『働き過ぎる』状態を経験した。

1回目は百貨店の催企画担当課長だった頃。

もう1回は、起業してやっととっかかりをみつけてからの2年間ぐらいだ。

毎日、3、4時間ぐらいしか眠る時間がない。

休みもなく、あっても、1か月に2回程度。

とにかく時間が足らず、電車のなかでラップトップを拡げることもあった。

なぜ、あれほど狂ったように働いたかというと、

できる人間だと思われたかったからだ。

ライバルに負けたくなかったからだ。

いい人間だと思われたかったからだ。

会社の大きな部分の売上を担っており、その責任が重くのしかかっていたからだ。

仲間にちょっとでも喜んで欲しかったからだ。

家族の将来が、僕の稼ぎにかかっていたからだ。

長い間生きていると、どうしても、そうしなければならない時期もあるかもしれない。

実際に、僕もそうだった。

だが、そういう『働き過ぎ』の時間が長くなって、それが常態化してしまうと、自分は強いと思っていても、ココロはどんどんすり減ってしまう。

わくわくするようなことがなくなり、不注意が増えて、理由なく泣けてきたりする。

そして、正真正銘のうつ病になる。

僕は、幸い、うつ病になって病院にいくほどではなかったが、たとえば、会社で一番働いていたころ、病院へ行けば、『軽度のうつ病です』と言われたかもしれないし、実際のところ、仲間の何人かはうつ病になってしまった。

おそらく、いまも多くの人が、自分は大丈夫と思いながら、かつての僕のように、『働きすぎ』ていて『がんばりすぎている』のではないかと思う。

僕は精神科医でも心理学者でもないので、専門的なことはわからないが、もし、いまの僕が、当時の僕にアドバイスできるとしたら、こんなことを伝えたいということを書いてみようと思う。

1.働きすぎている状態をいつまでも続けることができると思わないで

自分だけは大丈夫と思っていても、働き過ぎは確実に精神を病む。病まないまでも、創造性を奪って仕事の質を落とし、やがてはあなたの仕事の質とアウトプットをさげてしまう。

仕事だけでなく、家族とのコミニケーションの時間がとれないことも、あなたの人生の質を、幸せを大きく減じる。

いまの働きすぎている、がんばりすぎている状態は、異常事態である。異常事態がやむおえないとしても、それを決して常態にせず、なるべく早く終わらせるように努力しなければならない。

2.会社はあなたが長時間働くから評価しているのではなく、あなたの能力を評価している

会社は、どれだけ長時間働けるか競争をしている場所ではない。あなたの能力を評価している。あなたが長時間働けるから仕事が集中するのではなく、あなたがそれを遂行する能力をもつ数少ない人材だから、あなたに仕事が集中するのだ。

あなたは、「働きすぎ」ている期間が長いと思えば、つぎに頼まれた仕事は、手いっぱいでできないと断ってもよい。それであなたの能力に対する評価はいささかも減じない。

あなたが断った仕事は誰かほかのひとのところにいく。おそらく上はそれを不安がるだろうが、それを受け取った人はそれをなんとかこなして、成長することだろう。

誰よりも長時間働き、誰よりも素直に仕事を受けることを、社内での競争の前提にしてしまうと、いつかあなたはかならず破たんする。

3.なるようにしかならない、なるようにしかならなくてもたいしたことにはならない

きっと、あなたは、仲間の誰もリストラされないように、部下のために、好きな上司を喜ばせるために、家族のために、身をすり減らして頑張り続けているのだろう。

だけど、あなたがすべてを背負っているのではない。

社会や経済の情勢が、会社の経営陣が、あるいはただの運が、あなたのいまの状況を生み出している。

あなたが、すべてを背負ってなんとかしようとしても、どうしようもない部分が大きい。

結局、どれほどがんばっても、なるようにしかならない。

そして、なるようにしかならなくても、あなたにとっても、あなたが心配している誰かにとっても、たいしたことにはならない。

ほかにも仕事はあるし、貧乏になったところで、それが原因で死ぬわけでもない。

あるいは、あなたは、誰にも負けないために、それほどまでに働いているのだろう。もし、あなたがそれほどまでに頑張らないと負けていると思うのなら、どちらにせよ、あなたは負ける。負けたうえに病気になってしまっては、もともこもない。

あなたが持っているものと運を超えて、出世することはできない。出世競争に負けたところで、たいしたことにはならない。

元気でさえいれば、もっと幸せな道がきっとみつかる。

photo by Mo Riza

(2014年10月18日「ICHIROYAのブログ」より転載)