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安倍首相、シンガポールでのアジア安全保障会議での基調講演を終えて

2014年06月01日 17時59分 JST | 更新 2014年06月01日 21時38分 JST

安倍首相が5月30日、シンガポールで開催された、アジア安全保障会議で基調講演を予定通り行った。今回は安倍首相の基調講演が参加したASEAN首脳にどの様に受け入れられ、一方メディアはどう報じたか、について検討してみたい。1月のダボス会議の時、安倍首相は、「英『フィナンシャル・タイムス』のギデオン・ラッチマン記者から「日本と中国の関係が戦争に発展する可能性があるのではないか?」との質問に対し、「今年は第1次大戦から100年を迎える年。当時、英独は大きな経済関係にあったにもかかわらず第1次大戦に至った歴史的経緯があった」と答え、これが世界に大きな波紋を投げかけた。普段慎重なBBCですら、随分と飛ばし気味の報道をしていた事は今でも鮮明な記憶として残っている。

■BBCは安倍首相の今回のアジア安全保障会議での基調講演をどう伝えたか?

ダボス会議と比較して、今回のアジア安全保障会議での基調講演については、Shangri-La dialogue: Japan PM Abe urges security roleの如く、事実関係を淡々と伝えるに留めている。内容を要約すれば大体下記の通りである。「東シナ海での法の支配の貫徹を強調し、中国が現在行っているような力による領有権の変更には断固反対する。中国と対峙するフィリッピン、ベトナムを支持し、日米同盟を基軸にASEAN地域の安全保障に貢献する。一方、世界平和への更なる貢献を可能とすべく集団的自衛権の行使容認や国連平和維持活動(PKO)について政府・与党内で検討を進めていることを説明し、各国の理解を求めた」。

■アジア安全保障会議に出席した各国首脳は安倍首相の基調講演をどう受け入れたのだろうか?

産経新聞の伝える首相の靖国参拝発言で会場に賛同の拍手 アジア安保会議が実に興味深い。

【シンガポール=比護義則】安倍晋三首相が30日、アジア安全保障会議(シャングリラ対話)で自身の靖国神社参拝について「国のために戦った方に手を合わせる、冥福を祈るのは世界共通のリーダーの姿勢だ」などと語り、会場が拍手に包まれる一幕があった。

私は以前より「靖国問題」などは存在せず、そんなものは中国、韓国が捏造したお伽噺に過ぎないと主張して来た。詳細は、「靖国問題」はもうおしまいにしよう!で説明した通りである。今回、会議に出席したASEAN首脳が捏造された「靖国問題」の実態と本質を理解した上での拍手であれば喜ばしい限りである。一方、安倍首相の掲げる「積極的平和主義」や、これを可能とする「集団的自衛権の行使容認」については、既にエコノミストが支持を表明済みであり、ASEAN各国首脳がこの潮流に乗るのは当然である。

■深化を深める日米豪の同盟関係

日米豪防衛相、対中国で共同声明 「力による変更に反対を参照すれば充分であろう。それにしても、4月にアボット豪首相が来日し、日豪経済連携協定(EPA)が締結された事は大きかった。今後、両国関係は「通商」、「投資」の分野で益々緊密になる事は確実であるが、この前提となる地域の安全保障の分野で協調するのも又自然な流れである。従来の日米同盟にオーストラリアが加わる事で安全保障体制に厚みが加わる事は確実である。

小野寺五典防衛相は30日、訪問先のシンガポールで米国のヘーゲル国防長官、オーストラリアのジョンストン国防相との3カ国会談に臨んだ。東シナ海と南シナ海で実効支配強化へ動く中国の動向を念頭に「力による一方的な現状変更に強く反対する」と明記した共同声明を発表した。日中情勢に関して小野寺氏は、東シナ海上空での中国軍戦闘機による自衛隊機への異常接近を説明し、米豪両閣僚との間で国際法を順守する重要性を確認した。

■力強いアメリカのバックアップ

今回、中国に対し一歩も引かず対峙する事を改めて表明した安倍首相をアメリカは力強くバックアップした。BBCはChuck Hagel: Beijing 'destabilising' South China Sea、と直球で伝えている。記事を読んで戴ければ充分であろう。まるで「躾の悪い犬」を叱り飛ばす様に中国を叱責している。ここまでアメリカから罵倒されて、切り返せない様では習近平総書記の鼎の軽重が問われてしまう。しかしながら、そうはいっても有効な打開策が見出せず苦悶しているのが今の中国の実態ではないのか?

