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広島土砂災害から学ぶべき教訓とは?

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朝日新聞の伝えるところでは、広島土砂災害の死者41人に 不明47人、捜索は難航との事である。昨年の大島では台風第26号により土石流が発生し、その結果、36人が死亡、22人が重軽傷を負い、3人が行方不明となっているが、今回の広島土砂災害の被害規模はこれを遥かに上回る事が確実である。

考えねばならないのは、今回の災害が台風ではなく、日本国中何処でも起こり得る局地的な集中豪雨に起因しているという点である。日本人の「安全」、「安心」が根底から脅かされているといっても良いだろう。それにしても、一体何故こんな事になってしまったのか?日本や日本人は一体どうすれば良いのか?今回は、このテーマで論考を試みたい。

地球温暖化とは?

日本人の多くは温暖化ガス排出に起因する地球温暖化とは、気温が高くなって真夏日の日数が増えるとか、熱帯夜の日数が増え寝苦しい夜が続く程度の認識しかない様に思う。しかしながら、今回の様に海面温度が上昇する事で水蒸気が大量発生し、積乱雲により従来では想定していなかった規模の局地的な集中豪雨が日本国中で発生すると理解すべきであろう。

想定以上の集中豪雨により何が起こるのか?

今回の様に地質が雨に弱い風化花崗岩であったり、急斜面であれば土砂災害の可能性が高まるのは当然である。広島と同じ様に危険な地域は日本国内に無数にあるに違いない。従って、想定以上の集中豪雨が益々頻繁になるであろう日本において、住んではいけない危険な場所に多くの日本人は住んでいるという理解となる。

宅地造成という錬金術

それにしても、今回の広島を含め日本国中に危険な住宅地は存在すると思われる。一体、何故こんな結果になってしまったのであろうか?その背後にあるのは、宅地造成という錬金術の存在である。山であれば大した資産価値にはならない。しかしながら、山の裾野や中腹を削り取り、平らにした上で宅地造成すれば一夜にして大変な資産価値となる。

その結果、地主とディベロッパー双方が濡れ手に粟で得た利益を山分けする事になる。そして、造成された宅地はマイホームの所有を夢見る人達に売却される事になる。彼らこそが今回の土砂災害の被害者ではないのか?頭を抱える土砂災害の被害者がいる一方で、地主やディベロッパーが法的な責任を問われる事はない。従って、これ以上被害者を出さないためには、今後行政は危険地域での宅地造成は無条件に禁止すべきである。

果たして今回の被災者はこの地域に住み続けるのか?

出鱈目な宅地造成の結果、下記の如く夥しい数の被災者が現在も避難対象となっている。

時折激しく降った雨で広島市は「新たな土砂災害が発生する恐れがある」として、被災地の安佐北区三入と可部、安佐南区八木のそれぞれ一部の地区(計1509世帯、3715人)に出していた避難勧告を22日午後までに避難指示に切り替えた。同日午後8時の時点の避難勧告・指示の対象は安佐南区と安佐北区の計6万8813世帯、16万4108人。このうち約2300人が16避難所に身を寄せている。

原発の再稼働で問題となっている活断層に起因する地震のリスクが10万年に一度あるかどうか?といった確率に比べ、この地区での集中豪雨の可能性は年に何度も起こり得るものである。その度毎に、住民は死の恐怖に晒され避難を余儀なくされる。そうまでして、この地に住み続けたいと思うだろうか?多くの住民は転居を希望すると思う。

しかしながら、土砂災害の後では幸いにして直接の被害を免れたにしても持ち家の売却はほぼ不可能だろう。その結果、引っ越先で賃貸住宅を借りれば家賃の支払いが必要となる。一方、住んでいない持家のローンの支払いもある。余程の高給を貰っていない限り、生活の破綻は避けられない。従って、被災者の多くは転居を希望しながらも経済的理由から、土砂災害の不安と共にこの地域に住み続ける事となる。これは、決して幸せな生活ではない。

コンパクトシティーが危険地域住民の転居先となる?

「明日は我が身」という諺がある。今回の広島土砂災害は、結果として多くの日本国民の防災意識を高めたと思う。その結果、自宅のある地域のハザードマップを閲覧し、自宅マンションが危険地域に立地する事を知り愕然とするかも知れない。

何度も繰り返すが、土砂災害の背景にあるものは地球温暖化ガスの大量排出に伴う気候変動である。しかしながら、もっと根本の原因は多くの日本人がそもそも住むには適さない危険な場所に住んでいる事にある。従って、問題の根本解決のためには危険地域から退去するしかないだろう。

危険地域から脱出する住民を流浪の民にする訳にも行かないから、地方行政は受け入れ先を準備する必要がある。洪水の心配のない地盤のしっかりした高台に、駅、役所、病院、ショッピングセンター、学校他必要施設の完備したコンパクトシティーを建設するのが現実的な施策であろう。

コンパクトシティーといっても少しも難しいものではない。私の自宅は横浜市都筑区センター北にあるが、郊外にしては多くの高層集合住宅があり、多くの住民を収容している。駅、役所、病院、ショッピングセンターには遊歩道、緑道の導線が完備されており、徒歩で快適に移動出来る。日々の生活を通じ、温暖化ガス排出削減に貢献している訳である。