BLOG

日立のグローバル鉄道事業拠点が東京からロンドンに移転する?

2014年03月23日 16時59分 JST | 更新 2014年05月22日 18時12分 JST

一昨日のGuardian記事によれば、Hitachi to move global rail headquarters from Tokyo to London、との事である。目に付くのは、何といっても1971年生まれと若いジョージ・オズボーン蔵相の下記国民に対し明るい未来を説くコメントである。

"The chancellor, George Osborne, told the BBC: "For people like me who have grown up with news of manufacturing jobs leaving Britain, isn't it fantastic that manufacturing jobs are coming back to Britain.""


ジョージ・オズボーン蔵相は下記コメントをBBCに語った。"製造業がイギリスから移転するニュースを聞いて育った私の様な人間は、製造業がイギリスに戻ってくることは素晴らしいと感じる。"

日立がグローバル鉄道事業拠点を東京からロンドンに移転する直接の理由は、次世代大都市間鉄道をダラムカウンティ、ニュートンエイクリフの新工場で製造する、12億ポンドの事業を受注した事、及び付帯条件として車両の納入だけではなくメンテナンスも行い、長期的に車両を管理することをコミットしたからである。

しかしながら、これだけではないだろう。日立としては次世代大都市間鉄道についてEUと東欧に大きな市場規模を見出しているに違いない。従って、ロンドンで情報を収集し、ロンドンをコントロールセンターとして営業活動を行い、受注すればダラムカウンティ、ニュートンエイクリフの新工場で製造する事を想定しているに違いない。

政治力があり外交に長けたイギリスと透徹した職人精神で良い製品を作り上げる日立の組み合わせは、中々良いのかも知れない。少なくともイギリス政府は今回の件を大歓迎の様子である。

イギリスに限らず先進国の悩みはどうやって質の高い雇用を創出するかである。そして、今の所製造業を誘致するという事以外解決策は見出せていない。これが、今回のイギリス政府の大喜びの背景であろう。

BBCは将来の輸出可能性に関し、Hitachi to move rail business to UK from Japan、と伝えている。

"Both the UK and Japan remain important as markets for Hitachi Rail, and with our train factory in the north-east of England now under construction, we will work to realise our export potential from the UK, expanding into Europe and emergent markets."

分り易くいえばEUや新興産業国向け輸出を増やす事で新規雇用を創出するつもりという事であろう。矢張り、何処まで行っても雇用ありきという話となる。

イギリスからの輸出が増えれば、その分日本からの輸出は減る結果になるかも知れない。結果、国内工場の縮小や雇用調整に至る展開が予想される。製造業が日本から出て行く理由は様々である。為替、高くなり過ぎた人件費、電力供給への不安、電力料金の値上がりなどであろう。

何度も繰り返して恐縮であるが、製造業が出て行った後には非正規雇用でのコンビニや居酒屋チェーン店の様な仕事しか国内には残らない。時給は精々@1,000円程度で年間2,000時間働いて年収は200万円程度にしかならないのではないか? その結果、日本社会の底辺は劣化と拡大を続けるのでは? と危惧する。

辛い思いをするのは現役世代である。しかしながら、彼らの多くが原発再開に反対し結果として国内製造業の海外移転を後押ししている。従って、現役世代が自分達のやっている事のしっぺ返しを体験しない限り日本の凋落は継続するのかもしれない。