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日本代表ウルグアイ戦展望、長谷部の離脱で鍵を握る細貝

2014年09月04日 23時57分 JST | 更新 2014年09月04日 23時57分 JST

1日から始まったハビエル・アギーレ新監督率いる日本代表の札幌合宿。メディア公開された1・2日はフィジカル的要素の強いボール回しや4対1から4対2、6対4から5対5、8対8+4フリーマンから10対10へと短いサイクルで変化していくトレーニングが多かった。「全ての練習がコンパクト。アップから最後までダラダラせず、さっとやるなというイメージがある。それに切り替えが速くて1個のメニューをあまり長くやらない」と長谷部誠(フランクフルト)も語っていたが、この小気味よさがアギーレ流なのだろう。

3日には今合宿初の非公開練習が行われ、5日のウルグアイ戦(札幌)で採用すると見られる4-3-3など複数のシステムを確認した模様だ。アギーレ監督は「4-3-3で戦う」と初日の練習後に語っており、それをベースにしていくつもりのようだ。

この形を成功させる重要なポイントと言えるのが、中盤のバランスだろう。指揮官はおそらくアンカーの前にインサイドハーフ(攻撃的MF)2枚を置く形をファーストチョイスとして考えている様子。初日から左膝の違和感を訴え、別メニューが続いていた長谷部が4日朝にチームを離脱する事になり、ドイツに戻った為、中盤の陣容は細貝萌(ヘルタ・ベルリン)、柴崎岳(鹿島)、森岡亮太(神戸)、扇原貴宏(C大阪)、田中順也(スポルティング・リスボン)の5人。2日目のクロス&シュート練習では、細貝だけがサイドでプレーしていなかったため、アンカーと位置づけられているのは間違いない。その練習で柴崎と森岡が右、扇原と田中が左に入っていたため、アギーレ監督の中ではその想定で選手を組み合わせるはずだが、Jリーグで好調を維持している柴崎と森岡を左右に配置する可能性もゼロではない。いずれの選手が出たとしても、代表で一緒にプレーした経験はアンダーカテゴリー含めてほぼない。それだけに、いかに連携面を構築していくかが重要なテーマになりそうだ。

やはり鍵を握るのが細貝だろう。ザッケローニ体制ではチーム発足当初からメンバーに名を連ねながら、最後の最後で落選し、2014年ブラジルワールドカップに行く事が出来なかった細貝だが、ドイツでの実績は抜きんでている。ヘルタの指揮官であるルフカイ監督からはアンカー的な役割をコンスタントに任されており、本人もチームと近い感覚でやれそうだと前向きだ。

「向こうに行って今のヘルタの監督と出会ってから、2ボランチでもアンカー気味にやる事が多くなった。オフェンスをしている時はアンカー気味に後ろに残る、守備の時はセンターバックの2枚の前にいるという役割を求められる事も多い。2ボランチの時とアンカーの時をうまく使い分けながらやれてるのかなと思います。この代表にアンカーのポジションがあるとすれば、自分もそこを出来る選手の1人として当てはめてくれると思うし、しっかりとアギーレ監督が求めている事を表現出来たらいいのかなと思いますけど」と彼自身も語っていた。ドイツで積み重ねているものをスムーズに出せるような環境になれば、細貝は活きてくるだろう。

長谷部がいない今、MF陣の中では彼が最年長。そういう自覚もあり、周りをうまく使いたいという意識も高い。

「今回初めての選手が多いので、うまくコミュニケーションを取っていきたいですし、彼らがやりやすいと思ってもらえるように、自分が目立たなくても後ろからサポートしてあげられたらいいのかなと思います。お互い探り探りの所はあると思いますけど、彼らが気を遣ってやる事のないようにしたい。逆に僕が気を遣うことで彼らが気持ちよくプレーでき、いいプレーをしてくれればいいのかなと思います」とまさに彼らしい献身的なコメントを繰り返していた。

相手はカバーニ(PSG)やロデイロ(コリンチャンス)らブラジル16強入りメンバーが、ずらりと並ぶウルグアイだけに簡単ではないだろうが、細貝が中心となって中盤のバランスをうまく取り、柴崎や森岡が豊富な運動量でスペースを埋めながら前へ出て行くような役割を果たせれば、今回の日本の中盤はかなりダイナミックかつアグレッシブになるだろう。ウルグアイ・ベネズエラ2連戦でこのフレッシュな陣容の中盤が機能すれば、そのまま若い世代へと一気にシフトする可能性もある。離脱を余儀なくされた長谷部は戦々恐々とする部分もあるだろうが、遠藤保仁(G大阪)と長谷部への依存度が高かったこれまでの状況から脱する事が出来れば、日本代表は新たな一歩を踏み出せる。そういう意味でも今回は中盤に注目して試合を見てみたい。

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元川 悦子
もとかわえつこ1967年、長野県生まれ。夕刊紙記者などを経て、94年からフリーのサッカーライターに。Jリーグ、日本代表から海外まで幅広くフォロー。ワールドカップは94年アメリカ大会から4回連続で現地取材した。中村俊輔らシドニー世代も10年以上見続けている。そして最近は「日本代表ウォッチャー」として練習から試合まで欠かさず取材している。著書に「U-22」(小学館)「初めてでも楽しめる欧州サッカーの旅」(NHK出版)ほか。

(2014年9月4日「元川悦子コラム」より転載)

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