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地方は疲弊を飛び超し消滅するのか?

2014年05月12日 22時28分 JST | 更新 2014年07月12日 18時12分 JST

日経新聞記事、自治体、2040年に半数消滅の恐れ 人口減で存続厳しくが話題になっている。小泉政権末期には「地方の疲弊」を野党が政権攻撃の材料に随分と利用したと記憶している。この時は未だ「疲弊」で済んだが、2014年ともなると国内自治体の半分が消滅してしまうとの、随分と衝撃的な内容である。

日本の人口が減ると、全国の地方自治体の維持が難しくなるとの長期推計が相次いでいる。元総務相で東大の増田寛也客員教授らは8日、2040年には全国1800市区町村の半分の存続が難しくなるとの予測をまとめた。国土交通省も全国6割の地域で50年に人口が半分以下になるとしている。ある程度の人口を保つことを前提にした国土政策は見直しを迫られる。

■ 北海道は日本の縮図

日本で何が起こっているのか? 何が問題か? 理解するためには北海道の現実・課題を参照するのが早道だと思う。私は丁度半年程前にJR北海道を批判するだけで問題が解決するのか?を発表している。単純に北海道内の人口であるが1980年代から減少に転じている。更に悪い事に、北海道は出生率が全国平均より低く、現役世代が職を求め内地に移動している事から高齢者の割合が高い。高齢者は不便な地方を嫌い、北海道内であっても利便性の高い札幌に移り住んでいる(札幌一極集中)。全く日本の縮図そのものではないか?

地方の過疎化が進めば、必然的に鉄道会社に取っては赤字路線となり廃線の決断は止むを得ない。鉄道に代ってバスが地方公共交通の役目を担う事となるが、矢張り鉄道の廃線を機に中核都市へと移住する人間が増え、地方の過疎化が更に進展する。日本国中何処にでもある様な普通の町が過疎化し、50世帯で住民年齢は80才以上の様な限界集落になる。

民間バスも採算が合わず、やがては撤退する。地方行政はその対策のため、コミュニティーバスを運行する事となるが、これは間違いなく脆弱な地方財政の負荷となる。更には、生活道路にあるトンネルが老朽化し大幅なリニューアルや橋の老朽化に伴う架け替えが必要となる。ここまで来たら、地方行政は高齢化した住民に地方の中核都市への移住を勧告する事になる。即ち、限界集落が消滅する瞬間である。今後、北海道に限らず日本の地方では人口減と高齢化の結果、全く普通の町が過疎化し、限界集落となり、遂には消滅というコースを急速に辿って行く事になる。

■ 地方を追い詰める日本の財政問題

日本は現在必要とする財源の約43%を国債で賄っている。この事は、露骨にいってしまえば現役世代が享受している行政サービスに拘わる費用の43%を次世代に付け回しているという事である。勿論、こんな状況は異常であり出来るだけ早くプライマリーバランスを達成し、国債の発行は止めるべきである。一方、歳出を見ると国債関連の償還や利払いはどうしようもない。中国が尖閣での軍事挑発を止めようとしない状況下、防衛費の削減もあり得ない。結果、社会保障と地方交付税交付金を削減するしか歳出削減の具体策がない事が理解出来る。

日本は今までの様に、地方が困っているから、地方が可哀そうだから、といって気前良く地方交付税交付金を分配出来る様な財政状態にはないという事である。地方は自立し、自前で財源を確保し、財源の範囲内で可能な行政サービスに特化する事を強く求められる事になる。

■ 地方公務員の勘違い

地方公務員の多くは今尚地方公務員の「身分」は不滅であり彼らの地位は守られてしかるべきと錯覚している。一方、私は全くそう考えてはいない。地方行政も一種のサービス業であり、過疎化により行政サービスを享受する人口が減少し、住民の高齢化により行政サービスに対するフリーライダーの割合が増加するのであれば、それに対応し変化してしかるべきと考えている。

高度成長時代であっても地方公務員が自ら稼ぐ事はなかった。しかしながら、企業が企業活動をストレスなく行うための「インフラ」を整備し、高いレベルの行政サービスを提供した。妊娠すれば保健所は母子手帳を発行し、出産までのサポートを行った。子供が誕生すれば、公立の幼稚園、小学校、中学校、そして高校が子供を預かり教育を提供してくれた。

これがあったから、父親は早朝から深夜まで働く事が出来、母親もパートに出て子供達の将来の学資を稼ぐ事が出来た訳である。地方行政は「コストセンター」ではあったが、企業活動や従業員家族の生活に必要なインフラを整備し、行政サービスを提供する事で企業や従業員の稼ぎに大きく貢献して来た訳である。勿論、その見返りとして企業には法人市民税や固定資産税を、従業員には市民税を課税した。地方行政と企業、そこに働く従業員がWIN-WINの関係を構築する事が可能であった古き良き時代である。

しかしながら状況は一変した。元気の良い製造業は廉価な労働力を求めベトナムやカンボジアの様なアジア新興産業国への移転を加速する。当然、有能な従業員も企業と一緒に出て行ってしまう。企業も従業員も二度と日本の地方行政に依存する事はないのである。そして、結果として地方行政は「稼ぎの場」への関与を失い、本当の「コストセンター」になり果ててしまう。この結果、地方行政の歳出は一種の必要悪であり、圧縮が望ましいという結論となる。この結果、地方公務員のリストラや年収削減が強く望まれる事となる。私の見るところ、地方公務員の多くは未だにこのパラダイムシフトを理解せず、保身のみに気が行っている様に見える。