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マンチェスター・シティとパリ・サンジェルマンがフィナンシャル・フェアプレーに抵触。ペナルティーにより選手の大放出は必至

2014年05月14日 01時42分 JST

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5月6日時点で正式発表はないが、マンチェスター・シティとパリ・サンジェルマンにペナルティーが科される公算が大きくなってきた。フィナンシャル・フェアプレー(以下FFP)に抵触し、5000万ポンド(およそ86億3000万円)の罰金、年俸総額の抑制、チャピオンズリーグにおける選手登録数の制限など、来シーズン以降のチーム構成に甚大なマイナス影響を及ぼすことは避けられそうにない。

実際にペナルティーが科せられたとしよう。主力の退団は避けられず、即戦力の獲得も不可能だ。したがって今夏の移籍市場は、両チームのスター選手にスポットが当たるはずだ。すでにレアル・マドリーがセルヒオ・アグエロ(シティ)に急接近中といわれ、パリSGのエディンソン・カバーニにはチェルシー、マンチェスター・ユナイテッドが触手を伸ばした、との情報も飛び交っている。

さらにシティはダビド・シルバ、エディン・ジェコが狙われ、パリSGではチアゴ・シウバ、ブレーズ・マデュイディ、マルコ・ヴェッラッティなど、トップリーグの強豪連でも定位置確保間違いなしの実力者たちが、市場を賑わせるだろう。残留宣言をしたズラタン・イブラヒモビッチも例外ではない。

もちろん、両チームとも慰留には務めるが、ペナルティーの内容は戦力ダウンを意味している。現状維持すら難しい状況だ。

しかし…。

両チームの疑惑が発覚した4月中旬、UEFA(ヨーロッパ・サッカー連盟)は厳罰に消極的だった。「メディアの皆さんが喜ぶような事件にはならない」と、ミシェル・プラティニ会長も語っていた。少額の罰金でお茶を濁すとの報道もあった。UEFAは、事を荒立てたくなかったのだろうか。

それでも厳罰に踏み切ろうとしている背景には、UEFAを取り巻く厳しい視線だ。とくにパリSGとの関係である。彼らが市場に投入した巨額はクラブの総収入額を越え、FFPに抵触していたにもかかわらず、なぜか処罰の対象にならなかった。「プラティニの実子が弁護士を務めているから見逃されるのか」との不満が噴出したのは当然である。

プラティニの真意は分からない。息子をかばいたかったのかもしれないし、シーズンが最終盤を迎えているため、世間の注目をピッチに集めたかったのかもしれない。

ただ、FFPはプラティニ肝煎りの政策で、フットボール界の金銭感覚を正常化するためのプランだ。過去にブルガリアやスペインのクラブがペナルティーを科され、ヨーロッパの大会の出場資格をはく奪されたが、違反の程度はパリSGやシティの比ではなかった。

冒頭でも述べたように、現時点で正式発表はない。5月1~2日といわれていたFFPに関する記者会見は、先延ばしになっている。UEFA内でも意見が分かれているのだろうか。しかし、違反者を無罪放免にする制度など必要はない。UEFAは断固とした態度で、事に当たるべきだ。

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粕谷 秀樹
月刊ワールドサッカーダイジェスト初代編集長を務めた。海外サッカーの解説者としても活躍。

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(2014年2014年5月7日「粕谷秀樹のOWN GOAL,FINE GOAL」より転載)