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渡辺俊介、アメリカ独立リーグで奮闘 アンダースローはフォームに工夫

2014年10月01日 23時38分 JST | 更新 2014年10月01日 23時39分 JST
Daisuke Kono

渡辺俊介は、メジャー傘下に属さない独立リーグの舞台で夢を追いかけている。

「世界で最も低いリリース位置」とも言われるアンダースローを武器に、渡辺は日本のプロ野球で87勝を挙げた。緩急自在の投球はWBC(ワールド・ベースボール・クラッシック)でも大きな力を発揮し、侍ジャパンの優勝に貢献した。'13年オフにメジャーリーグ挑戦を表明し、'14年春にはレッドソックスのスプリングトレーニングに参加した。しかし結果を残せずレッドソックスから解雇された今も、渡辺はアメリカ球界で自らの夢を追い続けている。

「ベテランと呼ばれる年齢になって来た。若手もどんどん出て来て1軍での登板機会も減って来た。でも『まだ選手でやりたい』という気持ちが強く『この先、何がやりたいのか?』と考えたらアメリカだった」。8月には38歳となった渡辺。年齢を考えれば、かなり大きな決断だったはずだ。

「日本でやり続けるならロッテにずっといたと思う。でも新しい経験や、『メジャーでやりたい』というのが一番にあった。年齢が年齢だけに、その思いが強かったんだと思う」。メジャー挑戦の夢が一度は絶たれた渡辺が、今シーズン、プレーする場所に選んだのは独立リーグ・アトランティックリーグのランカスター・バーンストーマーズ。かつて仁志敏久氏(元ジャイアンツ)も所属したチームだ。

「『マイナーは大変だ』といろいろな人から聞いていた。ましてここは独立リーグなので、『(メジャー傘下の)マイナーよりも過酷なんだろうな...』と思った。だから『どんな過酷な状況でも受け入れよう』と」。

チームに合流後、試合を行い、遠征を重ねるようになると、意外な面が見えて来た。「独立ですけど、聞いていたマイナーの話とほとんど一緒か、それよりも恵まれていることも多い。球場によっては食事とか本当に良いものが出て来る。だから、少なくともこれに耐えられなければマイナーに挑戦する資格はないと思った。最低条件ですね」。

地元ランカスターでは、自宅やホテル住まいではなくホームスティで生活をしている。「良い人ばっかりで自分の田舎、栃木と似ている。緑が多くて山と川とみたいな。『僕のステイ先は"当たり"だ』とみんなが言う。それぐらい良くしてもらっています」。

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(C)河野大輔@イニングス

「ステイ先は募集があり、まずはチーム側が選別をする。そのあとステイ側に受け入れる選手を選ぶ権利がある。僕の場合は、前の選手が移籍して空いたところだったらしく、ステイ先の人がたまたま試合を見に来ていたらしい。『おもしろい投げ方をするな。ぜひうちに来ないか』」みたいな感じで呼んでくれた」。

不慣れな異国で、渡辺を最大限にサポートしてくれる人たちのおかげで、心置きなくプレーすることができているという。プロ野球時代とは投球フォームをマイナーチェンジした渡辺は、配球にも工夫をこらし、先発、中継ぎとフル稼働している。

「遅い球をしっかり制球できるように、セットから動きの小さい投球フォームにした。配球に関しても試行錯誤しながら、ようやく形みたいなものができあがって来た」。

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(C)河野大輔@イニングス

「データが少ないことが大変だった。マイナーや独立は、どんな打者か投げてみないとわからない。しかもアメリカの打者のタイプが最初はわからなかった。その特徴をつかむまでは、最初は怖かった。ようやくアメリカ仕様の配球もできつつある」。

8勝2敗(9月21日現在)と好成績を残し、チームにもすっかりとけ込んでいる様子だ。取材中、何人もの選手たち(もちろん全員年下だ)に、いじられていた姿が印象的だった。「日本で僕の情報が少ないのは独立リーグでプレーしているからしょうがない。でも、本当に今、充実している。(野球を)心から楽しめている」。

渡辺の瞳は、文字通り輝いていた。本場アメリカでのベースボール、楽しみながら結果も残している。このまま行けば、サブマリンをメジャーのマウンドで見られる日もそう、遠くないと感じさせてくれた。

取材協力:山岡則夫@イニングス

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スポカルラボ
MLBをはじめ海外スポーツに精通した英日翻訳ライター3人による メディアコンテンツ制作ユニット。スポーツが持つ多用な魅力を独自 の切り口で表現し、人生の選択肢はたったの一つや二つではない、 多様なライフスタイルを促進することをミッションに掲げて活動中。 Facebook→スポカルラボ

(2014年9月25日J SPORTS「MLBコラム」より転載)