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田中将大の1年目、ヤンキース首脳陣も起用法が試される

2014年03月20日 18時42分 JST | 更新 2014年05月19日 18時12分 JST

開幕まで2週間を切った。田中将大の調子も評価も投げるたびに上がってきた。オープン戦3試合目、先発では2試合目の登板になった現地16日の対ブ レーブス戦では最多の74球を投げ、4回3分の1を3安打1失点に抑えた。「回が進んでいくにつれてバラつきが出てしまった」と本人がいうように、珍しく 制球を乱して2四球を与えたが、一方で6三振を奪うなど、随所にハイレベルな投球をみせ、その期待値はますます上がっていく----。

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田中の活躍にはジラルディ監督(左)、ロスチャイルドピッチングコーチら首脳陣の英知も必要だ

試合で初めてバッテリーを組んだ正捕手のブライアン・マッキャンは若さに似合わぬ投球術に舌を巻いた。

「マウンド上で何をやるべきかがわかっている。同じスプリッターを投げるにしても、状況に応じてストライクゾーンに投げるべきか、ショートバウンドになるような低めを投げた方がいいのかということを心得ていて、その意図通りに投げることができる」

対戦したブレーブスの打者たちはそのスプリッターや、スライダーのキレのよさを口にし、フレディ・ゴンザレス監督は次のように語った。「素晴らしい投球だった。彼はニューヨークという大きな舞台でも何の問題もなく投げるだろう」

また、ニューヨーク・タイムス紙のヤンキース担当を経て、現在はESPNのアナリストを務めるバスター・オルニー記者は「タナカはヤンキース投手陣に安定感をもたらす」と、活躍を保証するような記事さえ書いた。

こうした絶賛の嵐の中で、ヤンキース首脳陣の頭を悩ませているのが、いかにして故障のリスクを最小限に抑え、田中の力をより有効に活用するかという ことだ。メジャーの先発登板の間隔は基本的に中4日。田中のローテーションの位置づけはCC.サバシア、黒田博樹に次ぐ3番手。そのあとはイバン・ノバ、 5番手はマイケル・ピネーダ、デービッド・フェルプスのどちらか。

この順番でいけば、田中のメジャーデビューは現地4月3日の対アストロズ戦になる。しかし、4番手として翌4日のブルージェイズ戦に起用した場合、 3度目の登板はオフが入るため中5日となり、1日余裕を持ってマウンドに上げることができる。オープン戦を通して、ヤンキースは無理のない、負担のかから ない調整ができるように細心の注意を払ってきた。それは、当然のことながらシーズンを通して続けられる。何しろ、1億5500万ドルを投じた将来エースに なってもらわなければならない逸材なのだから。

こうした配慮は過去にもジャバ・チェンバレン(現タイガース)などにもなされ、他球団では全米トップでドラフト指名されたスティーブン・ストラス バーグ(ナショナルズ)ら超大物に対しても、例えば年間160イニングスを限度にするなど、投球過多にならないように球団が独自の方針を貫き、故障リスク 回避に努めた。

田中の登板日がオープン戦の段階でもスンナリ決まらなかったのは、ヤンキースが常に体調を細かくチェックして、故障予防に万全を期していたからだ。 「5番手の投手が誰になるのか、ということでも田中の順番が変わることもあり得る。とにかく様々な可能性を考え、想定して田中だけでなくチーム全体が良い 方向にいかれるようにしたい」と、ジョー・ジラルディ監督。

田中の1年目は、ヤンキース首脳陣の英知を試されるシーズンでもある。

(Text by 出村 義和 Photo by Getty Images)

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