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知られざるオールスター名物、イチローのスピーチ

2014年07月22日 16時15分 JST | 更新 2014年09月20日 18時12分 JST
Elsa via Getty Images
NEW YORK, NY - JULY 21: Ichiro Suzuki #31 of the New York Yankees lines out in the fifth inning against the Texas Rangers on July 21, 2014 at Yankee Stadium in the Bronx borough of New York City.The Texas Rangers defeated the New York Yankees 4-2. (Photo by Elsa/Getty Images)

現地15日に行われた、メジャーリーグの第85回オールスターゲーム。日本人選手ではダルビッシュ有(レンジャーズ)、上原浩治(レッドソックス)が出場し、共に好投でファンを湧かせた。

この日の主役は何といっても、今季限りで引退する球界のレジェンド、デレク・ジーター(ヤンキース)。今回が自身14度目のオールスターとなった"ニューヨークの貴公子"は、ア・リーグの1番ショートで先発出場。代名詞ともいえる華麗な長し打ちで2安打を放った。

球界に多大な貢献をもらたしてきたジーターの功績を、周囲も粋な演出で称えた。ジーターが初回の打席に入ると、場内には2010年に他界したヤンキースの名アナウンサー、ボブ・シェパード氏のアナウンスが流れ、相手先発のアダム・ウェインライトもグラブをマウンドに置いて観客と共に拍手。

4回、一度はショートの守備についたが、場内に突然フランク・シナトラの『ニューヨーク・ニューヨーク』が流れ、やはり大きな拍手と歓声に包まれながら最後の夢舞台を終えた。そのジーターは試合前、クラブハウスでア・リーグの選手たちを前にスピーチを行った。

「オールスターが初めての選手たちは楽しんでくれ。何度もある経験じゃない。友人や家族と分かち合ってほしい。時が過ぎるのは本当に早いから」。1日限りのチームメイトたちは、ジーターの話を噛み締めるようにして聞いていたという。メジャーの未来を担う若い選手たちにとって、チームの垣根を超えて球界の大先輩と交流できることも、オールスターの大きな魅力なのだ。

ところで、数年前まで毎年のオールスターで、ジーターと同じようにクラブハウスでスピーチを行っていた選手がいる。ジーターの現チームメイトであり、かつて10年連続でオールスターに出場していたイチローだ。2007年にはオールスター史上初のランニングホームランを放ち、MVPも獲得したイチローはいつからか、オールスターで毎年スピーチを行うようになったことで知られている。

ア・リーグは1997年から2009年まで、引き分けを挟み破竹のオールスター12連勝を飾ったが、レッドソックスのデビッド・オルティスはかつて「イチローのスピーチがあるから、俺たち(ア・リーグ)は負けないんだ」とまで話していた。

イチローが具体的にどんな話をしていたのか気になるところだが、その内容は明らかになっていない。というのも、そのスピーチは決して上品とはいえないスラングや下ネタ、放送禁止用語のオンパレード!だったそうなのである。模範解答のようなジーターのスピーチとは対照的に、毎回チームメイトたちを爆笑させていたそうだ。

ア・リーグが毎年勝ち続けていたこともあり、イチローのスピーチは「やめるにやめられない」儀式となったという。その面白さは、イチローとオールスターを共にする幸運を掴んだ選手たちだけが知っているのだ。

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スポカルラボ
MLBをはじめ海外スポーツに精通した英日翻訳ライター3人による メディアコンテンツ制作ユニット。スポーツが持つ多用な魅力を独自 の切り口で表現し、人生の選択肢はたったの一つや二つではない、 多様なライフスタイルを促進することをミッションに掲げて活動中。 Facebook→スポカルラボ

(2014年7月19日「MLBコラム」より転載)