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習近平はアジアのヒットラーなのか?

2014年02月08日 02時39分 JST | 更新 2014年04月08日 18時12分 JST

日本の安倍首相がダボス会議に出席した際、日中関係の現状を第一次世界大戦前の英独関係になぞらえ物議を醸した事実は今尚記憶に新しい。マスコミはこの事で大騒ぎを演じ、安倍首相を批判したくて堪らない層は下品ないちゃもんと無意味な揚げ足取りに終始していたと記憶している。

一方、私は安倍首相の指摘は正鵠を射たものと理解した。同時に、安倍首相の発言に中国の領土的野心に心を痛めている多くのアジアの国々の指導者が賛同する展開を予想した。安倍首相の発言は山奥の岩の割れ目から落ちてくる水滴に過ぎないかも知れない。しかしながら、やがては僅かな幅ではあっても水流となり、更には小川となって下流に流れ、最後には大河となり海に流れ込む。そういうイメージである。

早速、私の予想を裏付ける衝撃的な事件が起こった。アメリカに取って伝統的な友好国であるフィリピンのアキノ大統領がニューヨークタイムズのインタビューに答える形で南シナ海の領有権論争に触れ、中国の主張をドイツのナチス政権に例え批判したのである。

同大統領は米紙ニューヨーク・タイムズとの会見で南シナ海の領有権論争に触れ、国際社会に対し中国の言い分に抵抗する比政府の立場への理解の拡大を要請。この際、ヒトラーが1938年にチェコスロバキア(当時)の領土を要求し、欧米がチェコ支援に失敗した例を引き合いに出していた。


アキノ氏は「どの段階に来たらもうたくさんだ」と言わなければならないのかと主張。「国際社会は最早、チェコのズデーデン地方はヒトラーをなだめ第2次世界大戦を阻止するため与えられたことを忘れてはいないとくぎを刺さなければならない」と求めた。

中国を相手に堂々たる正論を主張したアキノ大統領には拍手を送りたい。一方、安倍政権はフィリピンに対しこれまで以上の支援をすべきであろう。アキノ大統領の国際社会に対しての主張は我が国の安全保障、外交に重大なインパクトを与える事となる。従って、東アジアの安全保障に関与する国々の本件対応や、今後の展開を論考する事は有意義と考える。

■フィリピン、アキノ大統領の主張

上記参照したCNNの記事を参照戴ければ充分であろう。それにしても、特筆すべきは今回中国問題を説明するのに、ヒトラーが1938年にチェコスロバキア(当時)の領土を要求し、欧米がチェコ支援に失敗した例を引き合いに出した事であろう。自動的に習近平はアジアのヒットラーという話になる。勿論、中国としては耐え難い例えであり、新華社通信が随分とこれに対し噛み付いた様である。

香港(CNN) 中国の国営新華社通信は5日、南シナ海領有権論争での中国の主張をドイツのナチス政権の興隆に例えたフィリピンのアキノ大統領の発言に関連し、同氏を「無知」「素人の政治家」などと酷評する論評を伝えた。


アキノ氏は「アジアで賢人の政治家の偉大な候補者と目されたことは一度もない」ともけなした。

■アメリカの素早い反応

アキノ大統領の主張表明に対しアメリカは迅速に反応した。事前にアメリカ、フィリピン両政府間で調整があった事は明らかであろう。BBC NewsはUS presses Beijing over South China Sea disputeと報じている。記事内容を要約すれば、大体下記の様になる。

基本的には、従来東シナ海、南シナ海の領有権争いで一方に肩入れすることを避けてきたオバマ政権が、今回中国の領有権に関する主張を一方的に否定したという事に尽きる。今少しこれを各論すれば、中国による東シナ海、南シナ海での海洋進出や防空識別圏の設定が「地域の緊張を高めている」と批判し、南シナ海での領有権拡大に関する中国政府の主張についても「国際法に矛盾している」と断罪したという事である。

■アジアの国々はフィリピンに追随するのか?

中国の領土的野心に心を痛めている多くのアジアの国々は私同様に今回のフィリピン、アキノ大統領の主張に拍手喝采を送っているに違いない。アジアの国々、取分け中国の領土的野心に苦慮している南シナ海の、ブルネイ、マレーシア、フィリピン、ベトナムといった国々がフィリピンに追随するのは必至である。オバマ大統領は4月に日本を訪問し、日米同盟の更なる深化を確認後、こういった東南アジアの国々を歴訪し安全と平和を保障する展開を予想する。中東からアジア・太平洋地域へのリバランスの現実的な第一歩である。このアメリカの具体的な動きを見て、アジアの他の国々もフィリピン追随に動く事になる。安倍首相によるダボス会議発言が切掛けとなり「中国包囲網」が完成する訳である。

■老獪なロシア外交

先程、興味深いニュース、中国:「北方領土と尖閣の相互承認」露に打診を読んだ。

中国がロシアに対し、従来日本領と位置づけてきた北方領土の領有を承認する代わりに、沖縄県の尖閣諸島を「自国領」とする中国の主張を支持するよう、水面下で打診していることが分かった。働きかけは2010年に始まり、現在も続いているとみられるが、極東開発に日本の協力を求めるロシアは、中国の提案に応じない構えだ。日露外交筋が明らかにした。

目的の為には手段を選ばない中国の手法が正にヒットラーそのものである。フィリピンのアキノ大統領の主張を側面支援するロシア政府による絶妙のリークといって良いだろう。ロシア政府の目的は勿論フィリッピン支援などではない。こうやって日本に恩を売り、北方4島を手持ちのカードに日露間で平和条約を締結し、更にはシベリア開発を日本に委ねたいのであろう。ロシアは交渉相手としてはタフな国であるが、シベリアというフロンティアを日本が手に入れる事は決して悪い話ではない。

■漂流を続ける韓国外交

今回のフィリピンのアキノ大統領の発言と、これを結果的に支援する事になるアメリカ政府の「対中国ドクトリン」によってアジア・太平洋地域の枠組みが明瞭となった。その基軸となり中心に位置するのは勿論日米同盟である。率直にいって、この枠組みでは日本を罵倒し続け、中国に前のめりになってしまった韓国に居場所はない。

こういう展開を危惧して韓国政府はTPP加盟の道を模索して来た。しかしながら、アメリカ政府の対応は慇懃ではあるが冷たい。米通商代表部コメントを読んだ印象は、韓国への丁重な加盟お断り通知としか思えない。この事を冷徹に判断すれば、アジア・太平洋地域の新たな枠組み構想に韓国は入っていないという事になる。

4月にオバマ大統領は訪日する。普天間基地の移設や集団的自衛権行使認可といった安全保障関連での日本側進捗を確認すると共にTPP年内締結で日本と合意し、その後、深化した日米同盟を基軸にアジア・太平洋地域を平和と繁栄の海にすべく、長年に渡る友好国であるフィリッピン他アジア諸国を歴訪するはずである。その際、仮に韓国に立ち寄ることなく直接アジア諸国に向かう様であれば、韓国に取っての悪夢が現実になったという事であろう。アメリカは危険な国、北朝鮮化からアジアの同盟国を守るために韓国の基地を利用するが、韓国はアメリカに取ってそれ以上でも以下でもないという冷徹な事実を世界に示す事になるからである。

China's Military On The March