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福島第一原発事故処理が進まない背景とは?

2013年08月30日 01時04分 JST | 更新 2013年10月28日 18時12分 JST

事故が起こった福島第一原発により、地下水が汚染され太平洋に垂れ流し状態になっている。一体どの時点から? どの程度の放射性物質を含んだ汚染水が? 毎日どのくらい? 流出しているのかさっぱり分らない。世界がこの事態を危惧し、杜撰な日本の対応を批判するのは当然である。事ここに至り、ようやく政府も事の重大性を認識したのか茂木経産相は「(汚染水対策は)東電まかせでは解決は困難。国が前面に出る」とコメントした。既に遅きに失した感はあるが、安倍政権は汚染水対策に限らず福島第一原発事故処理を東京電力に丸投げするのではなく、政府主導で確実に進めて行く必要がある。

そもそも福島第一原発事故処理の具体的中身とは?

福島第一原発事故処理という言葉を目にする機会は多い。しかしながら、その具体的中身に言及した記事を読む事は、私を含め殆どないのではと思う。飽く迄個人的な推測であるが、大別して、今回の「汚染水対策」、「廃炉」、「汚染地域の除染」、「近隣地域への賠償」辺りが主要業務かと思う。業務は多岐に渡り、廃炉が終了するまでには今後何十年もかかる。事故処理コストは恐らく天文学的数字となり、処理を誤れば日本の国家財政を震撼させる事態もあり得る。

果たして東京電力にそれが出来るのか?

本来は出来るからやらしているはずである。しかしながら、東京電力に限らず電力会社の仕事は、発電所を建設し、電気を作り出し、送電線網を完備して、企業であれ、一般家庭であれ、電気を必要とする所に必要とされるだけの電気を供給する事である。従って、今回東京電力が悪戦苦闘している「汚染水対策」、「廃炉」、「汚染地域の除染」、「近隣地域への賠償」については、達成のために必要な「技術」、「経験」、「実績」、「人材」が元々払底している。従って、幾ら原子力損害賠償支援機構経由必要な資金は供給するといっても元々無理のある話である。政府による東京電力への無責任な福島第一原発事故処理業務の「丸投げ」といって良いだろう。

何故こういう事になってしまったのか?

原発事故処理業務を進めるに際し、2011年4月の時点で時の菅政権が誤ったスキームを構築してしまった事に尽きる。詳しくは、東京電力をどうするか?を参照して戴きたい。掻い摘んでいえば、福島第一原発事故処理業務は多岐に渡り、且つ、一私企業に過ぎない東京電力に処理出来る規模で収まる話ではない。そして、問題はスキームが賠償の実務を担当する東京電力と賠償の原資を調達、供与する賠償機構の2重構造であり、結果、東京電力は親方日の丸で言われた通り支払し(自分の懐は痛まないので)、一方、賠償機構は東京電力の求めに応じ幾らでも資金の提供に応じてしまうであろう危惧が払拭出来ない事である。結果、賠償交渉は長期化し、金額も天文学的に膨張する事になる。既に、現時点で政府から東電への賠償支援の総額は3兆円を超えた。こういう「管理者不在」の無責任体制を放置すれば賠償支援の総額はまるで雪だるまの様に膨れあがり、現行スキームの将来の電力料金値上げで回収するというのは所詮絵に描いた餅となり、結果、日本のそれでなくとも厳しい財政を直撃する事になる。

現行スキームが構築された、菅政権下2011年4月の時点では世の中は未だ3.11によるパニック状態を引きずり正常な判断が出来なかった様に記憶している。放射能に対する不安と恐怖から国民は一種のヒステリー状態に陥っており、こういう間違ったスキームによるなし崩しの東電国有化を傍観してしまったのだと思う。とはいえ、1年後の2012年6月ともなれば、日本社会はある程度落ち着きを取り戻し、東京電力をどうするか?(続編)で紹介した様に、「電気料金審査専門委員会」委員長の安念潤司氏より現行スキームの矛盾を指摘する問題提起がなされている。しかしながら、野田政権はその意味を理解する事なく放置してしまった。

それでは安倍政権はどうすべきなのか?

前政権(菅政権)の誤りを正すしかない。もっと具体的にいえば、現行スキームが間違っているのでこれを改正するという話になる。当事者能力の無い東京電力を原発事故処理業務の前面に立たすのはやめて、責任の所在が国にある事を明確にした上で、国が直接担当すべきである。一方、東京電力については、私は今でも現行法に基づいての破綻処理がベストであると考えている。しかしながら、諸般の事情によりこれが困難という事であれば、せめて東京電力を「発電」と「送電」の維持管理といった現業業務を担当する「存続会社」と、その他の「清算会社」に分離し、「清算会社」の資産を没収し、今後の賠償原資に充当さすべきと考える。東京電力の責任と補償に一旦区切りを付けた上で、責任を政府に一元化して、分り易い形で原発事故処理業務を再スタートするという事である。