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再び「格安スマホ」について

2014年07月16日 16時16分 JST | 更新 2014年09月14日 18時12分 JST
時事通信社

7月8日ハフィントンポスト経由公開した、通信業界の地殻変動が企業を直撃するを参照して、前ソフトバンクモバイル副社長、松本徹三氏が、SIMロック狂騒曲と携帯端末メーカーへの鎮魂歌及び、「光の道」は死なずを発表された。松本氏の如く日本の通信事業に大きな足跡を残された方に私の記事を参照戴いた上で、興味ある記事を二本に分けて公表戴いた事には大変感謝している。とはいえ、松本氏と私の意見の乖離は大きく、多分議論を重ねても縮まる事はない様に思う。

しかしながら、マスコミは「マスゴミ」と揶揄される様に、こういった歯応えのある本質的な問題への真正面からの取り組みには腰が引けている。例え議論が平行線で終わったとしても、是非判定は読者に委ねる事で良いのでは?と考えた次第だ。この事が、再び「格安スマホについて」のタイトルで、所信を公表しようと思った経緯である。尚、今回は文章の分量を考慮して「光サービス卸し」については論考しない。

何故、「格安スマホ」は格安で提供可能なのか?

SIMロック解除とかの話になると止むを得ない面はあるのだが、どうしても議論が専門的になって下手をすると袋小路に迷い込んでしまう。これは勿論本意ではない。従って、一旦議論の起点である「何故、「格安スマホ」は格安で提供可能なのか?」に戻って話を進めたい。

日経新聞の、目指すは月5000円未満、スマホ料金ここは削れる が図表を用いて実に分り易く説明してくれている。支払い金額内訳を見れば一目瞭然ではないか?一番金額が大きいのは「パケット定額料」であり、次に「端末代金の分割代金」となる。

「パケット定額料」は通信速度やデーター通信量に制限をかける事で大幅に下げる事が可能だ。LTE用の周波数帯域がドコモから「格安スマホ」業者に「卸し」される事で可能になる。松本氏の様に通信事業者の副社長を務められた様な方は致し方ない面もあると思うが、どうしても「格安スマホ」業者に対し、上から目線で見てしまう所がある様だ。端的にいえば、「安かろう、悪かろう、そんなサービスは一部の貧乏人しか欲しがらない」といったところか?

勿論、イオンが手掛けているように、「データ通信の品質等はどうでもよいユーザー層」にターゲットを絞って、「あらかじめ細切れに分割された回線を安く仕入れて、その分だけユーザーに対する回線コストも下げられるようにする」等というのは、一つのニッチ戦略としてはあってもよいだろう。

次に端末代金の分割代金について考える。日経記事では@3,255円と紹介されている。24か月の割賦代金であるから、本体価格は@3,255円×24=78,120円という結論となる。松本氏の指摘では「中国製のスマホは、既に15,000円を切るものが出てきているので、これなら一括払いも苦にならないだろう」との事である。製造メーカーが異なるとはいえ、極短期間に8万円弱の商品が1.5万円を切っている。この趨勢を見る限り年末に更に半値の@7,500円を期待しても良いのではないのか?そうなれば、割賦代金は十分の一の@300円にまで下がって来る。

何故スマホ端末は果てしなく値下がりを続けるのか?

韓国経済の失速は明らかである。その原因の一端にSamsungの不振があり、それはスマホ市場の崩壊に起因する。Samsung経営者のみならず、韓国、朴政権もスマホ市場を固唾を飲んで見ている事であろう。とはいえ、スマホ端末は果てしなく値下がりを続ける事になる。サムスンも、スマホ市場の没落から逃れられないが、具体的且つ分り易く説明してくれている。

端的にいってしまえば、スマホ端末はパソコンが辿った道を歩むしかないという事である。IBMは2005年に中国、レノボ社にパソコン事業を売却している。スマホ市場の変化は早い。優良ビジネスが薄利ビジネスになり、あっという間に赤字ビジネスに転落してしまう。スマホ事業がSamsungのお荷物となり、中国企業に売却する日が来ても少しも驚かない。

日本経済を活性化させるスマホユーザーの増加

スマホ市場の没落で従来からハイエンドのスマホ端末を製造していたSamsungの様なメーカーは泣く事になる。その一方、ユーザーは従来では信じられない様な安い値段でのスマホ端末の入手が可能となる。当然、スマホユーザーは急激に増加し、これにより新たなビジネスチャンスが生じる。これから、拡大を続けるスマホユーザーを対象にアントレプレナー達の「知恵比べ」、「アイデア勝負」、「スピード競争」が繰り広げられ、多くのヒーローが誕生する事になる。

勿論、20代、30代で巨万の富を得るアントレプレナーの誕生は彼らに続く若者達を勇気づけ、日本経済と日本社会を活性化させる事になる。既に、ある程度実績が出ている二件を紹介するが、こんなものは巨大な氷山の一角に過ぎない。読者の皆さんも頭のトレーニングとして、「如何なるビジネスが可能になるのか?」考えてみたら良いだろう。

スマホ端末をサービスの対象とするLINEの東証上場申請はその一例である。何と時価総額はいきなり大台の1兆円超という事である。

7月15日(ブルームバーグ): スマートフォン向け無料通信アプリを運営するLINE(ライン)が東京証券取引所に株式上場を申請したことが、複数の関係者への取材で15日までに明らかになった。東証の承認が得られれば11月にも上場する見通しだ。時価総額は1兆円以上になるとみられる。

スマホ端末を対象として既存放送業者の配信も一気に加速するはずである。有線放送最大手、USEN、田村社長への取材記事は、今迄に読んだ記事の中では最も具体的で分り易い。

サービス開始してからまだ半年なので、プロモーションは十分とは言えませんが、すでに700を超すチャンネルを用意しており、順調にお客様は増えています。早期に100万人の会員を獲得したいですね。今後の課題は、どんなチャネルでどう売って行くか。たとえば大手の通信キャリアだと、スマホを売ったときにプッシュで音楽サービスも売り込むことができます。

月額料金は@490円と従来の衛星経由サービスの十分の一までに圧縮している。とはいえ、商流構築に課題が残るとはいえ、サービス開始半年で社長の口から「100万人の会員」という数字が出る事は凄い事だ。矢張り、スマホを対象とするビジネスは立ち上がりのスピード感が従来とは全く異なる。

周波数帯域はそもそも国民の共有財産であり、通信事業者に便宜的に割当てられているに過ぎない。通信事業者に取って未使用な周波数帯域を「格安スマホ」業者に対し「卸し」を実行する事で日本経済と日本社会は活性化する。安倍政権、「成長戦略」の具体的な柱になり得るのではないのか?この事が、私が「格安スマホ」を支持する所以である。