「田中将大も孤軍奮闘では勝ちようがない」番記者が嘆く

現地22日、同地区ライバルのオリオールズとのシリーズ最終戦は、ヤンキースが0対8で惨敗。7回6安打3失点の田中は2敗目を喫した。先発の田中は、序盤から3回までは60球を要しながらも、粘って7回106球とまとめた。メジャーでただ一人となる開幕からのクオリティ・スタート(6回以上を投げて、自責点3以内)連続記録を15に伸ばし、1973年にスティーブ・ロジャースが達成した16試合連続QS達成まで、あと1つと迫った。
NEW YORK, NY - JUNE 22: Masahiro Tanaka #19 of the New York Yankees looks at the ball after surrendering a run in the seventh inning against the Baltimore Orioles at Yankee Stadium on June 22, 2014 in the Bronx borough of New York City. (Photo by Jim McIsaac/Getty Images)
NEW YORK, NY - JUNE 22: Masahiro Tanaka #19 of the New York Yankees looks at the ball after surrendering a run in the seventh inning against the Baltimore Orioles at Yankee Stadium on June 22, 2014 in the Bronx borough of New York City. (Photo by Jim McIsaac/Getty Images)
Jim McIsaac via Getty Images

「田中将大も孤軍奮闘では勝ちようがない」

こう嘆いたのは、長年ヤンキースをカバーしているスポーツ記者アンドリュー・マーチャンド氏だ。(参考:ESPN

現地22日、同地区ライバルのオリオールズとのシリーズ最終戦は、ヤンキースが0対8で惨敗。7回6安打3失点の田中は2敗目を喫した。先発の田中は、序盤から3回までは60球を要しながらも、粘って7回106球とまとめた。

メジャーでただ一人となる開幕からのクオリティ・スタート(6回以上を投げて、自責点3以内)連続記録を15に伸ばし、1973年にスティーブ・ロジャースが達成した16試合連続QS達成まで、あと1つと迫った。

マーチャンド氏は、この日の敗因は攻撃陣にあると指摘。両リーグトップの防御率だった田中がQSで耐えたにもかかわらず、それまで防御率4.82の投手クリス・ティルマンを打ちあぐね、ヤンキースが得点できなかったことを嘆いている。これでシリーズ3連戦を1勝2敗としたヤンキースは、1ゲーム差で後を追っていたオリオールズに、同率2位に並ばれた。

オリオールズの地元ボルティモア・サン紙は、「旋風を巻き起こしている田中に勝利した」と、金星をあげたかのごとく称賛。これで田中が投げた15先発でヤンキースは12勝3敗としたが、このうちの2敗がオリオールズという点でも際立っていると伝えている。(参考:Baltimore Sun

なお、2回に田中から一発を放ったのは、前回の対戦でも3ランを放ったルーキーのジョナサン・スクープ。昨日まで11試合の打率が.150と不振だったにもかかわらず、今日もレフトスタンドにソロアーチを放ち、"マー君キラー"として名を挙げた。

ヤンキースにとっては、流れを止める不運な判定もあった。初回は、先頭ブレット・ガードナーがライト線を抜けた長打で、スピードに乗って3塁へヘッドスライディング。タイミングは十分セーフだったが、勢い余ったスライディングはオーバーランとなり、三塁手にタッチされる瞬間、ベースから手が離れた。

それを見逃さなかった敵将バック・ショーウォルター監督がチャレンジ。平均1分半を大幅に超える2分48秒という協議時間の末、アウト判定に覆った。これには、ツイッターでファンも異論が盛り上がり、「機械よりも審判がより良いと思う一例」といった声が挙がった。

また、8回は田中に代わったアダム・ウォーレンが、無死一二塁とピンチの場面で、主砲ネルソン・クルーズを三塁ゴロに仕留めるも、2走のスティーブ・ピアースがケリー・ジョンソン三塁手の足元へスライディング。ジョー・ジラルディ監督が危険すぎる行為と猛抗議するもノーペナルティで再開。その後、ヤンキースは4失点を喫した。

ジラルディ監督は試合後も、このスライディングは「選手が重大なケガを引き起こしかねない極めて危険な行為」と声高に訴えている。(参考:Newsday

この日は、往年のヤンキース選手が大集結した恒例「オールドタイマーズ・デー」だった。試合前のオールド・ヤンキーたちによるミニ・ゲームには初参加の松井秀喜氏もスタメンに名を連ねた。

松井氏は、久しぶりにピンストライプの55番のユニフォームでバットを振り、最終回の4回にはスタミナ切れを起こした年配の大先輩らに代わって「若いんだから行け」と送り出され、マウンドにも立つという"二刀流"の活躍を見せた。

試合前の和やかな雰囲気から一転、後味の悪い大敗を喫したヤンキース。田中先発のヤンキースに2つの黒星をつける"番狂わせ"を起こした同地区オリオールズには今後も要注意だ。

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スポカルラボ

MLBをはじめ海外スポーツに精通した英日翻訳ライター3人による メディアコンテンツ制作ユニット。スポーツが持つ多用な魅力を独自 の切り口で表現し、人生の選択肢はたったの一つや二つではない、 多様なライフスタイルを促進することをミッションに掲げて活動中。 Facebook→スポカルラボ

(2014年6月23日「MLBコラム」より転載)

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