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女性は男性より1.5倍も「要介護」になりやすい【データ】

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■85歳以上の過半数に介護サービスが必要

近頃、親の介護の話題をよく耳にする。そこで、高齢者が実際に介護を必要としている割合がどのくらいか、統計データを調べてみた。次のグラフは65歳以上の高齢者のうち、「介護サービスが必要」と認定された人の割合(要介護認定率)を年齢層別に示したものだ。

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年齢が上がるにつれて要介護認定率も上昇している。85歳以上では過半数、95歳以上になると約9割に介護サービスが必要だ。高齢になるほど介護を必要とするのは当然といえば当然だが、これほど高い割合になっているとは驚いた。

■女性は男性の1.5倍も介護が必要になりやすい

男性と女性では、介護が必要になる率が高いのはどちらだろうか。年齢層別に男女の要介護認定率を比較したのが下のグラフだ(男:青色、女:赤色)。

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70代までは要介護認定率の男女差は小さいが、80歳以上になると男女差が目立つ。80-84歳では10.5ポイント(女性は男性の1.5倍)、85-89歳では15.9ポイント(同1.4倍)の差だ。女性のほうがたくましく老後を生きているイメージがあったが、女性は男性より介護が必要となる可能性が高そうだ。

■配偶者の死別が原因か?

なぜ女性は男性より介護が必要になりやすいのだろうか。配偶者との関係がひとつのヒントになるかもしれない。下のグラフは65歳以上の人がいる高齢者世帯のうち、配偶者がいない世帯の比率を、男女別・年齢層別に比較したものだ。

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※記事執筆時点で平成25年データが未公開のため、平成24年データ(福島県を除く)を使用。

男性は年齢が高くなっても配偶者がいない率はあまり変化しない。しかし女性は年齢が高くなると配偶者がいない率が上昇する。80歳以上で配偶者がいない比率は、男性の24.5%に対して女性は75.1%と50.6ポイントの差がついている。配偶者がいない率と要介護認定率は、どちらも80歳以降の男女差が目立つようだ。

配偶者がいない率に男女差が生じている主な原因は、配偶者との死別である。次のグラフは高齢者(65歳以上)の配偶者との関係を、男女別に比較したものだ。

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配偶者と死別している人の比率は、高齢男性では10.7%。対して高齢女性では40.7%と40ポイント(女性は男性の約4倍)もの差がある。離婚で配偶者と別れている比率は男女とも低い。

夫は妻とくらべて平均1.7~3.0歳年長で平均寿命も短いため、先に亡くなる可能性が高い。したがって男性は高齢でも配偶者と共に生活している率が高いが、女性は高齢になるほど配偶者と死別する率が上がっていくのだろう。

では、配偶者がいない女性はどのように生活しているのだろうか。次のグラフは配偶者がいない65歳以上の高齢女性の家族形態を、年齢層別に示したものだ。

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70代と80歳以降をくらべると、一人暮らしの率にはあまり変化がないが、子供との同居の率は2倍以上に増えている。夫の死別後に子供と同居して生活環境が変化することが、高齢女性が介護を必要とする可能性を高めているのかもしれない。

介護サービスが必要となる原因には、さまざまな要素が考えられる。この記事でとりあげた、配偶者の死別の影響もひとつの仮説にすぎない。とはいえ、女性が男性よりも要介護認定率が高くなっていることは事実だ。高齢者が元気に生活していけるように、要介護認定率と配偶者との関係についても、今後さらに検証していくことが必要ではないか。

(この記事はジャーナリストキャンプ2014高知の作品です。執筆:小笠原盛浩、デスク:亀松太郎)

<参考:記事のデータソース一覧>
・要介護認定率:
厚生労働省「介護給付費実態調査」(平成25年10月分)と「人口推計」(平成25年)にもとづいて筆者が算出。介護サービスを必要とする状態のうち、軽度の「要支援」と中・重度の「要介護」の人数を合計して同年齢層の人口で割っている。
厚生労働省「介護給付費実態調査」閲覧表e04
総務省統計局「2013年人口推計」第3表

・夫婦の平均年齢差
国立社会保障・人口問題研究所「第12回出生動向基本調査」

・高齢世帯の家族形態構成の推移、配偶者がない高齢女性世帯の内訳:
厚生労働省「平成24年国民生活基礎調査」
「65歳以上の者のいる世帯(第88表)」を筆者が再構成

・高齢者の配偶者との関係:
内閣府「平成25年版 高齢社会白書」図1-2-1-4
(元データは「平成22年国勢調査」)