The US defence secretary has accused China of "destabilising" the South China Sea, saying its action threatened the region's long-term progress.

■ CICAアジア相互協力信頼醸成措置会議とは結局何だったのだろう?

5月20~21日、上海で予定通りアジア相互協力信頼醸成措置会議が開催された。プーチン大統領はロシア海軍を引き連れ訪中し、中露首脳会議が開催されると共にこれに併せ揚子江近くで中ロ合同軍事演習が行われた。中露の緊密さを世界に向けてアピールした訳である。習近平総書記はCICAアジア相互協力信頼醸成措置会議で、アメリカを排した上での中国主導での新たな安全保障体制の構築を提案した。しかしながら、参加国の賛同を得る事が出来ず、共同声明に採択される事はなかった。正に、習近平総書記「劇団ひとり」状況を世界に向けて発信してしまった。更に悪い事に、CICAアジア相互協力信頼醸成措置会議を狙い撃ちするかの様にこのタイミングで新疆ウイグル自治区ウルムチに爆弾テロがあり、習近平総書記の国内統治能力の欠如が世界の知るところとなってしまった。

■今後の政治日程

6月4~5日  G7首脳会議(ブラッセル)

元々はオリンピックが開催されたロシアのソチでG8として開かれる予定であった。しかしながら、ウクライナ問題とロシアのクリミア併合によりロシアがG8から除名され、ブラッセルでG7首脳会議として開催される事になったものだ。議題の中心は当然ウクライナ問題となる。ウクライナ問題の中核は、力による領土の変更、法の軽視であり、南シナ海で中国が引き起こしている問題と基本的に同じである。従って、中国に対抗する安倍首相は価値を共有する西側先進国のリーダーとして極自然に受け入れられる事となる。今回のアジア安全保障会議での基調講演内容に対しG7としての実質的な承認、賛同と理解して良いだろう。

6月4日 第6回全国同時地方選挙 (韓国)

韓国では6月4日に第6回全国同時地方選挙が実施される。セウォル号事故やこれに引き続く、地下鉄追突事故、新築ビルの傾き、病院の火事に起因する患者の死亡事故など、不祥事が連続しており、与党・セヌリ党にとっては逆風下の選挙となる。仮に与党・セヌリ党が大敗する様であれば、朴政権は一気に液状化し、朴大統領もレイムダック化する可能性が高い。矢張り、「反日」一本槍で勤まる程韓国大統領の職は容易ではなかったという事であろう。今後、朴大統領が告げ口外交を継続しても、愚かで迷惑な指導者と蔑まれ相手にされないのではないのか?

7月 安倍首相が豪州を公式訪問

4月にアボット豪首相が来日し、日豪経済連携協定(EPA)が締結された。これを受け、7月は安倍首相が豪州を公式訪問する予定である。日豪経済連携協定(EPA)締結を更に進化さすべく「通商」、「投資」についての議論が行われると推測する。一方、安全保障についても議論が交わされるはずである。日本が優れた技術を保有する潜水艦建造技術や潜水艦の輸出に関する協議も行われると思う。私は日本に取っての脅威は中国であり、オーストラリアへの潜水艦の輸出は進めるべきと考えている。

昨日、自宅のある選挙区選出の若手自民党衆議院議員と話す機会があり、何故輸出しないのか? 単刀直入に聞いてみた。「法体系の整備」が遅れていて出来ないとの答えであった。何故遅れている? どうして急がないのか? という質問に対してはデリケートなテーマなので拙速を避け、国民に対し丁寧な説明を心掛けている、前回経験した様に民意が変わり、あっという間に政権を失う様な事は避けねばならない、との説明であった。成程、自民党が驕り高ぶり、以前の「利権誘導」の古い政党に回帰するのは困る。しかしながら、安全保障に限れば、中国人民解放軍の保有する第4世代戦闘機の総数が日米の保有総数合算を凌駕しつつある切羽詰まった現状を踏まえ、スピード感を持って動かねばならないはずである。ここでも、「政治」、「マスコミ」、「国民」の平和ボケが日本を危うくしている。